第3章 窒素酸化物の排出基準
3.1 舶用ディーゼルエンジンのNOx排出許容限度
3.1.1 Fig.1のグラフは、附属書VI、第13規則、パラグラフ3(a)に述べてある関係式に基づいたNOx排出許容限度を示している。本コードの手順にしたがって計測され、計算され、重み付けされた総NOx排出量は、このグラフ上のエンジン定格回転数に対応する値以下でなければならない。
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Fig.1 舶用ディーゼルエンジンのNOx排出許容限度
3.1.2 エンジンが5.3に従った舶用ディーゼル油で運転されるとき、窒素酸化物の総排出量(NO2の重み付けされた総排出量として計算される)を、適切なテストサイクルを用いて、本コードで規定された計測方法により決定しなければならない。
3.1.3 Fig.1により個々のエンジンに適用される排出量の制限値と、当該エンジンで実際に計算された排出量の値を、当該エンジンのEIAPP証書に記載しなければならない。
3.2.1 すべての個々のエンジン、又は、エンジン・グループやファミリーの親エンジンに対して、附属書VIの第13規則のNOx排出制限値に適合していることの検証のために、3.2.2から3.2.6に規定されたテストサイクルの一つを適用すること。
3.2.2 推進用発電機を含む船の主推進用の定回転エンジンには、Table1に示すE2型テストサイクルを適用すること。
3.2.3 可変ピッチプロペラ装置には、Table1に示すE2型テストサイクルを適用すること。
Table1 |
「定回転主推進機関」(ディーゼル発電機及び可変ピッチプロペラ装置を含む)用テストサイクル |
E2型テストサイクル |
速度 |
100% |
100% |
100% |
100% |
出力 |
100% |
75% |
50% |
25% |
重み付け係数 |
0.2 |
0.5 |
0.15 |
0.15 |
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3.2.4 プロペラ則に従って運転される主推進機関及び補機関には、Table2に示すE3型テストサイクルを適用すること。
Table2「プロペラ則に従う主推進機関及び補機関」用テストサイクル
E3型テストサイクル |
速度 |
100% |
91% |
80% |
63% |
出力 |
100% |
75% |
50% |
25% |
重み付け係数 |
0.2 |
0.5 |
0.15 |
0.15 |
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3.2.5 定回転補機関には、Table3に示すD2型テストサイクルを適用すること。
Table3「補機関」用テストサイクル
D2型テストサイクル |
速度 |
100% |
100% |
100% |
100% |
100% |
出力 |
100% |
75% |
50% |
25% |
10% |
重み付け係数 |
0.05 |
0.25 |
0.3 |
0.3 |
0.1 |
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3.2.6 上記に含まれない、速度と出力が変化する補機関には、Table4に示すC1型テストサイクルを適用すること。
Table4「速度と出力が変化する補機関」用テストサイクル
C1型テストサイクル |
速度 |
定格 |
中間 |
アイドリング |
トルク% |
100% |
75% |
50% |
10% |
100% |
75% |
50% |
0% |
重み付け係数 |
0.15 |
0.15 |
0.15 |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
0.15 |
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3.2.7 C1テストサイクルに示されているトルクとは、与えられたテストモードにおいて、与えられた速度で発生可能な最大トルクに対する必要なトルクの比をパーセントで表した値である。
3.2.8 C1テストサイクルの中間速度は、下記の要件を考慮に入れて製造者により提示されなければならない。
.1 全負荷トルク曲線上の速度範囲を超えて運転するように設計されたエンジンに対して、中間速度は、もし提示された最大トルク速度が定格速度の60%から75%の間にあるなら、提示された最大トルク速度でなければならない。
.2 もし提示された最大トルク速度が定格速度の60%未満の場合には、中間速度は定格速度の60%でなければならない。
.3 もし提示された最大トルク速度が定格速度の75%を超える場合には、中間速度は定格速度の75%でなければならない。
.4 定常状態において全負荷トルク曲線上の速度範囲を超えて運転するように設計されていないエンジンに対しては、中間速度は、代表的には、最大定格速度の60%から70%の間となろう。
3.2.9 もしエンジン製造者が3.2.2から3.2.6で規定されたテストサイクルの一つですでに認証されたエンジンに対して新しいテストサイクルで認証を得たい場合、そのエンジンに対して新しい適用のために必要となる認証プロセスの全てを実行する必要はない。この場合、エンジン製造者は最初の認証試験の計測結果を新しいテストサイクルの重み付け総排出量の再計算に適用して適合性を示せばよい。ただし、対応する重み付け係数は新しいテストサイクルのものを使用しなければならない。
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