(5)就業構造
日立市の就業構造は、その沿革から第2次産業を主体とした就業構造が長く続いてきたが、近年の経済のソフト化・サービス化の進展に伴ってサービス産業の従業者が増加し、平成2(1990)年の国勢調査において初めて第3次産業が第2次産業を上回った。
平成12(2000)年の国勢調査では、全体の就業者数が減少しており、特に第2次産業の減少が大きいが、第2次産業の就業率は40.4%であり、同じ人口規模の都市と比較し、依然として製造業に特化した就業構造となっている。
図表2−9 産業別就業人口
(拡大画面:53KB) |
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資料: |
総務庁統計局「国勢調査」(昭和50年〜平成7年) |
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総務省統計局「国勢調査」(平成12年) |
(6)産業の動向
産業大分類別に事業所数の推移をみると、全体の事業所数は減少傾向にあり、近年に近づくほど、その減少は著しい。第1次産業は、全体の傾向からみると、その減少は緩やかでほぼ横ばい状態にある。第2次産業は。全体の傾向と同様に減少が続いており、昭和61(1986)年から平成8(1996)年にかけて7.1ポイント減少している。
特に製造業は逓減的に減少し続け、昭和61(1986)年の事業所数は1,268所であったが平成11(1999)年は979所となっている。第3次産業も全体の傾向と同様に減少傾向が続いているが、業種別でみると不動産業のみが全体の傾向とは反対に増加傾向にあり、昭和61(1986)年の事業所数は141所であったが平成11(1999)年は216所となっている。
これを分類ごとにおける割合の推移をみると、事業所数の割合に大きな変化がほとんどみられないのは、第2次、第3次産業が全体の減少率と同様の割合で減少しているためである。
図表2−10 産業大分類別事業所数の推移
区分 |
実数(所) |
対前回増減率(%) |
昭和61年 |
平成3年 |
平成8年 |
平成11年 |
3/61 |
8/03 |
11/08 |
総数 |
10203 |
9914 |
9460 |
8840 |
△2.8 |
△4.6 |
△6.6 |
第1次産業 |
6 |
6 |
4 |
3 |
0 |
△33.3 |
△25.0 |
農業・林業・漁業 |
6 |
6 |
4 |
3 |
0 |
△33.3 |
△25.0 |
第2次産業 |
2199 |
2178 |
2041 |
1861 |
△1.0 |
△6.3 |
△8.8 |
鉱業 |
9 |
2 |
4 |
5 |
△77.8 |
100 |
25 |
建設業 |
922 |
930 |
923 |
877 |
0.9 |
△0.8 |
△5.0 |
製造業 |
1268 |
1246 |
1114 |
979 |
△1.7 |
△10.6 |
△12.1 |
第3次産業 |
7998 |
7730 |
7415 |
6976 |
△3.4 |
△4.1 |
△5.9 |
電気・ガス・水道業 |
11 |
10 |
10 |
7 |
△9.1 |
0 |
△30.0 |
運輸・通信業 |
218 |
230 |
222 |
197 |
5.5 |
△3.5 |
△11.3 |
卸・小売業・飲食業 |
4895 |
4533 |
4.195 |
3988 |
△7.4 |
△7.5 |
△4.9 |
金融・保険業 |
152 |
158 |
148 |
139 |
3.9 |
△6.3 |
△6.1 |
不動産業 |
141 |
144 |
198 |
216 |
2.1 |
37.5 |
9.1 |
サービス業 |
2538 |
2610 |
2596 |
2429 |
2.8 |
△0.5 |
△6.4 |
公務 |
43 |
45 |
46 |
− |
4.7 |
2.2 |
− |
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資料:総務庁統計局「事業所・企業統計調査報告」(昭和61年〜平成11年) |
図表2−11 産業大分類別事業所数の割合の推移
(拡大画面:40KB) |
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資料: |
総務庁統計局「事業所・企業統計調査報告」(昭和61年〜平成11年) |
一方、産業大分類別の従業者数推移をみると、全体の従業者数は昭和61(1986)年から平成3(1991)年にかけて増加し、平成3(1991)年から平成8(1996)年にかけては横ばい状態、そして平成8(1996)年から平成11(1999)年の3年間に10.9ポイント減少し、従業者数は105,537人となって、3年間に12,849人減少している。
産業別では、第1次産業は平成8(1996)年までは減少傾向にあったが、平成8(1996)年から平成11(1999)年にかけて著しく増加し、平成11(1999)年には109人となって、3年間に69人増加している。第2次産業は平成3(1991)年以降逓減的に減少しており、平成8(1996)年の従業者数は52,652人であったが、平成11(1999)年は43,113人となり、3年間に6,737人減少している。第3次産業は平成8(1996)年まで増加傾向で推移し、その後減少に転じている。
全体の従業者数が、平成3(1991)年から平成8(1996)年にかけて横ばいだったのは、第2次産業の減少分を第3次産業の増加分により補ってきたからであり、その後、全体の従業者数は、事業所の減にあわせた形で減少している。
これを分類ごとの割合による推移でみると、第1次産業は、全体に影響を及ぼすほどではないが、昭和61(1986)年は0.07%であったが、平成11(1999)年は0.1%を占めている。第2次産業は、昭和61(1986)年は47.2%を占めていたが、平成3(1991)年には2.6ポイント減少し、その後も減少し続け、平成11(1999)年は40.9%となっている。一方、第3次産業は、昭和61(1986)年は52.7%であったが、平成3年には2.8ポイント増加し、その後も増加し続け、平成11(1999)年は59.1%となっている。
図表2−12 産業大分類別従業者数の推移
区分 |
実数(人) |
対前回増減率(%) |
昭和61年 |
平成3年 |
平成8年 |
平成11年 |
3/61 |
8/03 |
11/08 |
総数 |
110226 |
118461 |
