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国連危険物輸送専門家小委員会
第22回会合議事概要報告
 
1. 会期、参加国、議題及び議長等
 
1.1 会期及び開催場所
会期:平成14年12月2日〜6日
場所:国連欧州本部(Palais des Nations、ジュネーブ)
 
1.2 参加国等
1.2.1 国及び国際機関
(1) 委員国:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フィンランド、チェコ、フランス、ドイツ、イタリー、日本、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国及び米国(出席:23カ国、欠席:インド、イラン及びモロッコ)
(2) オブザーバー国:バハマ、スイス及びチュニジア
(3) 国連専門機関及び政府間機関:IAEA、ICAO、IMO、WHO及びOTIF
(4) 非政府国際機関:ABSA、AEGPL、AISE、DGAC、EIGA、CGA、CP、CEPE、CEFIC、FEA、FIATA、ICCA、ICCR、ICDM、ICIBCA、ICPP、IRU、ISO、SEFEL及びUIC
1.2.2 わが国からの参加者(敬称略・五十音順)
   梅村浩司(日本舶用品検定協会)
遠藤秀雄(経済産業省原子力安全・保安院保安課)
関口秀俊(東京工業大学)
北林邦彦(国土交通省海事局検査測度課)
中島紀昭(全日本火薬類保安協会)
八十川欣勇(国連危険物輸送専門家小委員会委員・日本海事検定協会)
吉田千秋(理工学振興会・東京工業大学)
1.3 議題の採択及び議長等の選出
1.3.1 議題の採択
第20回小委員会の予定議題(ST/SG/AC. 10/C. 3/43)は、期限後送付されたINF. Paperを今回会合文書に含めることを承認して採択された。
1.3.2 議長等の選出
第20回委員会(2000年12月)において今次2年間(2001〜2002年)の議長及び副議長としてMr. S. Benassai(イタリー)及びMr. F. Wybenga(米国)がそれぞれ選出されており、この二人がそれぞれ議長及び副議長に就任した。
 
1.4 各提案の検討結果
1.4.1 今回会合における各提案に対する検討結果は、資料UN1S−6−3及びUN2S−17−3並びにUN1S−6−4及びUN2S−17−4の夫々の結果欄に示した。
 
2. ガス輸送に関する追加規定
2.1 W/G報告書
2.1.1 ガス輸送に関する追加規定の検討は、前回と同様に本会議と平行して開催されたW/Gにおいて検討された。本件に関する今回会合の正式文書はなかったが、前回会合の報告書(ST/SG/AC. 10/C. 3/42)及び若干の非公式文書(INF. Paper)基づき検討され、その報告書(INF.47)が本会議に報告された。本小委員会はW/Gの検討結果を承認した。
2.1.2 本件検討はW/G報告書の承認により、モデル規則第12版のガス輸送規定の改正が行われる。
 
2.2 ガス輸送規定改正
2.2.1 モデル規則第12版のガス輸送規定改正の主なものは次のとおりである。
(1) 4.1.6、Class 2の危険物に対する特別規定を若干改正する。
(2) UN1953ほか12エントリーのLC50欄に“5000”を加える。
(3) に深冷液化ガスの包装基準を加え、UN1003ほか19エントリーの危険物リスト第8欄にP203を加える。
(4) 5.2.2.1.13に深冷液化ガス容器に貼付する「天地無用」標札を加える。
(5) 6.2.1.3.6に密封深冷液化ガス容器の追加要件を加える。
(6) 6.2.2.1(設計、構造、検査、試験等)の規定の一部を改正する。
(7) 6.2.2.6に「圧力容器の定期検査及び試験に関する承認システム」規定を新設する。
(8) 6.2.2.7(現行6.2.2.6)の充填可能なUN圧力容器表示規定の一部を改正する。
 
3. 小委員会第19、20及び21回会合における採択事項及び関連事項
3.1 国連勧告総合改正案に対する検討
3.1.1 小委員会第19、20及び21回会合において採択された国連勧告(試験マニュアルを含む。)の改正案(02/60:事務局)に対する提案は、オーストラリア提案(02/58)を除いて採択(修正されたものを含む。)された。
3.1.2 有機金属物質の分類スキームが採択されたことに伴い現行エントリーを削除すべききとのICCAの再度の提案(02/71)については、UN2003、3049、3050、3203、3207及び3372のN.O.Sエントリーは削除するが、それ以外の特定品名のエントリーは残す。ただし、これら残されたエントリーも2007年1月1日以降は削除される。この期日までは新旧のいずれのエントリーも用いることができることとなった。
 
3.2 モデル規則第12版の改正概要
3.2.1 モデル規則第12版の改正の概要は次のとおりである。
(1) (1)1.1.2.6に不適合放射性物質に関する規定を新設
  (2)“Bulk container”の定義の新設
(2) (1)2.4.5に有機金属物質の分類規定を新設
  (2)2.5.3.2.4、有機過酸化物リストの改正及び8物質の追加
  (3)2.6.3の感染性病原物質規定の大幅改正
  (4)2.9.3(Class 9)に環境有害物質(水質環境)の分類当に関する規定を新設
(3) (1)固体/液体によるエントリー確定に伴う危険物リストの品名等の改正
  (2)新エントリーの追加、UN3377〜3340
  (3)UN No.の付け替え(固体/液体)、UN No.3441〜3467
  (4)新SP311〜319の追加
(4) (1)P620及びP650(Div. 6.2)の改正
  (2)4.3.1及び4.3.2に「バルクコンテナの使用」に関する規定を新設
(5) オーバーパックの表面への“OVERPACK”の表示(5.1.2.1)
(6) (1)容器としての木樽を削除
  (2)6.3.8にバルクコンテナの設計、構造試験要件規定を新設
 
