はじめに
企業にとって環境問題、なかでも廃棄物問題は極めて深刻な問題である。造船業では新造分野・修繕分野を問わず、非常に他種類の、大量の廃棄物が排出される。分野により廃棄物の内容には自ずと違いがあるが、企業としてはこれら廃棄物の適正な処理に大いに腐心するところである。特に近年、廃棄物の処理に関しては規制が強化される一方で、地域毎の規制の格差や最終処分場の不足等の問題も指摘されている。適正な処理とコストの削減には社内体制の整備等を含め、細心の注意が必要である。
ただし、廃棄物の処理については、いかに厳密な運用を心がけてもこれでいいというところはない、逆の言い方をすればどこで現実と折り合いを付け、適法かつ低コストの処理を行うかがポイントとなる。理想的と思われる廃棄物処理も継続的に実施できなければ意味はない。廃棄物処理は永く続く戦いなのである。
本事業においては、そうした造船界の実状を踏まえ、中小型造船所の廃棄物処理をいかに適法に、いかに低コストに行うかを、地域毎の個別事情等も加味して調査研究し、新しい処理方策の枠組みを示すなどして指針に取りまとめた。
本指針が中小型造船所の廃棄物処理適正化の一助となれば幸甚である。
社団法人 日本中小型造船工業会
環境保全活動推進部会
部会長 杉原 毅
各造船所の訪問調査に先立ち、廃棄物排出の概況を把握するために書面調査を行った。調査結果は次頁の通りである。
また、廃棄物のうち梱包材を削減する1つの手段として、各社に対して「通い箱」の導入対象として検討すべき機器類の調査も併せて行った。調査は、比較的搬入頻度が高く、付加価値の高いと思われる品目のうち、重量20kg程度までの製品に限定して行い、16社中7社より回答を得た(順不同)。なお、造船所の標記に従ったため、一部機器は重複している。
無線機器 |
航海機器 |
ジャイロコンパス |
電磁ログ |
汽笛 |
照明器具 |
電路器具 |
高膨張消火装置 |
機関部品 |
圧力計 |
流量計 |
温度計 |
風向風速計 |
フロートスイッチ |
フロートゲージ |
記録式漁探 |
スキャニングソナー |
レーダー |
GPSプロッター |
ビデオプロッター |
気象衛星受画装置 |
冷凍・空調部品 |
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廃棄物排出概況調査結果
※事業参加16社を対象に調査し、15社の回答を得た。特にことわりのない場合は数字は社数を示す。
分別収集を行っていますか。
分別収集の方式はどのようなものを使っていますか
専用バケット |
12 |
一般容器 |
5 |
積み上げ |
2 |
その他 |
2 |
放置 |
1 |
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焼却炉について現在の状態は
保有し、現在稼働中 |
8 |
保有していない |
6 |
保有しているが稼働していない |
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総計 |
14 |
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今後も継続して焼却炉を稼働させる予定ですか
廃棄物処理に専従者を配置している社 |
10 |
専従者数 |
40 |
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専従者の担当業務が決まっている社の内訳 |
社数 |
2 |
収集 |
2 |
分別 |
4 |
焼却 |
3 |
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廃棄物処理費用(年間:千円)
有効回答社数 |
13 |
13社全体の処理費用合計 |
173,182 |
最大 |
50,000 |
最小 |
3,050 |
平均 |
13,322 |
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主な廃棄物 |
社数 |
バッテリー |
1 |
タイヤ |
1 |
リサイクル |
1 |
一般ゴミ |
2 |
ウエス |
1 |
缶 |
5 |
ビニール類 |
1 |
ダンボール |
3 |
古木材 |
4 |
廃ペイント・シンナー |
5 |
ブラスト砂 |
6 |
油エレメント |
1 |
燃え殻 |
5 |
汚泥 |
4 |
廃油・ビルジ |
11 |
廃プラスチック |
2 |
繊維くず・ロープ |
2 |
金属くず・ワイヤー屑 |
6 |
鉱さい |
2 |
スラジ |
2 |
スラグ |
1 |
がれき |
1 |
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塗料の使用量(使用量:単位トン)
有効回答社数 |
12 |
12社全体使用量 |
3,997 |
最大使用量 |
1,451 |
最小使用量 |
12 |
一社平均使用量 |
333 |
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サンドブラスト使用量(使用量:トン数)
有効回答社数 |
10 |
10社全体使用量 |
4,109 |
最大使用量 |
833 |
最小使用量 |
50 |
一社平均使用量 |
411 |
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(拡大画面:62KB) |
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現状、廃棄物関係でお困りのことがあれば記載してください。
・減量化が進んでいない
・油・ケミカルタンカー等の不要になった荷油ホースの処分
・処理費の高騰、漂着物処理、修理船から出る私物(電化製品、衣服、くつ、毛布)
・処理費用が年々高くなってきている。(最終処分場の新設が認められないため)
・処理費用の高騰
・処理費用が高い、分別するにも要員を配置できない、部品納品は宅配便利用なので通い箱も使いにくい
・処理費用が高い
・蛍光灯・乾電池の処分ルートが確立されていない、従業員の分別意識が低く教育、指導を模索中
・バッテリー、荷役ホース、古タイヤ等の引取先及び切断に手間がかかる
今後廃棄物関係で検討されている対策があれば記載してください。
・ゴミの分別収集体制の確立が現在進行中
・14年12月対応の焼却炉購入
・分別の徹底
・分別対象の大幅拡充、限定的な所内焼却、持ち込み資機械の削減
・ある程度の分別、再生可能なものは再生減量化したいが人手の問題あり
・各課各職毎のゴミ排出責任を徹底する。ゴミの現場流出を出きる限り少なくする(できるだけ裸にして持ち出す)
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