3. マレーシア
<東京ガスと東京電力、ガス調達でMLNGと合意>
東京電力と東京ガスはマレーシア国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)傘下のマレーシアLNG(MLNG)と、2003年4月から15年間にわたる液化天然ガス売買に関する合意覚書に調印した。総購入費は760億リンギ(200億米ドル)に相当。
今回合意された年間契約数量は、東京電力が480万トン(うち短期数量が70万トン)、東京ガスが260万トン(うち短期数量が50万トン)。
《09,11 Mar 2002, New Straits Times, Business Times, The Star, The Sun, Malaysia》
<海運最大手、仏ガス社からLNG輸送受注>
国内海運最大手のマレーシア国際海運(MISC)は、フランスの公益会社ガス・ド・フランスからLNG輸送事業を受注した。契約期間は3年(オプションで1年延長)、受注額は明らかにされておらず、2003年1月から輸送を開始する予定。
MISCは国営石油会社ペトロナスの子会社で、LNG輸送用のタンカーを13隻保有。サラワク州ビントゥル〜日本・韓国・台湾間の輸送を行っている。
《17,22 Apr 2002, Bernama, Malaysia, Shipping Times, Singapore》
<PTP港、エバーグリーンと契約締結>
ジョホール州のタンジョン・プルパス港(PTP)は、台湾海運最大手のエバーグリーン・マリン(長栄海運)との間で、シンガポール港からの機能移管について合意したと発表した。
両者は今月1日にターミナルサービスについて合意し、契約を締結したもよう。今年第3四半期(7〜9月)中の業務開始が見込まれている。PTPで取り扱われるコンテナの量や契約額などは明らかにされていない。
《03,06-07 Apr 2002, Reuters, The Business Times, Singapore》
<270万TEUを予測:PTP港>
タンジョン・プルパス港(PTP)のモハマド・シディク最高経営責任者(CEO)は、同港の2002年の年間コンテナ取扱量は、前年比約30%増の250〜270万TEUとなる見込みだと述べた。この予想はシンガポール港で年間120万TEUの貨物を取り扱っていたエバーグリーン・マリン(長栄海運)のコンテナ積み替え拠点移管を受けたもの。
同CEOは、エバーグリーン・マリンが拠点移転にあたってコストのほかにもPTPのコンテナ取扱能力を重視したと強調。大手海運会社の拠点移動はジョホール州に利益をもたらし、マレーシアが近い将来、域内の海運の主要拠点になるだろうと語った。
《09 Apr 2002, New Straits Times, Business Times, The Star, The Sun, Malaysia》
4. タイ
<海運最大手、3年ぶりに黒字転換>
海運最大手プレシャス・シッビング(PSL)は昨年決算で、税引き利益6億7,300万バーツを計上し、3年ぶりの黒字となった。昨年9月の米同時テロ以降は受注が減少したものの、為替差損の減少と1〜9月期の税引き利益5億7,100万バーツが通年での増収要因。総売上高は前年比3%減の40億5,600万バーツ。
今年は景気が「6月以降に持ち直す」(ハシム社長)と見られるため、前年並みの業績維持を見込んでいる。海外からの借り入れで事業を拡大したが、1997年のバーツ暴落で債務超過に陥り赤字経営が続いていた。現在、32隻の船舶を保有。
海運会社ユニ夕イ・ライン(UTL)も税引き利益が前年比8割増の3億6,300万バーツを記録した。総売上高は前年比4.9%増の23億4,300万バーツ。同社は先月に2基目の浮きドック(1万3,500重量トン)を購入。
《12 Mar 2002, The Daily NNA》
<港湾局のしゅんせつ船、発注先が倒産>
運輸通信省港湾局が発注した浚渫船3隻が発注先の米企業の倒産で納品されなかった問題で、同省は25日、損害額が推定1,100万米ドルに上る見込みであることを明らかにした。倒産したのは米国の浚渫大手、エリコット・マシン・インターナショナル。発注額は4,900万米ドルで、港湾局はすでに4,270万米ドルを支払っていた。
エリコット社は資金繰りが極めて悪化していたが、港湾局は同社に浚渫船を発注、保証金規定も契約調印後すぐに撤回した。政府は入札をめぐり不正があった疑いが濃厚として昨年半ばに調査を開始、9月に同局のC6〜10クラスの中堅・高級官僚13人を左遷した。
《27 Mar 2002, The Daily NNA》
<中国海運大手、タイ〜米西岸運航>
タイの主要港であるレムチャバン港(東部チョンブリ県)に中国の海運大手、中国集装箱運輸有限公司(CSCL)の貨物船「CSCLヤンティアン」(2,750TEU)が到着し、タクシン首相が歓迎式典を行った。CSCLはタイ〜米国西岸間で貨物船を運航する予定。同社の輸送料金は業界平均より15%ほど安いとのこと。
CSCLのタイ路線サービス開始は昨年5月の朱鎔基・中国首相の訪タイで決まったもの。レムチャバン港は昨年、コンテナ貨物取扱量が前年比10.6%増の170万TEUに、貨物取扱量が同10.9%増の1,580万トンに増加した。
