○国土交通省告示第五百十一号
船舶設備規程(昭和九年逓信省令第六号)第三編第二章及び第三百十一条の二十四の規定に基づき、船舶の操舵(そうだ)の設備の基準を定める告示を次のように定める。
平成十四年六月二十五日
国土交通大臣 林 寛子
船舶の操舵(そうだ)の設備の基準を定める告示
(用語)
第一条 この告示において使用する用語は、船舶設備規程(昭和九年逓信省令第六号。以下「規程」という。)において使用する用語の例による。
(操舵(そうだ)装置)
第二条 船舶(総トン数七〇、〇〇〇トン以上の船舶であって危険物ばら積船等(危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭和三十二年運輸省令第三十号)第二条第一号の二イ及びロに掲げるばら積み液体危険物又は引火性若しくは爆発性のガスを発生する液体であってこれらのばら積み液体危険物以外のもののばら積輸送に使用される船舶をいう。以下同じ。)以外のもの及び総トン数一〇、〇〇〇トン以上の危険物ばら積船等を除く。)に係る規程第百三十五条の告示で定める要件は、次条から第五条までに定めるとおりとする。
第三条 主操舵(そうだ)装置及び補助操舵(そうだ)装置は、そのうちの一の故障により他の操舵(そうだ)装置の作動が妨げられるおそれのないものでなければならない。
第四条 主操舵(そうだ)装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 |
十分な強度を有し、かつ、管海官庁が適当と認める方法により保護されたものであること。 |
二 |
最大航海喫水において最大航海速力で前進中に、舵(かじ)を片舷(げ ん)三五度から反対舷(げん)三五度まで操作でき、かつ、片舷(へんげん)三五度から反対舷(げん)三〇度まで二八
秒以内に操作できるものであること。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合には、この限りでない。 |
三 |
最大後進速力で後進しても破損しないものであること。 |
四 |
舵(だ)柄との接合部の舵(だ)頭材の径が一二〇ミリメートルを超える場合には、動力によるものであること。 |
2 補助操舵(そうだ)装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 |
操舵(そうだ)機室を有する船舶に備えるものにあっては、操舵(そうだ)機室において操作することができるものであること。 |
二 |
最大航海喫水において最大航海速力の二分 の一又は七ノットのうちいずれか大きい方の速力で前進中に、舵(かじ)を片舷(へんげん)一五度から反対舷
(げん)一五度まで六〇秒以内に操作できるものであること。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態 様等を考慮して差し支えないと認める場合には、この限りでない。 |
三 |
主操舵(そうだ)装置が故障した場合に、速やかに作動させることができるものであること。 |
四 |
舵(だ)柄との接合部の舵(だ)頭材の径が二三〇ミリメートルを超える場合には、動力にとるものであること。 |
五 |
動力によるものにあっては、その制御系統( 操舵(そうだ)輪又は舵(かじ)レバーを除く。以下この号、次条第四号、第七条第
四号及び第九条第五号において同じ。)は、主操舵(そうだ)装置の制御系統と独立したものであること。 |
六 |
前項第一号に掲げる要件 |
第五条 主操舵(そうだ)装置が動力によるものであり、かつ、前条第一項第一号から第三号までに掲げる要件のほか、次に掲げる要件にも適合するものである場合は、当該船舶には、補助操舵(そうだ)装置を備えることを要しない。
一 |
同等の能力を有する二以 上の動力装置を有すること。この場合において、国際航海に従事する
旅客船及び国際航海に従事しない旅客船であって遠洋区域又は近海区域を 航行区域とするものにあっては、当該動力装置は、そのうちの一が作動してい
ないときにおいても前条第一項第二号に規定する操舵(そうだ)能力を維持することができるものでなければならない。 |
二 |
油圧操舵(そうだ)装置にあっては、その 油圧駆動系統(ラダー・アクチュエーターを除く。)に一の故障が生じ
た場合に、速やかに操舵(そうだ)能力を回復させるための措置が講じられたものであること。 |
三 |
油圧操舵(そうだ)装置以外のものにあ っては、前号の要件に適合する油圧操舵(そうだ)装置と同等以上の効力を有するものであること。 |
四 |
船橋から操作することができる二の独立 した制御系統を備えたものであること。ただし、油圧テレモーターにより構成される制御系統にあっては、一とすることができる。 |
第六条 総トン数七〇、〇〇〇トン以上の船舶であって危険物ばら積船等以外のものに係る規程第百三十五条の告示で定める要件は、動力による操舵(そうだ)装置であって第四条第一項第一号から第三号まで及び前条各号に掲げる要件に適合するものを備えていることとする。
第七条 総トン数一〇、〇〇〇トン以上の危険物ばら積船等に係る規程第百三十五条の告示で定める要件は、動力による操舵(そうだ)装置であって次に掲げる要件に適合するものを備えていることとする。
一 |
油圧操舵(そうだ)装置にあっては、その油圧駆動系統に一の故障が生じた後四五秒以内に操舵(そうだ)能力を回復できるものであること。ただし、当該故障が、ラダー・アクチュエーターの焼付き又はラダー・アクチュエーターを一のみ備える油圧駆動系統の当該ラダー・アクチュエーターの故障である場合は、この限りでない。 |
二 |
油圧操舵(そうだ)装置にあっては、その油圧駆動系統は、次に掲げる要件のいずれかに適合するものであること。ただし、ラダー・アクチュエーターを一のみ備える油圧駆動系統については、管海官庁の指示するところによるものとする。
|
イ |
二の独立し、かつ、分離した油圧駆動系統であって、かつ、そのそれぞれが第四条第一項第二号に規定する操舵(そうだ)能力を有するものであること。 |
ロ |
二の独立した油圧駆動系統であって、そのうちの一に作動油の漏出が生じた場合に、これを自動的に探知し、かつ、当該系統を自動的に切り離すことにより、他の系統の作動を維持することができるものであること。 |
三 |
油圧操舵(そうだ)装置以外のものにあっては、前二号の要件に適合する油圧操舵(そうだ)装置と同等以上の効力を有するものであること。 |
四 |
船橋から操作することができる二の独立した制御系統を備えたものであること。
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五 |
第四条第一項第一号から第三号まで及び第五条第一号の要件 |
(動力装置)
第八条 動力による操舵(そうだ)装置の動力装置は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 |
船橋から始動させることができるものであること。 |
二 |
故障により停止した動力源からの動力の供給が復帰した場合に、自動的に再始動するものであること。 |
三 |
故障した場合に、船橋に可視可聴の警報を発するものであること。 |
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