日本財団 図書館


(3)臨時検査
(A)船舶の堪航性又は人命の安全の保持に影響を及ぼす恐れのある改造で、例えば次に掲げるものは臨時検査が必要である。
 機関に係わる物件の性能もしくは形式の異なるものとの取り替え、又は機関の主要部についての変更で機関の性能に影響を及ぼすもの。
・「機関」とは、船舶の主機、プロペラ軸系、補助機関、ボイラ、圧力容器、補機及び管装置のうち、主要な補助機関以外の補助機関を除いたものをいう。
・「主要な補助機関」とは、発電機(非常電源の用に供するものを除く。)を駆動する補助機関及び船舶の推進に関係ある補機を駆動する補助機関をいう。
・「船舶の推進に関係のある補機」とは、シリンダ、ピストン、燃料弁、冷却器等の冷却ポンプ、燃料油や潤滑油の移送ポンプ、送風機、空気圧縮機及びビルジポンプ等をいう。
・「形式の異なるもの」とは、その物件固有の基本的な構造、機構又は作動方式が異なるものをいう。例えば、付属品の一部変更などはこれに該当しない。また、同一形式のものを2社以上で生産する場合には、単にメーカが異なることのみでは「形式の異なるもの」とはみなさない。さらに形式が同一のものであって、例えば、ディーゼル機関の連続最大出力、連続最大回転数等が異なる場合は、「性能が異なるもの」として扱う。
・「機関の主要部」とは、
(1)内燃機関にあっては、クランク軸、ピストン棒、連接棒、クロスヘッド、支柱ボルト、連接棒上下の軸受ボルト、クロスヘッドボルト、主軸受ボルト、溶接構造の架構及び台板、軸継手及び軸継手ボルト(クランク軸相互及び出力側のものに限る)並びに排気タービン過給機(タービンロータ、タービン羽根、ブロア(インデューサを含む)及びブロアシャフトに限る)
(2)動力伝達装置にあっては、動力伝達軸及び歯車、軸継手及び軸継手ボルト並びに特殊継手の動力伝達部分
(3)軸系にあっては、スラスト軸、中間軸、プロペラ軸、発電機又は船舶の推進に関係のある補機に動力を伝達する軸、軸継手、軸継手ボルト、プロペラ羽根及びプロペラ羽根取付けボルト
(4)管装置にあっては、1類管及びこれに取り付ける弁、コックその他の管取付け物
(5)推進軸系のクラッチ、流体継手、弾性継手
(6)主機、主要な補助機関の遠隔操縦装置又は自動制御装置
(7)内燃機関の逆転機又は減速装置の動力伝達部分
(B)次に掲げる修理は臨時検査が必要である。
船舶の堪航性又は人命の安全の保持に影響を及ぼす恐れのある作業で、例えば次に掲げるものをともなう修理。
(1)機関の主要部について削整、補強、溶接、その他の作業で機関の性能に影響を及ぼす恐れのあるもの。
(2)複雑又は特殊な技量又は装置を必要とする作業。
(3)主機、補助機関、排気タービン過給機、クランク軸、プロペラ、プロペラ軸、プロペラ軸系のクラッチ、流体継手、368kW(500PS)以上の機関に用いられる弾性継手、逆転機、減速機の取替え修理は、予備検査合格品であっても臨時検査の対象となる。それ以外の部品の交換、例えばピストン、シリンダヘッド等で予備検査合格品の取替え修理は臨時検査の対象にはならない。
(C)特定の事項について指定を受けた臨時検査を受けるべき時期に至ったとき。
(D)海難その他の事由により検査を受けた事項につき、船舶の堪航性又は人命の安全の保持に影響を及ぼす恐れのある変更が生じたとき。
(E)満載喫水線の位置その他船舶検査証書に記載された条件の変更を受けようとする時。
(4)製造に係わる予備検査を受けることができる物件(機関関連)
 内燃機関*、船内外機*、船外機*、排気タービン過給機*、ポンプ、油圧ポンプ、油圧モータ、圧力容器、熱交換器、空気圧縮機、固定ピッチプロペラ*、可変ピッチプロペラ*、及び管海官庁が指定するその他の機関。
 シリンダ、シリンダライナ、シリンダヘッド、ピストン、クランク軸、タービンの部品、プロペラ翼*、軸系のクラッチ、逆転機*、弾性継手、変速装置*、中間軸、逆転機軸、スラスト軸、プロペラ軸*及びその他の動力伝達軸、船尾管その他管海官庁が指定する水圧試験を必要とする機関部品、管海官庁が指定するその他の機関部品、遠隔操縦装置用制御盤。
注:*印は改造、修理又は整備について予備検査を受けられる。
 
