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第5章 環境ISOへの取り組み
 中小型造船業が、社会から求められる企業責任として、今後益々厳しくなるであろう廃棄物に関する法規制等に対応しつつ、健全な経営を維持していくためには、多くの課題が山積している。廃棄物処理コストは益々高騰することが予想されるうえ、循環型社会の形成が強く叫ばれるなか、造船業界、舶用工業界、協力事業者らが一丸となって廃棄物の減量化、適正処理及びリサイクルの推進により環境保全に努めていくことが求められる。ゼロエミッション達成に向けた改善計画策定、環境ISO認証取得等も重要な課題である。
 ここではISO14001の認証を取得するうえで、廃棄物の処理に関してチェックすべき項目を示す。これらの項目を適正に設定し、維持運用していくことを通じて地球環境の保護に努めることが求められる。
 
1. 廃掃法、地方条例、地方自治体との協定等が適用されているか
2. 必要とされる資格者の種類
3. 法規制、条例、協定等の要求事項の一覧表はあるか
4. 特別管理産業廃棄物管理責任者の選任、届出はされているか
5. 管理票(マニフェスト)は確実に使用されているか
6. 特別管理産業廃棄物及びその他の産廃物の排出量は定期的に報告されているか
7. 産業廃棄物の保管に問題はないか
8. 特別管理産業廃棄物保管に問題はないか
9. PCBの保管状況に問題はないか
10. 産業廃棄物処理施設の法規制要求事項に準拠しているか
11. 産業廃棄物処理業者との委託契約は各個別に行われているか
12. 処分場の視察記録はあるか
13. 廃棄物の処理手続きを具体的に示した手順書はあるか
 
 企業に対して求められる社会的な責任は年々重さを増しています。特に環境問題については規制強化が頻繁に行われるうえ、所在する自治体毎に独自の条例の施行やガイドラインの設定を行うケースも少なくありません。
 中でも製造業にとって生産活動を通じて排出される所謂「産業廃棄物」の処理は、今や最重要課題と言えるでしょう。
 当工業会は平成14年度日本財団助成事業として「中小型造船業における廃棄物の減量化等の推進」を実施し、廃棄物対策に取り組むことと致しました。適正な分別収集、破砕による減容等について研究し成果を指針に取りまとめました。
 今後広く海事産業界において廃棄物の適正処理が行われるよう、海運・舶用業界をはじめ関係各方面と協調しながら環境保全活動を推進していくにあたり、本指針がその一助となることを願ってやみません。
 最後になりましたが、本事業の実施に当たりご指導ご支援いただいた国土交通省海事局、日本財団を始めとする関係各位に厚く御礼申し上げます。
社団法人 日本中小型造船工業会
専務理事 松村 文夫







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