3.2 燃料油
1)燃料油の規格
ディーゼルエンジンに使用される燃料油には軽油と重油があり、それぞれ2・3表及び2・4表に示すように日本工業規格(JIS規格)で規定されている。
A〜C重油は、石油製品の製造過程で作り出される軽油と残渣油を適当に混合し、所定の粘度に調整したものである。
A重油はその90%以上が軽油分であるが、C重油は基材となる残渣油の粘度と、低粘度の軽油との混合割合で、必要な粘度が決まるので、その組み合わせは無数にある。
2・3表 軽油のJIS規格
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(注) |
(1) |
セタン指数は、セタン価を用いることもできる。 |
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(2) |
1cSt=1mm2/s |
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2・4表 重油のJIS規格
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(注) |
(1) |
1種および2種の寒候用のものの流動点は0℃以下とし、1種の暖候用の流動点は10℃とする。 |
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(2) |
上表中1種はA重油、2種はB重油、3種はC重油を示す。 |
2)燃料油に要求される性状
(1)適当な粘度を有すること
良好な燃焼を得るためには、適切な粘度の燃料油を使用する事が必要で、粘度が高いと霧化が悪く燃焼不良となる。
(2)不純物の少ないこと
硫黄分、残留炭素分、灰分、水分、バナジュウム等が多いと堆積物や、スラッジが増加し燃焼不良や摩耗の原因となるほか、腐食の原因となる。
(3)着火性の良いこと
着火性を示すセタン価、又はセタン指数が低いと、始動不良が発生する他円滑な運転が出来なくなる。
3)燃料油の選択
使用燃料はメーカ、機種、用途等により異なるが概略は下記のようになっている。
小形高速機関:軽油
中形高速機関:A重油
中小形中速機関:A重油
中形低速機関:A重油又はB、C重油
大型低速機関:C重油
なお、A重油仕様の機関には、軽油を使用しても差し支えは無いが、軽油仕様の機関にA重油を使用すると、不純物によるこし器の早期目詰まり、硫黄分の増加による腐食等が考えられるので使用燃料変更の場合はメーカと十分打ち合わせする必要がある。
4)燃料油取扱上の注意
(1)燃料タンクやドラム缶には雨水や、海水が入らないように注意する。
(タンク底には水やゴミが沈澱しているので底から吸い上げないこと)
(2)燃料タンクの底部には、燃料取り出し口より低い部分にドレン抜きを付ける。
(3)燃料タンクよりエンジン入口間に沈澱槽、油水分離器、精密こし器を取り付け、水やゴミ等を除去する。
(4)ドレン抜きは定期的に実施する。
(5)燃料フィルタは指定時間毎に交換する。
水質の良否によって機関におよぼす障害としては、主にスケールによるものと錆(腐食)によるものとがある。シリンダヘッドや過給機のケーシングなどにスケールが付着すると冷却効果が悪くなり熱応力のために亀裂を生じる事がある。スケール発生の主因は、冷却水中のCaや、MgがCa塩や、Mg塩となって析出するためであり、全硬度の高い冷却水を使用すると発生する。なお、錆については単に冷却水の水質のみに起因するとは言い切れないが、pHが下がると(酸性が増すと)鋼などに対する腐食性が増す他、塩素イオンや、硫酸イオンは、クーラチューブなどの腐食に関係する。
1)冷却水の選定
清水には、全硬度の低い雨水や水道水を使用する。そして防錆剤を必ず投入して金属表面に強い保護皮膜を形成させ、腐食を防止する。
2)防錆剤の種類と取扱について
防錆剤には、亜硝酸塩系、珪酸塩系、酵素系などがあるが、使用にあっては、次のような注意が必要である。
(1)濃度を適正に保つこと
濃度が適正でないと効果が発揮できないばかりか逆に入れないときより腐食が増すことがある。
(2)取扱はメーカの指示に従うこと
投入法、濃度管理、廃液の処理方法等はメーカにより差があるので使用に際してはメーカの指示に従うこと。
(3)防錆剤は水質検査にもとづき選定すること
防錆剤選定の根拠となるのは水質検査の結果であり、検査結果にもとづきメーカと十分話合って決めることが望ましい。
(4)その他
冷却水は年1回交換すること。
3)不凍液の使用について
冬季凍結の恐れがある場合は、不凍液を入れて使用するが、不凍液は予想される最低温度に余裕を持たせた温度に合わせて混入量を決めること。なお、防錆剤と混用する場合は、互いに影響することがあるのでメーカの指示を受け使用すること。
又不凍液は通常防錆剤としての機能をもたないので注意が必要である。
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