3)検査の申請及び受検申込み
(1)定期、中間又は臨時検査を受けようとする者(船舶所有者)は、船舶検査申請書に船舶検査手帳等を添えて検査機関に提出する。
(2)予備検査を受けようとする者は、予備検査申請書に関係書類を添えて検査機関に提出する。
(3)検査申請後の受検申込みは、検査機関の処理方式に従って申込みを行う。
 
4)検査の準備
 検査を受ける場合は、検査着手前に2)項(1)検査着手前の打ち合わせに記載のとおり検査機関と十分に打ち合わせを行い、検査を受ける事項について、検査の準備をしなければならない。
(1)定期検査
 第2回以降の定期検査における機関の検査は、機関室、ボイラ室、冷凍機器及びその管装置の一次冷媒系統の露出部分、並びにタンカにあっては、ポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について、外観検査を行うほか、施行規則第24条第2号(第30条第2項に係わるものを除く。)及び第30条第1項の規定により、準備された状態で行う。
 検査準備の項目と範囲については、5・8表のとおりである。
(2)第1種中間検査及び第3種中間検査
 第1種中間検査又は第3種中間検査における機関の検査は、機関室、ボイラ室、冷凍機器及びその管装置の一次冷媒系統の露出部分並びにタンカにあっては、ポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について外観検査を行うほか、第1種中間検査にあっては施行規則第25条第1項第2号及び第30条第1項の規定、第3種中間検査にあっては施行規則第25条第4項第2号及び第30条第1項の規定により、準備された状態で行う。
 検査準備の項目の範囲については、5・8表のとおりである。
 ただし、以下の場合にはこれを一部省略又は効力試験に代えることがある。
a. 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶の機関であって、新造の主機、補助機関又は補機(過給機、送風機及び空気圧縮機に限る。)を備え付けた後、初めて第1種中間検査等(平水及び限定沿海を航行区域とする旅客船にあっては特1中(旅客船について毎年行われる第1種中間検査のうち、定期検査合格後2回目又は3回目の時期に行われる機関、電気、救命設備、海上運転等の強化された検査を行う第1種中間検査。以下同じ。)とする。)を受ける場合は、当該機関については、保守・整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、効力試験(海上運転)のみとすることができる。
b. 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶で船舶設備規定第183条の規定による電力を供給できる容量の発電機を2台以上備え付けている場合であって、当該発電機を駆動する補助機関の保守整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、1台については船舶安全法の定期検査等を受ける場合の準備を定める告示第10条第2項に掲げる準備とし、これ以外の発電機を駆動する補助機関については船内負荷による効力試験とすることができる。
c. 平水及び限定沿海区域を航行区域とする旅客船については特1中以外の第1種中間検査時には、保守整備に関する記録、事情聴取等から判断して船舶検査官が差し支えないと認める場合は、解放検査に代えて効力試験(海上運転)とすることができる。
(3)第2種中間検査
 第2種中間検査における機関の検査は、機関室及びボイラ室並びにタンカにあってはポンプ室、諸管装置、自動呼吸弁、火災防止用金網等について外観検査を行うほか、施行規則第25条第2項第2号及び第30条第1項の規定により準備された状態で効力試験を行う。
 検査準備の項目と範囲については、5・8表のとおりである。
(4)発電機を駆動する補助機関の検査
 分割検査又は継続検査を実施している船舶以外の船舶で船舶設備規程第183条の規定による電力を供給できる容量の発電機を2台以上備え付けている場合は、定期検査及び第1種中間検査等(平水及び限定沿海区域を航行区域とする旅客船にあっては特1中とする。)の時期に半数ずつ交互に定期検査の準備による解放検査を行い、他の機関は運転整備記録の確認及び船内負荷による効力試験とすることができる。
(5)検査準備の項目と範囲
 検査準備の項目と範囲は5・8表のとおりである。ただし、小型船舶については5・9表による。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION