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三澤 博敬(みさわ ひろたか)(昭9.11.20生)
新潟県新潟市
 
 昭和49年、新潟市において相次ぐ水難事故から子供を守るために「背の立たない海の中で、5時間生きていられる」ことを目的として水泳教室を開設した。以来28年間、夏休みに入ると数十人の子供たちを集めて海の中で指導を行い、毎年8月初旬に5時間遠泳大会を開催し、水難事故の防止に貢献している。
(推薦者 福原和夫)
 
Mr. Hirotaka Misawa
(Born on November 20, 1934)
Niigata City, Niigata Prefecture
 
In 1974, Mr. Misawa opened a swimming class in Niigata City that trained local children to "swim and tread water for five hours out at sea." The purpose was to protect children from water-related accidents that frequently occur in the area. In the 28 years since, Mr. Misawa has taught scores of children to swim in the sea. And in August each year, he organizes a special "five-hour swimming competition." His contribution to the prevention of water-related catastrophes has been outstanding.
Recommended by Mr. Kazuo Fukuhara.
 
 三澤博敬さんは、新潟県立有明台小学校に教員として勤めていた昭和49年、子供の教育方法に感動した父母から要望され、海での水泳教室を開設した。当時は市の中央を流れている信濃川でボート部員が二人も溺死したり、日本海で親が目を放した隙に子供が流されたりなど、毎年のように水難事故があり、新聞をにぎわしていた。子供を水の事故から守るには、「背の立たない海の中で、5時間生きていられる」子にする以外ないという信念で、夏休みに入ると数十人の子供たちを集め、関屋浜の海で指導をしてきた。その成果の発表として、毎年8月初旬に5時間遠泳大会を開催、以後28年間休むことなく、また一回の事故もなく続けてきた。遠泳大会は戦前からの新潟市の伝統行事だったが、戦後になってからは行われなくなっていた。
 三澤さんの教室や大会は、天候に関係なく開かれた。遊泳禁止の日でも、海の荒れた日にも子供が溺れないようにと、テトラポッドの内側で練習させている。三澤さんの方針は、早く泳ぐことではなく、着衣でも生きていられるように立ち泳ぎ・浮き身の指導から始まり、平泳ぎ、横泳ぎ、溺者救助法、溺者水中搬送、人工呼吸と多岐にわたっている。また遠泳大会開始前には、子供が溺れた母親を救助するというデモンストレーションを毎年披露している。現在67歳、教職を退いた後も活動を続け、遠泳の他、ヨットの指導や秋になるとスケート指導、冬にはスキー合宿と、一年じゅう子供や父母の指導に情熱を燃やしている。
 
 
 
受賞の言葉
 30年この方、家のことをなにひとつしないで、子供たちの指導にばかり熱を上げてきました。家内もあきれていますが、今後とも皆様の期待に応えるべく、一人でも多くのカナヅチさんをメダカさんに育ててゆくつもりです。







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