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5)ロッカアーム(弁腕)、ロッカシャフト(弁腕軸)、弁腕軸支え台
 弁腕は、弁腕軸支え台に固定された弁腕軸を支点にして、弁押し棒の動きを吸排気弁に伝える役目をしている。弁腕には可鍛鋳鉄又は鍛造材が使用され、弁との接触面には焼き入れ又はチル硬化により耐摩耗性を高めている。又弁腕軸に嵌る部分にはブッシュを入れ軸受けとしている。
 弁腕軸支え台は鋳鉄で造られ、ボルトでシリンダヘッドに固定されている。又弁腕軸両端にはサークリップ等を入れ弁腕の抜け出し防止処置が施されている。
 なお、4弁式ヘッドには2・81図に示すようなT形のレバーを使用し弁腕の動きを同時に2本の弁に伝える構造となっている。
 
2・81図 ロッカアーム部分の構造
 
6)吸排気弁及びコッタ
 吸排気弁は、カムの動きをタペット、プッシュロッドを介して作動する弁腕により、シリンダヘッドに圧入されたバルブガイド(弁案内)に沿って上下に作動し、シリンダ内の吸排気をタイミング良く行うと共に、弁バネによって弁シート面が、シリンダヘッドに設けられた弁座シート面に密着してシリンダ内の気密を保持している。
 
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2・82図 コッタの形状
 
 従来の機関には吸気弁、排気弁各1個のものが多く、吸気効率を高めるため吸気弁傘部の径を排気弁傘部の径より大きくしていたが、シリンダ径が大きくなるに従い、又高過給機関の出現により最近の機関には3弁式、4弁式が多く採用されている。
 弁には耐熱鋼が使用され、シートの角度には90°と120°の2種類が採用されている。又シート部には高温でも硬度低下の少ないステライト鋼を溶着して一段と耐摩耗の向上を図っている。又弁棒上端部近くには、弁バネ受けを固定する弁止環(コッタ)を嵌め込む溝が加工されており、2・82図に示すような構造となっている。又弁棒上端の耐摩耗性を高めるためキャップを設けているものもある。
 
7)バルブガイド(弁案内)及びステムシール
 バルブガイドは一般には鋳鉄等で造られ、シリンダヘッドに圧入されている。弁案内の内面に沿って吸排気弁が上下運動をしており弁の着座位置が変わらないように位置決めすると共に弁からの熱を放出する役目をしている。
 ステムシールは、バルブガイドの上部に取り付け、弁とバルブガイドの隙間より必要以上の潤滑油が吸排気ポートや弁傘部へ流れ落ちるのを防止している。
 
2・83図 ステムシール
 
8)弁バネ
 弁バネは、弁バネ受けを介して弁を持ち上げ、弁シート面を弁座シート面に密着させシリンダ内の気密を保持すると共に、高速回転時にも弁腕、弁押し棒を介してタペットがカム面から離れないようにして、カムの運動を正しく弁に伝える役目をしている。
 
2・84図 不等ピッチスプリング
 
 バネには、通常円形断面のピアノ線又はオイルテンパ線を巻いたコイルスプリングが使用されている。又最近の高速機関には、弁系統の耐久性の向上、騒音の低減を図るため高速時の弁のおどりや、サージング等の防止に効果のある多重スプリングや、不等ピッチスプリングが多く使用されている。
 
9)バルブローテータ
 運転中、弁を回転させ、弁と弁座シート面の当たりを、全周にわたりまんべんなく当たらせ、偏摩耗や、片当たりを防止してシート面の耐久性を向上さすために取り付けられるもので、最近の機関には多く採用されている。
 
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2・85図 バルブローテータ







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