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まえがき
 舶用機器は陸上の電化機器などに比べて厳しい環境条件で使用される上に生命や財産の保全に直接関係することから、より厳格な環境規制が課せられている。船舶の自動化が進み舶用機器に電気用品が多種多様に採用されるようになってきた。これらの電気用品にはコンピュータやIC電子回路が組み込まれ複雑化されて高度な機能を持たせるようになったが、反面海上における厳しい環境条件に適合しない場合が出てきた。
 環境条件には従来温度、湿度、防蝕および振動などの物理的条件に加えて舶用機器が発生する不要電波放射妨害や外部から誘導する電磁波による誤動作への耐力(イミュニティ)など電気的特性も加えられるようになって来た。
 さらにグローバル化が進み、舶用機器に要求される規格が国際化されて国際規格に合格しないと舶用機器の輸出にも影響するようになった。IMOでSOLAS条約第V章(航行安全)が前面的に改正され2002年7月から発効されて、船舶自動識別装置(AIS)や航海データ記録装置(VDR)が規定された船舶に強制装備されるようになり、今後ますます舶用電気機器の普及が進められると共に国際的な規格への適合性の要求が強まってくるものと考えられる。
 舶用機器の国際環境規格としてIMOでは航行安全関連機器に対して国際電気標準会議(IEC)の規格、IEC60945を適用しており、わが国のNK規格もグローバル化からIEC60945と根拠を同じくする規格を適用して従来より厳しい基準を適用するようになってきた。従来のわが国の型式承認基準よりIEC60945の基準は規格値や試験条件がより厳しく規定されているので現用されている航海用の安全関連機器や自動化機器がIEC60945の環境条件に適合するかを調査検討する必要が生じてきた。
 また、陸上で使用されている表示器やコンピュータなどを舶用機器に組み込むシステムが普及してきたが、陸上の基準に合格した機器がより厳しい舶用の基準に適合できない場合が起きてきたので、この問題に取り組む調査検討も必要となった。
 本調査検討会は以上の要請から平成13年度と14年度にわたり代表的な航行機器および自動化機器の中から「電源パネル」、「発電機の自動同期投入装置」、「液晶表示器」および「船燈の閃光灯」の4機種の機器に対してIEC60945の国際規格への適合性について調査検討を行った。
 平成13年度は評価試験を行い一部の機器が国際規格に適合できないことを確認できた。
 本年14年度の報告書はこれらの不合格となった機器への対策を行った結果をまとめたものである。
 
 なお、本調査研究は、日本財団の助成事業により行われたものである。







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