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第4章 霧予報の検証
 本章では、前章までに記述した気象モデルANEMOSの改良版を用いて、実際に発生した瀬戸内海の霧事例について計算を施し、検証を行った。検証は晴霧と雨霧に分類し、第3章に示した検証日について行った。
 計算は3.2.1節と同様に、気象庁GPV(RSM)を初期値・境界値として、図3.2.4の領域で計算し、その計算結果を図4.1の領域でネスティングした。
 海面水温は、晴霧事例はNOAAのデータを観測値で補正したものを使用し、雨霧事例は気象庁発表のNear−goosのデータを使用した。
 
図4.1 計算領域(ネスティング)
 
4.1 霧の検証方法
 本研究の検証は、瀬戸内海を2つの区域に区切り、その区域の最小視程を比較することで行った。区域は南から暖気の移流が入りやすく、霧の発生の多い区域をA区域、比較的入りにくく霧の発生件数の少ない区域をB区域に分類した。実際に、2000年〜2002年の3年間の霧発生回数を比較しても、A区域は98回(晴霧37回)観測されており、B区域は33回(晴霧10回)しか観測されていなかった。またA区域は過去に事故の発生件数の多い備讃瀬戸を含み、B区域は来島海峡周辺を含んでいる。以下に設定した区域を示す。
 
図4.1.1 設定領域
 
 検証は各対象日における視程を計算し、観測値と比較することで行った。視程の計算方法は沿岸・内湾での海霧予測の実用化研究(平成13年度事業)と同様に式(4−1)を用いた。霧粒の代表粒径は昨年度と同様に12.5μmとした。
 
VIS 視程(m
D 霧粒の粒径(μm
w 霧水量(g/m3
 
 計算値の視程は、区域内の格子点視程値の最低値で定義し、観測値の視程は区域内における観測点の視程の最低値で定義した。







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