日本財団 図書館


2・2 配電盤
 船舶用配電盤の種類としては分類の方法によって異なり、例えば電源の種類(交流、直流、電圧)発電と給電、監視と制御、負荷(電灯、動力、通信)、保守(充電、器具試験)、形状(垂直自立形、壁掛形、ベンチ形、デスク形、コントロールデスク形)、保安構造(ライブフロント形、デッドフロント形)等に分類されるが、先ず一般的の分類としては電源装置を対象とした次のものに分けられる。
○主配電盤
○非常配電盤
○補助配電盤
 
(1)主配電盤
 主配電盤とは、主発電機の発生電力を船内の電気設備に給電する目的で、電路の開閉、制御及び保護を行なうものをいう。
 小型を除いて一般に主配電盤(交流)は次の列盤又は列盤としないで適当な同面盤にして構成されている。
発電機盤
同期盤
動力給電盤
電灯給電盤
〔参考〕主配電盤の構造に関する規定(船舶設備規程第219条)
(a)第183条の2第1項各号に掲げる船舶(限定近海貨物船にあっては、機関区域無人化船に限る。)の主配電盤の母線は、断路器を備える等管海官庁が適当と認める方法により分割することができるものでなければならない。ただし、外洋航行船(限定近海貨物船を除く。)以外の船舶の主配電盤に接続する発電機の合計容量が3メガワットを超えない場合には、この限りでない。
(b)発電機その他の電気機械及び電気器具は、前項の母線の分割したそれぞれの部分にできる限り均等に接続しなければならない。
 なお、「NK鋼船規則H編2.5.3構造と材料」では、次のように規定されている。
(i)主配電盤は、二重装備が要求される重要な電気設備が1つの事故により同時に使用できなくなることのないように母線、遮断器その他の器具を配置しなければならない。
(ii)主電源装置が船舶の推進に必要な場合、主配電盤の構造は、次に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものでなければならない。
(イ)発電機盤は、各発電機毎に設け、各発電機盤の間は鋼又は難燃性の隔壁で仕切られていること。
(ロ)主母線は少なくとも、2母線に分け、遮断器又は他の承認された方法によって連結しておくこと。また、実行可能な限り、発電装置及びニ重装備の重要用途の機器は各母線に均等に配分されていること。
 
(2)非常配電盤
 非常配電盤とは、非常用電力を船内所定の負荷へ給電する目的で、その電路の開閉、監視、制御及び保護を行なう配電盤であり主発電機系統が事故のためこれに依存できないときに重要負荷に給電する。
 発電機エンジンの自動始動装置、船内蓄電池の充電装置ならびに主・非常配電盤の電源母線切換装置を組込むことが多い。
 
(3)補助配電盤
 補助配電盤とは補助発電機から船内所定の電気設備に給電する配電盤をいう。まれに主配電盤もしくは非常配電盤と負荷の中間にある配電盤を指していうこともある。制御盤が別置される場合はそれも含めて呼称する。
 その他船舶では蓄電池充放電盤、通信配電盤、試験配電盤、集合始動器盤などがある。
 
(1)垂直自立形配電盤
 船用配電盤の基本の形で最も多く採用される。ただし、小型船では装備場所の関係で壁掛形とするものもある。
(2)ベンチ形配電盤
 同期盤のみをベンチ形とし、他は垂直自立形とするのが最も一般的である。
(3)デスク形配電盤
 主として制御用で垂直自立形配電盤と組合せ分離形として用いることが多い。
(4)コントロールデスク盤
 主として監視、制御に用いられ自動化された船舶に用いられる。
図2・27 各種制御盤の形状
 盤表面における充電部の状態により次の二種類がある。
(1)ライブフロント形
 操作する盤面に充電部分があり、操作する際、人間がそれらの通電部分に触れる恐れのある構造のもの。
(2)デッドフロント形
 操作する盤面に充電部分がなく、操作する際、人間が通電部分に触れる危険性のない構造のもの。
 線間電圧又は対地間電圧が直流50V、交流実効値50Vを超える配電盤はデッドフロント形でなければならない。(NK鋼船規則H編2.5.2−3取扱者の安全に対する考慮)
 なお、船舶設備規程第214条では、「供給電圧が50ボルトを超える配電盤は、デッドフロント型のものでなければならない。」と規程されている。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION