3)運転状態の監視装置(計器盤)
操縦盤、制御盤、監視盤等のほかに計器盤等に、回転計、圧力計、温度計さらに操作場所表示灯、クラッチ位置表示灯、可変ピッチプロペラ翼角計や、自己逆転機関では回転方向計、発電機などでは電流計、電圧計、電力計、同期検定器、周波数計などを見やすいように配置し、操縦者や運転者に機関の運転状態を知らしめる装置であり、以下主要なものについて説明する。
(1)回転速度計
通常は機関のクランク軸回転速度を表示しているが、可変ピッチプロペラを装備したものではプロペラ軸の回転速度も表示しているものもある。一般に機付の計器盤には、フレキシブルワイヤで機械的に回転数を取り出し回転計に連結しているものが多いが、最近は中形機関以上には殆ど電気式又は電子式を用いて回転計に表示している。電気式又は電子式は機械式に比較して誤差や故障が少なく、遠隔操縦に多く使用されている。
2・230図は、電気式の回転計用センサで、エンジンの回転を電気信号に変更する回転計用センサをフライホイルのリングギヤ部近くに取り付ける。このセンサは、内部に磁石とコイルを持っており、リングギヤの動きによって電気(パルス)を発生させるもので、一般には電磁ピックアップ方式と呼ばれているセンサである。2・231図は電磁ピックアップを使用した回転計の回路図で、センサからの電気(パルス)信号を回転計の内部で読みとり、エンジンの回転数を表示する。
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2・230図 回転計用センサ構造図
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2・231図 回転計回路図
(2)圧力計
潤滑油、作動油、燃料油、リモコン操作油などのほか冷却水、給気その他各種の圧力を表示する計器であり、ブルドン管式や電気式が多く用いられているが、機関室内以外では殆ど電気式が使用されている。
2・232図は圧力計用センサの構造図で、内部にはダイヤフラムと巻線抵抗器が入っている。ダイヤフラムは、バネの一種で、圧力によって位置が変わる。つまりエンジン油圧の変化を、ダイヤフラムの変位に変え、更にダイヤフラムの変位によって接点が巻線抵抗面を摺動することにより、圧力を電気抵抗値へと変換する。抵抗値の変化により電流値が変化し、その電流値をメータ内部で読みとり、圧力を指示させるものである。
2・232図 油圧計センサの構造図
2・233図 油圧計回路図
(3)温度計
冷却水、潤滑油などの温度の他排気温度、給気温度、大気温度などを表示するもので、機関室内では殆どがアルコール、水銀などを使用した棒状温度計であるが、それ以外の場所においては電気式温度計が多く用いられている。
2・234図は電気式の水温計センサ部の構造図で、内部にはサーミスタと呼ばれる抵抗器が入っており、このサーミスタは、温度が低い場合は、抵抗が大きく電流が少ない、逆に温度が高くなると抵抗が小さくなり電流が多く流れる特性がある。水温計センサは、このサーミスタを利用して、冷却水温度を電流値に変換し、2・235図の回路でセンサからの電流値をメータの内部で読みとりエンジンの水温を指示させるものである。
2・234図 水温計センサの構造図
2・235図 水温計回路図
(4)操作場所表示灯
操縦場所が何処であるかを切換装置と連動で表示する装置で通常は操縦盤や監視盤などにランプ表示する。
(5)クラッチ位置表示灯
前進、中立、後進などの位置を表示するもので、通常は操縦盤や監視盤等にランプ表示する。
4)スイッチ関係
(1)圧力スイッチ
LOスイッチとも呼ばれており、潤滑油圧警報装置の検出部に使用され、最低設定圧力以下に油圧が低下したときに作動し、操縦者や監視者に警報するスイッチである。
2・236図 圧力スイッチ
油圧警報スイッチは2・236図に示す構造となっており、作動設定圧力は設定圧力調整ネジにより調整する。油圧が上昇し回復すれば警報を止めるための差動圧力調整ネジが設けられており、復帰圧力が調整出来るようになっている。復帰圧力は設定圧力より0.05MPa(0.5kgf/cm2)程度高い差動圧力とするのが一般的である。
(2)温度スイッチ
CWスイッチとも呼ばれ、冷却水温度が設定温度以上に上昇したときに、警報を作動させるスイッチであり2・237図に示す構造となっている。設定温度は機種により、又清水か海水かによっても異なるが、作動設定温度調整ネジにより設定する。警報復帰温度は設定温度より約5℃程度低くするのが一般的で、差動温度調整ネジにより復帰温度を調整する。
2・237図 温度スイッチ
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