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先行事例調査
浦安市と明海大学の連携・協働について
1. 調査の概要
調査実施日 平成14年10月9日
 
2. 大学等と自治体との連携・協働事業の全体内容
 
全先行事例共通の
整理軸
明海大学と浦安市間の
連携や協働事業
取組状況
大学
組織の
取組
個人の
取組
組織の
取組
個人の
取組
大学の・地域の施設開放 ・浦安キャンパスメディアセンター(図書館)市民開放*【個別連携・協働事業(1)】    
・大学キャンパスの開放    
・会議室等場所の提供、陸上競技大会等のためのグラウンド開放(市主催等の公的催し)      
地域へのインターンシップ、
実習、留学生等の受入
・市事業へのボランティアの参加*【個別連携・協働事業(2)】    
・国際交流(留学生のホームビジット受入、イベント)    
・インターンシップ制度【個別連携・協働事業(3)】    
生涯学習
(公開講座、オープンカレッジ、シンポ・講演会その他)
・オープンカレッジ【個別連携・協働事業(4)】      
・出張講座【個別連携・協働事業(5)】      
市民参加型イベントの実施 ・国際交流イベント【個別連携・協働事業(6)】
大学から・地域からの
講師等派遣
・市職員による大学での公開講座への講師派遣   ○     
・大学教員の市民大学への講師派遣
地域の調査研究・事業への
参加・協力
       
相談・コンサルティング事業        
その他          
*印は、包括協定に含まれる事業である。
 
3. 包括協定等
(1)包括的協定の経緯、全体構成、内容概略
 明海大学は、昭和45(1970)年に「城西歯科大学」として埼玉県板戸市で開学され、昭和63(1988)年に千葉県浦安市に「外国語学部」「経済学部」を設置したのを契機に、大学名を明海大学と変更した。当時、明海大学は地域へ開放された大学であることを目指し、同時期に浦安市も新しいまちづくりを標榜していた。そこで、両者の意図が一致し、当初は組織としてではなく個々人により、連携してまちづくりに関わっていた。
 明海大学は門や柵を設けず、地域の人による構内の通行を可能にしている。大学の授業は夜21:10に終了するが、街灯を設置する等、夜間の市民の安全にも配慮している。このような地域と市との関係の中で、正式に組織として連携・協働に取り組むようになったのは、近年協定書を交わして以降のことである。
 平成12(2000)年9月に浦安市長と明海大学理事長とが会談を行い、地域の相互協力の必要性について認識を一致させた。平成14(2000)年12月には合意書調印式を行った。その内容としては、21世紀のグローバル社会への対応など、地域社会のさらなる発展に向け、「学術・専門的交流」、「教育活動」「地域・国際交流」を機軸に相互協力を行うことを趣旨としている。連携・協働事業の推進体制として、「浦安市・明海大学連絡協議会」が設置された。
 平成14(2002)年7月15日には、「明海大学浦安キャンパスメディアセンター(図書館)の市民開放事業に関する協定書」の調印式が行われた。この事業は、公共図書館の資料と大学図書館の資料を同時に大学図書館で貸し出すもので、日本初の実施の試みである。平成14(2002)年9月3日にオープンセレモニーが行われ、実質的に事業が開始された。
 平成14(2002)年10月8日には、「明海大学学生の社会貢献活動の推進に関する協定書」の調印式が行われた。この協定は、明海大学の学生が浦安市の公共施設で社会貢献活動(ボランティア活動)を希望したときに、その学生を受け入れるためのものである。
 以上より、浦安市と明海大学とは、大学設立当初から数々の連携・協働事業を行ってきたが、協定書の締結により連携・協働の環境が整備され、更なる活動の拡大が期待されている。
 
(2)現在の担当態勢・担当部署
・浦安市:地域活動支援課
・明海大学:浦安キャンパス事務部庶務課
・全体:「浦安市・明海大学連絡協議会」(公設民営の協働型)
 
<協議会の構成>
市:市民経済部長、経営企画部情報政策課長、総務部人事課長、都市整備部都市計画課長、教育総務部指導課長、生涯学習部生涯学習課長、市民経済部文化国際課長、市民…経済部地域活動支援課長
大学:事務局長、浦安キャンパス事務部長、事務部次長、学事企画室長、庶務課長、学事課(留学支援)主幹
その他:議題に応じた市及び大学の関係部課長等
 
(3)連携・協働事業の実現までの準備・経緯(推進態勢、担当組織、企画から実現までの期間、発生した課題と対応)
(1)平成12(2000)年12月(協定締結)以前の相互協力実績
ア. 学術・専門的交流の推進
a)市の各種審議会への人材派遣(国際化指針策定懇話会委員、浦安市情報化推進懇話会委員他)
b)市職員等を講師として大学へ派遣(悪徳商法等に関する注意点について)
 
イ. 教育活動の推進
a)市民大学など生涯学習事業への助言及び講師派遣(市民大学、学習フォーラム、博物館教養講座、グローバル・アカデミー他)
b)公開講座及び学校施設の開放
c)明海大学浦安キャンパス公開講座
d)明海大学スピーチコンテスト
e)施設の開放(テニスコート、講義室、競技場他)
ウ. 地域・国際交流の推進
a)国際交流事業への学生の参加及び協力他
 
(2)発生した課題
・大学のセキュリティ問題・・・多くの人が出入りし、また、キャンパスも開放されているため、安全を維持することが困難である。掲示板のガラスが壊されたこともあり、構内で一般市民が出した騒音への苦情もある。大学としては、外注警備により、夜間に起きた事件への対応に努めている。
 
(4)当協定による事業の全体的、総論的な効果影響評価、課題
(1)効果、影響、評価
・まちづくり活動を通した学生の成長や地域との交流の深まりは評価される。
 
(2)課題
・協定書では、連携・協働のための仕組みを整備しているが、それだけでは学生の高い意欲を保持できるとは限らない。
 
(5)当協定による事業について、期待する今後の発展方向性
 今後インターンシップ等についても協定を結ぶことを考え、まちづくりのための連携・協働事業のための環境を整備する。







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