(4)宗像市と東海大学福岡短期大学の事例
ア. 東海大学福岡短期大学の概要
東海大学福岡短期大学の前身は、昭和41(1966)年に開学した東海大学工学部福岡教養部である。福岡教養部の廃止と同時に、情報化・国際化社会で活躍できる幅広い視野を持った人材を育成することを目標として、平成2(1990)年に東海大学福岡短期大学が開学された。
「情報処理学科」と「国際文化学科」の2学科を設置し、独自の教育プログラムで充実した少人数教育を行っている。また、「海外留学・研修制度」、「学園内4年制大学への優先編入学制度」など、短期大学のスケールを超えたさまざまな教育制度を活用している。
東海大学福岡短期大学の組織概要は、以下のとおりである。
図表4−7 東海大学福岡短期大学の組織概要
名称 |
東海大学福岡短期大学 |
設立 |
1990年 |
学科及び入学定員数 |
情報処理学科140名 国際文化学科140名 |
教員数 |
専任教員23人 (平成14(2002)年12月現在) |
学生数 |
345人 (平成14(2002)年12月現在) |
アクセス |
JR鹿児島本線で赤間駅下車(博多−赤間なら快速28分、小倉−赤間なら快速32分) |
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資料: |
東海大学福岡短期大学ホームページ http://www.ftokai-u.ac.jp/
より作成 |
イ. 宗像市の概要
宗像市は、福岡県の北部、福岡市と北九州市の中間に位置する。宗像市の地形は、概ね盆地状をなし、周囲を山々に囲まれている。交通は、JR鹿児島本線や国道が通っている。
宗像市の概要としては、以下のとおりである。
図表4−8 宗像市の概要
名称 |
福岡県宗像市 |
人口 |
83,010人 (平成14(2002)年10月現在) |
世帯数 |
30,164世帯 (平成14(2002)年10月現在) |
市内の大学等 |
東海大学福岡短期大学、福岡教育大学、日本赤十字九州国際看護大学 |
特色 |
福岡・北九州両市への通勤圏として住宅・文教都市として発展した。学術文化都市、コミュニティの都市を目指している。 |
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資料: |
宗像市ホームページ http://www.city.munakata.fukuoka.jp/php/top.php、「都市データパック2002年版」より作成 |
ウ. 連携・協働事業の慨要
(ア)連携・協働の経緯
宗像市には、東海大学福岡短期大学の他にも福岡教育大学、日本赤十字九州国際看護大学があり、3大学ともに宗像市と連携を図ってきた。東海大学福岡短期大学とは、主に情報分野での連携・協働の実績があり、平成11(1999)年11月に宗像市と「連携・協力に関する協定書」を締結した。平成14(2002)年8月には、宗像市長及び3大学学長で「むなかた大学のまち協議会」を設置し、新たな連携・協働の形態を試みている。
(イ)個別事業(連携・協働の特徴)
具体的な連携・協働事業の内容としては、以下のとおりである。
【大学と市】
・図書館の開放
・体育施設、講義室関連の一般開放
・インターンシップ
・中学生職業体験学習の大学での受入れ
・留学生支援(不要品等の提供など)
・出前講座(ルックルック講座アカデミー版)
・IT講習会の講師、会場の協力
・講演会・シンポジウムの共催
・新入生オリエンテーションでのまちについての講話(ごみ問題等)
・小学生向けデジタル教材製作
・大学への案内標識の設置(市が設置)
【大学】
・商工会議所との共同研究(店舗紹介のホームページ作成)
【市】
・学生ボランティア
・基礎看護学実習の地域の受入れ
・学びの里フェアーの一環として大学祭の開催
・市職員による大学での講座(出前講座)
・学生の作品設置、発表の場の提供
・市職員を大学に職員として派遣
(ウ)本連携・協働事例の特徴
連携・協働事業の成功要因として、協定書の効果は大きい。締結前は担当部所が単独で連絡を取り事業を実施していたが、締結後は窓口が互いにー本化され、連絡や横の情報交換などが容易になった。
また、協議会の設立によって、毎年担当レベルでの合意という連携ではなく、学長・市長レベルでの合意の上での事業推進となるため、長期的で安定した事業が推進できると期待されている。
今後の課題としては、協議会を維持するための負担金の問題があるほか、教員が地域への貢献意識を十分に持つことや、3大学それぞれの特色を活かし、学生の姿がみえるようなまちづくりの方向を今後とも協議・推進していく必要がある。
図表4−9 先進事例インタビュー結果概要
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