《02 Apr 2002, The Daily NNA》
5. オーストラリア
<インキャット社破綻>
高速アルミ双胴船で有名な、タスマニア(TAS)州ホバートの造船会社インキャットが事実上破たんした。同社に約8,000万豪ドルを融資しているナショナル・オーストラリア銀行が、会計事務所大手プライスウォーターハウスクーパーズの管財人に経営を任せた。TAS州政府も昨年、インキャットに3,000万豪ドルを融資したが、これは全額保証される見込み。
インキャット社は、一時従業員が約1,000人であったが現在は400人。1年半前から資産売却先を探していたが見つからなかった。資産には船舶14隻、造船所、プリンス・オブ・ウェールズ湾沿いの不動産がある。
《25 Mar 2002, The Daily NNA》
<軍需産業大手、造船部門で人員削減>
軍需品・工業機械製造のADIはこのほど、ニューサウスウェールズ州ニューカッスルにある造船部門で、建造中の掃海艇がほぼ完成したため従業員89人を解雇することを明らかにした。
豪製造業労働者組合(AMWU)のルフ代表は「残りの従業員が解雇されるのは時間の問題」とコメント。来月にはさらに100人余りの人員削減が行われると予想している。
同代表は「かつて450人だった同部門従業員が事務系50人、工員45人に削減される。ADIが本当に地元の雇用確保を念頭に置いているかは疑わしい」と述べ、契約社員に頼る同社の姿勢を批判している。
《11 Apr 2002, The Daily NNA》
6. 韓国
<船舶輸出にブレーキ、前年比24.3%減>
産業資源部は18日、国内造船産業の今年第1四半期の船舶輸出額が、前年同期比24.3%減の24億米ドルにとどまったと明らかにした。また、受注量は91万7,000CGT(標準貨物船換算トン)、受注額は14億2,500万米ドルで、それぞれ前年同期に比べ40%以上減った。
産業資源部は船舶輸出が急激に減少したことについて、昨年第1四半期に船会社への引き渡しが集中したことが主因だと指摘。今年1〜2月では25万CGTだった受注も、3月には回復傾向を見せていると説明している。
このため、今年の船舶輸出は、年間目標の98億5,000万米ドル(昨年比1.4%増)を達成できると強調している。
一方、国内造船業界の今年3月末現在の受注残量は15億4,300万CGT(255億米ドル相当)に達している。
《19 Apr 2002, The Daily NNA》
<船舶受注が不振、昨年比46%減>
国内造船業界の今年第1四半期の船舶受注が、昨年に比べ46%減と大きく落ち込んだ。昨年の米同時テロで委縮した船舶市場が、完全には回復していないためとみられる。
韓国造船工業協会がこのほど発表した今年1〜3月の造船産業動向資料によると、同期間の船舶受注実績は21隻・91万7,000CGT(標準貨物船換算トン)で、昨年同期の55隻・169万9,000CGTよりCGT基準で46.0%減少した。
種類別では、タンカーが9隻・27万4,000CGTで、昨年同期(29隻・81万2,000CGT)に比べ66.3%減少した。
また、昨年第1四半期には17隻・52万2,000CGTを受注したコンテナ船の場合、今年は受注がほとんどなかった。
これに対し、バルク船は昨年の2隻・3万2,000CGTから今年は7隻・18万3,000CGTに、液化天然ガス(LNG)船は同3隻・21万6,000CGTから4隻・28万8,000CGTに、それぞれ受注量を増やした。
これにより、今年3月末現在の受注残量は438隻・1,543万CGTで、昨年3月末(504隻・1,627万CGT)より5.1%減少した。
受注の不振について、同協会は「昨年の米テロ事件以降、船舶市場が委縮している」としながらも、「国内メーカーの場合、受注残量は豊富なためそれほど心配はない」と説明している。
《25 Apr 2002, The Daily NNA》
<釜山〜日本の旅客船、相次ぎ就航へ>
サッカー・ワールドカップ(W杯)を前に、釜山〜日本間の定期旅客船が相次ぎ就航する。
パンスターラインは今月23日から、釜山〜大阪航路にカーフェリー旅客船「パンスター・ドリーム号」を運航する予定。2万1,000トン級のパンスター・ドリーム号は、乗客550人と20フィートコンテナ220個を積載し、釜山〜大阪を18時間で結ぶ。
今年2月には、未来高速社が釜山〜福岡航路に超高速旅客船「コビー号」(定員220人)を就航した。これにより釜山〜福岡航路の定期旅客船は、カーフェリー旅客船を含め5隻に増えた。
このほか、釜山〜小倉(北九州)、釜山〜広島航路の新設も推進されている。これら2航路の就航が実現した場合、釜山と日本を結ぶ旅客航路は現在の3路線(下関、博多、対馬)7隻から6路線11隻に増える。
昨年に日韓間の旅客船を利用した乗客は57万9,000人で、前年に比べ約10%増加した。
《09 Apr 2002, The Daily NNA》
(以上ASIA MARINE NEWS No.98(2002年4月11日付)、No.99(2002年5月9日付)より)
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