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国際会議の概要
 
会 議 名
地球未来への企画“海を護る”
 
 
−海洋の平和維持と環境保護のための法的・政策的枠組と行動計画−
 
開 催 日
平成14年11月8日(金)・9日(土)
 
開催場所
東京都港区虎ノ門1−15−16海洋船舶ビル10階ホール
 
使用言語
日−英同時通訳
 
開催趣旨
人類社会の繁栄は海上交通の発展によってもたらされてきたと言っても過言ではない。その反面の作用として、国家間の武力紛争において海上交通の破壊か繰り返されてきた。海上交通の保護は、今も変わらない安全保障上最大の課題である。国際環境の変動の中で、大海軍力による海上交通の破壊が生起する蓋然性は低くなっているものの、テロ支援国家あるいは国家以外の主体により引き起こされる非公然侵略行為や破壊・工作行為などが、海上交通の安全を阻害する新たな脅威として登場してきた。グローバル経済の進展のもと、海上交通網はまさに国際共有財となっており、海運活動や海上犯罪がボーダーレス化する中で、これら新たな脅威を抑制・排除するための「海の安全保障」態勢の構築が必要となっている。
 
 
 
 国際環境の変動は、一方で、あらゆる国家・主体に海洋へのアクセスの道を開くことになった。人類社会による海洋への関わりの深化は、沿岸部開発・工業化等による海域汚染と相俟って、海洋に「資源開発・確保に伴う環境問題」、「船舶活動に伴う環境問題」などを持ち込むことになった。それは、海洋生物資源の枯渇や生態系の破壊なども含む大きな概念としての「海洋の環境問題」である。「海」は生命とそれを育む地球環境メカニズムの源である。「開発」と「利用」の模索は、時として「環境」の問題を蔑ろにする。しかし、環境の悪化が生命生存のシステムを脅かす事態が危惧される時代において、一方で「人間の安全保障」が叫ばれるのであれば、海洋の環境保護は、生命維持の基盤たる「海」を“守る”ための広義の意味における「海の安全保障」上の問題として認識されなければならないはずである。
 
 
 
 前述した、新しく大きな二つの問題は、分野横断的かつ国際的な取組みと、国家主権あるいは管轄権との間に生じる、もう一つの新たな問題を提起する。国連海洋法条約は、すべての国家・主体に海洋の資源・環境保護と紛争の平和的解決のための「海洋管理」を義務付けるとともに、沿岸国には国家管轄水域の設定を認めている。国連海洋法条約に規定される主権的権利や管轄権は、時として国益にのみ指向され、それが隣接する沿岸国同士あるいは海洋利用国と沿岸国との間で深刻な紛争要因となり、海の安全保障環境を不安定なものとしている。法的・政策的枠組とその実行の態勢を整え、海洋利用秩序の安定化を図る必要がある。
 
 
 
 以上三つの課題は、新しい広い意味での「海の安全保障」問題であり、地球未来に向けた「海を護る」視点で、研究がなされなければならないと考え、ここに、日本財団のご支援を受けて、国際会議「地球未来への企画“海を護る”」を開催することとした。
 
主  催
SOF海洋政策研究所(シップ・アント・オーシャン財団)
 
後  援
国土交通省、環境省、防衛庁、海上保安庁、日本財団
 
運営委員会
栗林忠男 東洋英和女学院大学教授・慶應義塾大学名誉教授
 
 
秋山昌廣 シップ・アンド・オーシャン財団 会長
 
 
寺島紘士 シップ・アンド・オーシャン財団 海洋政策研究所所長
 
 
秋元一峰 シップ・アンド・オーシャン財団 海洋政策研究所参与
 
事 務 局
SOF海洋政策研究所(シップ・アンド・オーシャン財団)
 
 
〒105−0001東京都港区虎ノ門1−15−16海洋船舶ビル
 
 
TEL:03−3502−1828 FAX:03−3502−2033
 
 
玉眞 洋 仙頭達也 ヴィヴァル・カテリン・リー
 
プログラム
第1日 11月8日(金)
 
09:30−09:35 開会挨拶
  寺島紘士(SOF海洋政策研究所所長)
09:35−09:40 議長挨拶
  栗林忠男(東洋英和女学院大学教授・慶應義塾大学名誉教授)
09:40−10:00 基調講演「海を護る“海洋の安全保障”−人類の海洋への作用に対応して−」
  秋山昌廣(シップ・アンド・オーシャン財団会長)
 
Session 1:
[海の安全保障その1:海上テロ、不審船等の新たな脅威」
 
10:05−10:35 発表「海上テロリズムの可能性と脅威」
  Stanley Byron Weeks (Science Application International Corporation: Senior Scientist)
10:40−11:10 発表「不審船事件の経緯と最近の事例」
  友永幸譲(海上災害防止センター理事、元海上保安庁警備救難監)
<休憩>
11:25−11:55 発表「海上からの工作員の侵入」
  Seo-Hang Lee 李瑞恒 (Institute of Foreign Affairs and National Security,Ministry of Foreign Affairs,Republic of Korea: Director-General for Security Studies)
12:00−13:00 ディスカッション
<昼食>
 
Session 2:
「海の安全保障その2:海洋環境の保護」
 
14:00−14:30 発表「陸上起因による海洋汚染−東シナ海、中国−」
  Li Daoji 李道季 (State Key Laboratory of Estuarine and Coastal Research,East China Normal University: Researcher/Professor)
14:35−15:05 発表「海上起因による汚染からの海洋環境保護」
  Mohd Nizam Basiron(Centre for Coastal and Environment,Maritime Institute of Malaysia: Research Fellow)
15:10−15:40 発表「新たな海洋レジームにおけるジレンマとアプローチ:資源利用と環境保護の統合」
  Merlin M. Magallona(College of Law Faculty,University of the Phillppines:Professor)
15:45−16:00 発表「船舶と海洋汚染防止のパラダイムシフト」
  工藤栄介(シップ・アンド・オーシャン財団常務理事・特別研究員)
<休憩>
16:15−17:15 ディスカッション
17:30−19:00 懇親会
 
第2日 11月19日(土)
 
Session 3:
「海洋秩序の法的・政策的枠組の形成と実行」
 
09:30−10:00 発表「海上防衛と国家の主権および管轄権−中国の見方−」
  Chen Qimao 陳啓懋 (Shanghai Center for RIMPAC Strategic and International Studies President)
10:05−10:35 発表「海洋環境保護と沿岸国の管轄権−船舶起因汚染の防止と国際協力−」
  奥脇直也(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
10:40−11:10 発表「群島水域における安全保障と環境および国家の主権と管轄権」
  Hasjim Djalal,M.A..(Member of Indonesian Maritme Council,Special Advisor to The Minister of Maritime Affairs and Fisheries)
<休憩>
11:25−12:25 ディスカッション
<昼食>
 
Session4:総合検討会
 
13:30−14:00 発表「海洋における環境と平和の回転軸」
  秋元一峰(SOF海洋政策研究所参与、秋元海洋研究所所長)
14:05−14:35 発表「海洋の安全保障と国際協力−中国の視点−」
  Ji Guoxing 季国興 (Shanghai Center for RIMPAC Strategic and International Studies: Professor, Deputy Director)
14:40−15:10 発表「海の安全保障と国際協力」
  夏川和也(日立製作所特別顧問、元防衛庁統合幕僚会議議長)
<休憩>
15:20−16:20 ディスカッション
<休憩>
16:30−16:40 議長総括
16:40−16:45 閉会挨拶







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