日本財団 図書館


(5)サーボモータ
 サーボ即ちServoはラテン語の奴隷(Servus)から転化した言葉で、したがって、命令どおり動くものを意味している。サーボ機構は物体の位置、方位姿勢等を制御量(制御することが目的となっている量)とし、目標値の任意の変化又は指令に追従するよう構成された制御機構をいい、サーボモータとはサーボ機構の追従駆動部(アクチュエータ)を動かす装置をいう。サーボモータには電気式の外に、油圧式、空気式等のものがあるが、一般には電気式のサーボ電動機をサーボモータと称している。
 サーボモータは普通の電動機と比べると、回転部の慣性が小さく速応性がすぐれている特徴があるが、次のように各種のものがある。
(a)直流サーボモータ
(i)基本的な構造、特性原理は、一般の直流電動機と特別の差異はないが構造的、性能的にいくつかの種類がある。
(ii)倒御方式
 直流サーボモータは比較的小さな寸法で大きなトルクを得られ、また、始動トルクに大きな特徴があるが整流子、刷子により火花を生ずる欠点がある。
(イ)電機子制御方式
 直接電機子電圧を制御するため増巾器の容量は大きくなるが大容量の制御、安定な広範囲の制御に適する。
(ロ)界磁制御方式
 増巾器の容量は小さくてよいが応答性、整流があまりよくなく、小容量のものしか用いられない。
(ハ)直巻制御方式
 整流が悪くなりがちであるが、比較的大容量のものまで用いられる。
 
(b)二相サーボモータ
 二相サーボモータは単相交流電源によって駆動容易なためサーボモータとして一般的に使用されている。
 基本的な構造、作動原理は一般の誘導電動機と同一であるが、制御系の一要素として用いられるという点から構造、特性上にいくつかの差異がある。
 二相サーボモータの固定子には図2.65に示すように電気的に90°離れて二相巻線を有し、一方の主巻線に一定の励磁電圧を加え、他方の制御巻線に励磁電圧と位相が90°異なる制御電圧を加え、この制御電圧の大きさを変化させ、また、電圧位相を180°反転させることにより回転方向と速度を制御することができる。単相交流電源を利用する場合は、主巻線に直列に進相用コンデンサを接続して、ほぼ90°位相を進めておくか、又は制御用増幅器に移相回路を追加して位相変化を行うと共に、制御巻線の電圧制御を行う方法が広く用いられている。
 この制御の方式は、位置の指令にポテンショメータ(抵抗器の両端にある電圧を加えておき、その抵抗体の上をブラシでしゅう動して所要の電圧を得る装置。回転速度の遅い場合に使用される。)又は制御用シンクロを用い、追従動作を二相サーボモータによって行わせるサーボ機構の場合に、一般的に採用されている。図2.66はポテンショメータを使用した場合のサーボ機構の結線と、ポテンショメータ出力電圧の位相を示す。
図2.65 二相サーボモータの基本構造図
 
 図2.66(a)は電圧制御の場合のトルク対回転速度特性の傾向を示す。
(拡大画面:47KB)
図2.66(a)ポテンショメータと二相サーボモータの組合せによるサーボ機構とポテンショメータの電圧位相
 
図2.66(b)二相サーボモータの速度トルク特性
 
(c)パルスモータ
 ステップモータ又はステッピングモータともいう。直流の入力パルスをモータ固定子に設けた複数の励磁極巻線に順次加えていくことにより永久磁石を配列した回転子が一定角度づつ回転する回転機で、入力パルスに同期して作動する特殊な電動機である。
 パルスモータにはいろいろの種類があるが比較的多く用いられているのは三極分布巻単層形と三極分布巻多層形である。
 
三極分布巻単層パルスモータ
 
三極分布巻多層パルスモータ







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION