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1級舶用機関整備士更新講習会指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


高出力化−2
 
3)燃焼最高圧力及び熱負荷への対応
 高出力化に伴う熱負荷の上昇に対して最も影響を受けるのはピストンであり、小形機関に対する可溶性中子の開発は、冷却空洞付アルミピストン(図10)の製作を可能とし、シリンダに設けたオイル主管に設置した固定ジェットノズルからのオイルジェットにより冷却し、熱負荷の上昇に対処してきた。しかし、現在の出力レベルに対し、従来のアルミ材では熱負荷並びに機械的負荷においてほぼ限界に近付いている。最近、アルミ材でも強度が高くて高温維持も良い溶融鍛造アルミ(ハイキャスト)、或いは強度の高い薄肉のダクタイル鋳鉄(FCD)材が採用されている。
 FCDピストン(図11)は、アルミピストンに比べ高温での強度低下が小さくより高負荷に耐えることが出来る。また、燃焼室の周りの冷却空洞を充分に取れ、それをピストン頂部近くまで上げることにより、ハイトップリング構造とすることが出来るため、燃焼室の無駄容積を小さくでき、燃焼性能の改善にもなる。
 中低速機関では、特殊鋳鉄製の一体型ピストンまたは鍛鋼製のクラウンと鋳鉄製のスカートとの組立式ピストンが採用されている。いずれもハイトップリング構造としている。
 シリンダヘッド燃焼面は小形機関においても、燃焼最高圧力及び熱負荷の上昇に伴い従来の弁間ジェット冷却からキリ穴による強制冷却方式を採用する傾向にある。
 また、中低速機関では、高い燃焼最高圧力(約20MPa)による機械的応力と熱負荷に対処するため、強度が高く熱伝導性のよいバーミキュラ鋳鉄を採用し、燃焼面は肉厚構造とし、キリ穴による強制冷却方式(ボアクール冷却方式)が主流である。(図12)
 
図10 冷却空洞付ピストン
 
図11 FCDピストン
 
図12 ボアクール冷却方式
 
 中低速機関のシリンダライナは、高い燃焼圧力に耐えられるよう燃焼室周りは厚肉とし、ボアクール冷却方式が主流となっている。また、ライナ内面の上部にはアンチポリッシュリング(ファイアリング、プロテクトリング、Lセーブリング等の名称で呼ばれている)を装備して、ピストンに付着した硬質カーボンによる摩耗防止および潤滑消費量の低位安定を図っている。(図13)
 
図13 ファイアリング
 
2. 軽量化
 小型漁船の場合、船速アップの要因の一つに機関質量がある。小形高速機関の軽量化は、アルミ部品の多様化を図ったり、コンピュータを用いた3次元FEM解析により、適正肉厚とした薄肉リブ構造のシリンダブロック等により実現している。また、ルーズフィットドライライナを採用し、シリンダピッチを短縮して、小形・軽量化を図っているものもある。
 小形舶用高速機関の出力当たりの質量推移を図14に、またシリンダ径に対する出力当たり質量の現状を図15に示す。
 
(拡大画面:16KB)
図14 出力当たり質量推移
 
(拡大画面:14KB)
図15 シリンダ径に対する出力当たり質量
 
3. 低燃費化
 燃料消費率の低減はいつの時代でも重要課題であって、たえず不断の研究努力が続けられている。現在、小形高速機関では205g/kW hの水準に達している。燃料消費率の推移を図16に示す。
 小形高速機関においても燃料消費率は噴射期間に大きく影響されるので、燃料ポンプ、燃料カム、燃料噴射管などを改善した高圧形噴射ポンプを採用し、噴射圧力を高め、燃料噴霧の微細化を図るとともに、噴射期間を短くして燃焼を改善、燃料消費率の低減を計っている。最近、より高圧噴射化をねらい、一層の燃焼改善を図る目的でユニットインジェクタを採用し、かつ電子制御(電子ガバナ)を装備している機関もある。(4項参照)
 また、過給機の効率も燃料消費率には大きく影響するので、新開発の効率のよいコンプレッサやタービンを採用して、作動性の良いところでマッチングを取り燃費改善を図っている。
 内航船主機を主体とする中低速機関では、小形高速機関以上に市場ニーズは強く、燃料消費率の低減に対する取組はより強く、現在、中速機関では185g/kW h、低速機関では175g/kW hの水準に達している。また、燃焼最高圧力が20MPaに達している機関もある。
 
(拡大画面:15KB)
図16 燃料消費率の推移







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更新日: 2019年9月14日

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