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下水処理場(げすいしょりじょう)のはたらき
 下水処理場は、家庭や工場で使われた、よごれた水をきれいにして川や海に流しています。
 下水処理場では、まず「最初沈殿池(さいしょちんでんいけ)」で、下水に混じっている砂やどろを沈ませ(しずませ)、取りのぞき、次に、「エアーレーションタンク(ばっ気槽(そう))」で、微生物(びせいぶつ)を使って有機物(ゆうきぶつ)を分解します。それから「最終沈殿池(さいしゅうちんでんいけ)」で細かいよごれを沈ませ(しずませ)、取りのぞき、塩素(えんそ)で殺菌(さっきん)して、川や海に流します。
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下水のリサイクル
 浄水処理や下水処理でできた汚泥(おでい)は、それぞれ、グラウンドの土や畑の土、レンガなどの建築の材料などに、再利用されています。
水のリサイクル
 一般に、トイレにも、飲み水と同じ水が使われていますが、トイレに流す水は、それほどきれいである必要はありません。そこで、下水処理しただけで、水道の水になるまで浄化されていない水(「中水道(ちゅうすいどう)」)を、駅やビルなどのトイレに利用しています。
 また、下水道で集められた雨水も、トイレなどに利用されています。
 
それぞれの都市の水利用
〔滋賀〕
 かつて、琵琶湖や琵琶湖へ流れ込む河川は、美しく豊かな水源に恵まれ、湧き水にも恵まれていました。漁業がさかんで、特に、琵琶湖でとれるニゴロブナでつくった「ふなずし」が滋賀県の特産品として有名です。
 滋賀県の水道の水は、おもに琵琶湖の水を緩速(かんそく)ろ過で浄水されています。
 琵琶湖の水質が悪化してきたため、急速に下水道の整備が進められ、滋賀県の下水道普及率(げすいどうふきゅうりつ)は、平成14年3月では、69.5%で、全国平均よりも高く、全国で7位になっています。
 下水処理方法も、琵琶湖の富栄養化防止(ふえいようかぼうし)のために、高度処理(こうどしょり)が行われています。
おいさで漁
 3月から6月ごろに琵琶湖で行われている小アユ漁です。
 
〔京都〕
 京都は、地下水に恵まれ、たくさんのきれいな水が各地に湧き(わき)出し、川や池や泉をつくってきました。名水が多く、いつでもおいしい水を飲むことができました。
 湧き(わき)水を利用して、酒(さけ)や麩(ふ)や豆腐(とうふ)がつくられてきました。そして、人々は、井戸水で生活していました。
 明治時代に琵琶湖疏水(びわこそすい)がつくられ、琵琶湖の水を直接、京都の浄水場まで送り、水道水をつくるようになりました。
 京都市の公共下水道は、すべて淀川水系に水を流しています。京都の下水は、下流の淀川水系や大阪湾の水質に大きな影響(えいきょう)をあたえるので、高度処理を行い、なるべくきれいな水を流すよう、努力しています。
御手洗川(みたらいがわ)が流れる上賀茂神社境内(かみかもじんじゃけいだい)
 このように、京都には、川をうまく取り入れた(とりいれた)庭園(ていえん)が見られます。
 
〔大阪〕
 淀川の水を利用している浄水場は、大阪府水道が3ヵ所、大阪市水道が3ヵ所、枚方市、寝屋川市、守口市、吹田市にもあり、多くの大阪府民が、淀川の水を利用しています。
 上流から生活排水(せいかつはいすい)や工場廃水(こうじょうはいすい)などが淀川に流れ込んでくるため、大阪では、高度浄水処理(こうどじょうすいしょり)で、カビ臭や有害物質を取りのぞき、より安全な水道水をつくっています。
 下水処理場で高度処理された水は、大阪城の外濠(そとぼり)や、水源(すいげん)のない小川の水や、ホタルの飼育(しいく)などにも利用されています。
水道記念館(旧柴島浄水場(きゅうくにじまじょうすいじょう)) 
 大正三年につくられた、大阪市で一番古い浄水場です。
 
《OAP熱供給システムを使った冷暖房システム》
 大阪の天満橋にあるOAP(大阪アメニティパーク)のビルでは、すぐ近くにある大川(旧淀川)の水をビルの冷房や暖房に使っています。
 川の水の温度が大気とくらべて冬は高く、夏は低いことを利用して、ヒートポンプを使って熱エネルギーをつくりだします。
 これは、河川水温度差(かせんすいおんどさ)エネルギーという、自然を利用した、環境(かんきょう)にやさしいエネルギーです。
大川から見たOAPのビル
 
《関西電力南港発電所(かんさいでんりょくなんこうはつでんじょ) エル・シテイ館(かん)》
 南港発電所は、火力発電所で、大阪湾の海の水を利用しています。
 発電所の面積は、約50m2で、甲子園球場の約12.5個分の広さがあります。
 発電する力は、180万キロワットです。これは、大阪市内で使われる電気の約30%になります。
 南港発電所のとなりにあるエル・シティ館では、電気のことを楽しみながら学習できます。
南港発電所
 
エル・シティ館







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