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2.4.5 変圧器
注:JEM1273:97(船用乾式変圧器)を参照すること。
(1)構造及び性能
(a)変圧器の構造及び性能については、設備規程第205条第2項及び第206条から第210条までの規定による。
 
(変圧器の配置及び構造)
第205条 居住場所に設ける変圧器は、乾式変圧器でなければならない。
2. 乾式変圧器の巻線は、湿気等に耐えるような処理がなされたものでなければならない。
第205条の2 第183条の2第1項各号に掲げる船舶(限定近海貨物船にあっては、機関区域無人化船に限る。)にあっては、当該船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気利用設備の大部分に配電する配電盤に変圧器を用いて給電する場合には、その給電回路に2以上の変圧器を備えなければならない。この場合において、当該変圧器は、そのうちの1が故障したときにおいても給電を維持できるものでなければならない。
(温度上昇限度)
第206条 変圧器の温度上昇限度は、次表の通りとし、周囲温度が摂氏40度をこえる場所で使用するものにあっては、その超過する温度を次表の温度上昇限度から減じた温度とする。
 
変圧器の部分 温度
測定方法
温度上昇限度(摂氏・度)
A種絶縁 B種絶縁
乾式自冷式巻線 温度計法 50 70
抵抗法 55 75
乾式風冷式巻線 抵抗法 55 75
油入自冷式巻線 油入風冷式巻線 抵抗法 55
温度計法 50 
鉄心その他の金属部分で絶縁物に近接した部分 温度計法 近接した絶縁物の温度上昇限度に同じ
 
(絶縁耐力)
第207条 変圧器の絶縁耐力の試験は、巻線の定格電圧が250ボルト以下の場合には1500ボルト、定格電圧が250ボルトをこえ500ボルト以下の場合には2000ボルトの試験電圧による。
(誘導絶縁耐力)
第208条 変圧器は、100ヘルツ以上500ヘルツ以下の正弦波に近い交流電圧で、巻線に定格電圧の2倍の電圧を誘起させた場合に、次の算式により算定した時間(15秒未満の場合には15秒、60秒をこえる場合には60秒とする。)中これに耐えるものでなければならない。
 
 
(短絡電流に対する耐力)
第209条 インピーダンス電圧が4パーセント以上の変圧器は、次に掲げる時間中支障なく短絡電流に耐えるものでなければならない。
 
インピーダンス電圧(パーセント) 4以上5未満 5以上6未満 6以上7未満 7以上
試験時間(秒) 2 3 4 5
 
2. インピーダンス電圧が4パーセント未満の変圧器は、定格電流の25倍の電流に2秒間支障なく耐えるものでなければならない。
(電圧変動率)
第210条 変圧器の電圧変動率は、力率100パーセントの定格負荷において5パーセントをこえてはならない。
 
(関連規則)
(1)設備規程第205条の2関係(船舶検査心得)
 
(変圧器の配置及び構造)
205−2.0(a)本条の規定は、図205−2.0〈1〉の点線で囲まれた部分の変圧器に適用する。
 
 
図205−2.0〈1〉
 
(2)設備規程206条関係(舶検)
 
舶検第48号(56.3.26)
 H種絶縁変圧器の温度上昇について
 H種絶縁変圧器に係る温度上昇については、NKの鋼船規則に準拠する。
 
(3)設備規程第206条、第209条関連(NK規則)
 
2.10.3 温度上昇
 変圧器の温度上昇は、定格出力で連続使用しても表H2.14に定める値を超えてはならない。なお、基準周囲温度が40℃以下の場合には表の値よりその差だけで高くなってもよい。
 
表H2.14 変圧器の温度上昇限度
(基準周囲温度の限度45℃)
部分 温度上昇限度(℃)
測定方法 A種絶縁 E種絶縁 B種絶縁 F種絶縁 H種絶縁
巻線 乾式変圧器 抵抗法 55 70 75 95 120
油入変圧器 抵抗法 60 - - - -
温度計法 45
鉄心表面 温度計法 絶縁物を損傷しない温度
 
注:変圧器のインピーダンス試験については、NK規則には規定されていない。
〔説明〕
(1)変圧器の用途、絶縁の種類などについて
(a)変圧器は、照明、信号灯、通信、航海計器装置などの電源として使用される。
(b)変圧器の絶縁の種類は、H種が一般に多く用いられている。
(c)変圧器の力率は、通常100%としている。
(2)給電回路に使用する変圧器の容量と台数は、そのうち1台が使用できなくなっても、重要な負荷に支障なく給電できるものとすることが望ましい。
変圧器の結線
 結線は、単相変圧器3台を△−△結線で使用し、1台故障のとき、V−V結線として重要負荷に供給する方法が普通行なわれている。この場合の容量は、変圧器△結線容量の58%となる。
 なお、据付け寸法を節約するため、単相変圧器3台を一まとめにしたものもある。
(3)変圧器は、油入式及び乾式(空気冷却)とする。
変圧器の形式について
 変圧器の形式は、設備規程第205条により、居住区は乾式とすることが定められている。その他の場所で、たとえば機関室などは、油入式でもよいが、傾斜、振動、衝撃、保守などの面から考えると、船舶用としては、乾式自冷形とすることが好ましい。
(4)油入変圧器は、動揺、傾斜、振動、衝撃などに対し、油が流出するおそれのない構造のものとする。







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