2.3.3 旱魃年と海洋変動との関連の抽出
冷夏年と同様に条件抽出法により旱魃時の海面水温変動を抽出した。旱魃年における海面水温偏差の時間発展を図6に示す。正偏差(負偏差)は日本で旱魃が起きている年に海面水温が高い(低い)ことを示す。
日本で全国的に旱魃が発生しているときの北太平洋の海面水温偏差は、日本近海から北緯40°線に沿って西経170°あたりまで有意に正偏差を示し、冷夏の時と逆の傾向を示す。同様にアラスカ南沖にも正偏差があるがこちらは有意な偏差ではない。また沖縄近海から北緯30°線に沿って西経160°あたりまで負偏差(有意ではない)がある。また北大西洋では、メキシコ湾に有意な負偏差があり、北米東岸に有意な正偏差、グリーンランドの南に負偏差がある。前年9月からの海面水温偏差の時間発展は冷夏におけるものよりはっきりしない。前年の秋から冬にかけて北西太平洋は負偏差で北東太平洋は正偏差である。春になると偏差の分布ははっきりしなくなるが、6月には北緯40°以北の太平洋は正偏差に覆われ、7月には南下して日本を覆う。秋には正偏差は東に伸びて北太平洋はほぼ全域が正偏差を示す。
図6 旱魃年前後(前年9月〜当年12月)の海面水温偏差の時間発展(A〜P)。
偏差分布は隣接した格子の値を平均して平滑化した。
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(A)前年9月
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(B)前年10月
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(C)前年11月
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(D)前年12月
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