118386 |
105537 |
7.5 |
△0.1 |
△10.9 |
第1次産業 |
77 |
63 |
40 |
109 |
△18.2 |
△36.5 |
172.5 |
農業・林業・漁業 |
77 |
63 |
40 |
109 |
△18.2 |
△36.5 |
172.5 |
第2次産業 |
52091 |
52652 |
49850 |
43113 |
1.1 |
△5.3 |
△13.5 |
鉱業 |
81 |
28 |
60 |
73 |
△65.4 |
114.3 |
21.7 |
建設業 |
7323 |
7332 |
7581 |
6929 |
0.1 |
3.4 |
△8.6 |
製造業 |
44687 |
45292 |
42209 |
36111 |
1.4 |
△6.8 |
△14.4 |
第3次産業 |
58058 |
65746 |
68496 |
62315 |
13,2 |
4.2 |
△9.0 |
電気・ガス・水道業 |
458 |
514 |
542 |
315 |
12.2 |
5.4 |
△41.9 |
運輸・通信業 |
5323 |
6508 |
6577 |
6241 |
22.3 |
1.1 |
△5.1 |
卸・小売業・飲食業 |
22804 |
23367 |
23782 |
22151 |
2.5 |
1.8 |
△6.9 |
金融・保険業 |
2183 |
2324 |
2356 |
1936 |
6.5 |
1.4 |
△17.8 |
不動産業 |
556 |
431 |
777 |
603 |
△22.5 |
80.3 |
△22.4 |
サービス業 |
25302 |
31156 |
32735 |
31069 |
23.1 |
5.1 |
△5.1 |
公務 |
1432 |
1446 |
1727 |
− |
1 |
19.4 |
− |
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資料: |
総務庁統計局「事業所・企業統計調査報告」(昭和61年〜平成11年) |
図表2−13 産業大分類別従業者数の割合の推移
(拡大画面:37KB) |
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資料: |
総務庁統計局「事業所・企業統計調査報告」(昭和61年〜平成11年) |
また、産業別市内純生産額の推移をみると、全体的に減少傾向にある。第1次産業は、平成7(1995)年度から平成11(1999)年度にかけて21.9ポイントと減少しており、他の産業に比べて落ち込みが大きい。農業、林業は、それぞれ32.0ポイントと16.8ポイント落ち込んでいる。第2次産業の生産額は上下を繰り返しながらも徐々に減少し、製造業は第2次産業全体と同様に減少し続けている。建設業は平成8(1996)年度から平成9(1997)年度にかけて7.5ポイント減少しているがその後増加に転じており、鉱業は、製造業や建設業とは逆に緩やかに増加してきている。
第3次産業は、平成10(1998)年度から生産額が減少傾向にあり、平成9(1997)年度から平成11(1999)年度にかけて3.7ポイント減少している。他が減少傾向にある中で金融・保険業、不動産業は増加傾向にあり、平成7(1995)年度から平成11(1999)年度にかけて、それぞれ11.6ポイントと5.5ポイント増加している。
次に、分類ごとの生産額割合から推移をみると、第1次産業は、緩やかに減少しており、平成7(1995)年度には0.47%であったが、平成11(1999)年度は0.39%と4年間で0.08ポイント減少した。第2次産業は、平成7(1995)年度は56.0%であったが、平成11(1999)年度は52.9%と3.1ポイント減少した。第3次産業は、第2次産業とは逆に拡大しており、平成11(1999)年度には全体の46.8%を占めている。
図表2−14 産業別市内純生産額
単位:百万円 |
区分 |
平成7年度 |
平成8年度 |
平成9年度 |
平成10年度 |
平成11年度 |
総数 |
980886 |
939559 |
965118 |
918007 |
912165 |
第1次産業 |
4571 |
4198 |
3852 |
3920 |
3569 |
農業 |
1032 |
885 |
785 |
784 |
702 |
林業 |
131 |
159 |
166 |
139 |
109 |
水産業 |
3408 |
3154 |
2901 |
2997 |
2758 |
第2次産業 |
549707 |
492970 |
518325 |
474423 |
482099 |
鉱業 |
918 |
941 |
1091 |
1206 |
1536 |
製造業 |
502641 |
444836 |
473596 |
428445 |
432457 |
建設業 |
46148 |
47193 |
43638 |
44772 |
48106 |
第3次産業 |
426608 |
442391 |
442941 |
439664 |
426497 |
電気・ガス・水道業 |
7122 |
6299 |
5583 |
6948 |
5211 |
卸売・小売業 |
71493 |
72218 |
71490 |
71889 |
71522 |
金融・保険業 |
21909 |
23773 |
23259 |
24196 |
24444 |
不動産業 |
55660 |
58015 |
59501 |
57580 |
58731 |
運輸・通信業 |
54781 |
56665 |
56502 |
52161 |
49194 |
サービス業 |
164874 |
171799 |
171403 |
172017 |
163013 |
公務 |
50769 |
53622 |
55203 |
54873 |
54382 |
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資料: |
茨城県ホームページ |
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(http://www.pref.ibaraki.jp/tokei/joho/chosa/sisyotoku11/downroad.htm) |
図表2−15 産業別市内純生産額の割合の推移
(拡大画面:35KB) |
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