3.2.2 試験マニュアル
(1) ANEの分類及び輸送要件試験として試験シリー8を追加
(2) 第18節に試験シリー8(a:熱安定性試験、b:ギャップ試験、c:ケーネン試験、通気管試験)の試験及び判定基準を新設
(3) 第31節にエアゾールの引火性判定試験(着火距離試験、密閉着火試験及び泡引火性試験)規定を新設
(4) 第37節に金属腐食性試験規定を新設
 
4. 新提案
4.1 懸案事項
4.1.1 反復衝撃試験(振動試験)
(1) 反復衝撃試験(振動試験)は米国提案(02/77)を基に検討されたが、米国提案が輸送中の振動状態に対応する容器の評価には不適であると指摘する意見もあり、今回もその採り入れが合意されなかった。本件を今後も引き続き検討すべきか否かについては票決により検討継続が決定され、本件を次期2年間の作業計画に含めることが同意された。
(2) なお、軍用基準810Fを振動試験に採り入れるべきとの意見については、本基準を民用に適用するのは費用がかかりすぎることや、危険物輸送との関連が薄いことを指摘する意見が多く支持されなかった。
4.1.2 危険物輸送と保安
(1) 保安規定の検討は、英国提案(02/65)に対する米国修正案(INF.35)を基に時間外W/Gにおいて行われ、この修正案に修正を加えたW/Gの検討結果が承認された。保安規定は、モデル規則「第1.4章 保安規定」及び第7.2章「道路、鉄道及び内陸水路による輸送における保安規定」として新設されることとなった。第1.4章は全ての輸送モードに、第7.2章は特定の輸送モードにそれぞれ適用される。
(2) 保安規定に関してわが国は、海上輸送における保安規定としてSOLAS条約の改正作業がIMOにおいて行われていることもあり、モデル規則の保安規定には輸送モード固有の保安規定を考慮すべきである旨の指摘(INF.48)を行った。これに対し、モデル規則の保安規定は全輸送モードに適用されるものではあるが、各輸送モードで定める保安規定を妨げるものではないとの小委員会の認識示された。
(3) 保安規定案中の新規採用者の経歴確認や挙動不審者の通報に関する規定は、人権にも係わることから削除された。
4.1.3 感染性病原物質のばら積み輸送に関する英国提案(02/66;UN2900(動物感染性物質))は採択されたが、同じく英国提案(02/67;UN3291(医療廃棄物))については、提案されている輸送要件では医療廃棄物の輸送ユニットからの漏洩等その安全輸送に疑問が提起され、票決の結果賛否同数で否決された。
 
4.2 新規事項
4.2.1 21SCETDGから持ち越されていた小型ガス容器に関するAEGPL提案(02/7及び02/8)は、米国、カナダ、ICAO TIに関連規定があるので、これらを考慮すべきとの意見が出され、本件は次期に検討が持ち越された。
4.2.2 今回の新規提案(議題 4b ii)のうち、SP191の改正(02/57:オーストリア)及びUN2936(チオ乳酸)の分類替え(02/59:ドイツ)は次期持ち越しとなったが、他の提案は採択(修正等がなされたものを含む。)又はTake noteされた。
 
5. 分類調和小委員会(SCEGHS)との協力
5.1 前回会合以来実施されていたTDG/GHSの標札に関する研究結果とそれに基づくGHS案の表示規定の改正案(02/82:米国)が紹介され、小委員会はこれをTake noteした。本件はSCEGHSにおいて検討される予定である。
 
6. 次期2年間(2003〜2004)の作業計画
6.1 次期2年間の作業計画に含めるべき事項は、次のとおりとした。
 (1) 煙火の分類基準
 (2) 小型、中型及び大型容器の振動試験及び貫通試験
 (3) 次亜塩素酸カルシウムの輸送
 (4) 水生環境有害
 (5) 危険物輸送勧告とGHG勧告との調和
 (6) 事故報告手順
 (7) 緊急措置の標準化(北米緊急対応指針を基に検討)
 (8) モデル規則の各種規定に関する策定原則
 (9) 国連容器要件の評価
(10) 少量危険物の輸送
(11) 危険物の分類並びに容器およびタンクの使用に関する関連提案
 
6.2 緊急措置の標準化は、北米緊急対応指針を検討のベースとすることが同意された。
 少量危険物の輸送に関してはフランスがホスト国となり、次回23SCETDG会合の前週にパリで非公式W/Gが開催される。
 
7. その他の事項
7.1 ECOSOC決議案
 SCETDG及びSCEGHSにおける今次2年間の作業及び次期2年間の作業計画の承認に関するECOSOC決議案(CRP.5:事務局)は、一部修正の上承認された。
 
7.2 次期2年間の役員の選出
 次期2年間の役員として今次と同じMr. S. Benassai(イタリー)及びMr. F. Wybenga(米国)がそれぞれ議長及び副議長として選出された。
 
7.3 輸送書類の記載W順序に関するIATAの決定
 IATAは輸送書類の記載順序を2005年1月1日から「UN No.−品名−クラス又は区分(副次危険)−容器等級」とすることを決定したと報告した(02/78)。これについて小委員会は、2種類の記載順序を選択できるとしているモデル規則の規定があるのにも拘らず、IATAが単一の輸送モードのしかも単一の非政府機関がモデル規則の選択肢を否定する決定を行ったことに対し強い疑念を表し、IATAにモデル規則の規定どおりとすることを強く勧告することとした。
 
7.4 次回会合
23SCETDG 2003年6月30日〜7月4日
5SCEGHS 7月7日〜9日(AM)
 
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