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8月18日(日)
本日のスケジュール・内容
1)バルア先生の講義
2)帰国
 
1)バルア先生の講義
 「この講義のテーマは、『Halo Halo』です。」バルア先生自身がそうおっしゃられた通り、先生がこれまで歩んでこられた道程、阪神大震災の教訓、幸福論、self identityを探ることの重要性など、講義の話題は多岐に亘りまさに『Halo Halo』(とっても美味しいフィリピンのかき氷。”なんでもかんでもごっちゃまぜ”の意)状態であった。ご自分の経験や、そこから得た教訓をできる限りたくさん学生たちに伝えたい、更に、それを糧に成長してほしいというバルア先生の熱い思いが学生たちにもひしひしと伝わってきた。あっという間に3時間が経過し、空港へ出発しなければならない時刻となってしまったのが非常に残念であった。
 以下に、バルア先生のお話で特に印象に残った話題をいくつか挙げてみたいと思う。
 
バルア先生と
 
〜self identity〜
Who am I? Where did I come from?
How did I come here? Where shall I go from here?
How shall I go there? What shall I do there?
 このように自分に問い続けよう。それが自分の進む道を切り開くための基礎になる。
 
〜人間の幸せ〜
 誰がどのように心の満足度を測ることができるのだろうか?
 自分のidentityを知らなければ人間の幸せを理解することは出来ない。
 
〜若かりし頃〜
 さまざまな国を旅行し、たくさんの尊敬する先生方にお会いした。アルバイトと旅行の繰り返しだった。そのように苦労して自分の基礎を作るのが大事なのである。
 今の若い人たちは、自分の祖父母がどれだけ苦労しながら自分の父母たちを育てたのかということについて、また、自分の両親はどのように自分を育てたのかということについて分かっていない。現在の便利な世界にどのようにしてたどり着いたのかを分かっていない。便利さに負けたら、他人に自慢できる人生は創れない。
 
〜人生の味付け〜
 自分の足元を強くしていくために、学んできたことを調味料として少しずつ用いて、人生の味付けをしていこう。味付けをするために、調味料の味は自分で確かめなければ分からない。つまり、現場を見なければわからないのだ。そして、味のレパートリーを増やしていくためには、たくさんの人に会って学ばなければならない。
 日本を知ろう。もっと広い世界を見よう。もっともっと勉強しよう。そして、自分の生き方に味付けをしてくれた先生には、言葉で直接感謝するよりも、その後の自分の仕事で感謝の気持ちを表そう。
 
〜「彼の名は今日」〜
 われわれは多くの過ちや間違いを犯している
 しかし、最大の罪は子供たちを見捨てていることだ
 その生命の泉を無視していることだ
 
 多くの必要なことは待つことができる
 しかし、その子にはそれが出来ない
 今、彼の骨がつくられ、血がつくられ、感覚が育っているのだ
 この子に対して私たちは「明日ね」ということはできない
 この子の名は「今日」なのだ
 
〜質疑応答〜
Q. 「バルア先生のパワーの源は何ですか?」
A. 「マザーハウスでボランティアをするよう勧めてくれたおじさんの影響が強い。元々、好奇心が強いということも理由かもしれない」
Q. 「先生はどうしてそんなに日本に愛着を持っているのですか?」
A. 「兄弟のうち4人が日本で勉強していたことが大きい。その他、日本で開催された全世界仏教会議や、原爆反対運動に関わった経験も関係があると思う。自分の基礎を作ったのは日本だと思っている。仲間をたくさん作ることが出来たし、日本をベースにすると上手くいくことも多い」
Q. 「他人に反発されても自分の信じる道を貫くことができる、そのような姿勢を先生が持っていられるのは何故ですか?」
A. 「自分自身のidentityをしっかり持ち、かつ自分の周囲の人との共有が上手くいっていれば、その他の人たちはどうでもいいと考える。悪口をいう人間は、他人を理解する能力のない人間だと私はとらえている。」
Q. 「資本主義ではみんなの幸せは実現できないのではないでしょうか?」
A. 「例えば世の中を変えたい!といって政治家になることは、私ができることではない。私は私にできることをしているだけですよ。」
講義後の担当者感想:
 バルア先生の活動について以前から何度も耳にしたことがあったが、直接お会いしてお話を伺うのは初めてであった。とにかく純粋で、善意に満ち溢れた方であった。そして、バルア先生は自分自身と完全に向き合った上で経験と実績を重ねた人だけが持つ強烈なオーラを放っていた。
 Who am I? Where did I come from?・・・最近とにかくがむしゃらにいろんな分野で経験を積むことのみに目がいくことが多くて、このフェローシップの間にも、得たものを可能な限り吸収することを主眼に置いて、自分自身との真剣勝負を怠ってきた私は、バルア先生の講義をお聞きしながら、静かな、しかし深い衝撃を受けていた。根っこがしっかりしていなければ、どんなに立派な枝葉をつけてもぐらぐらと不安定になるばかりで全く使い物にならない。そんな当たり前のことに改めて気づかされた。
 過密な日程の中で、わずかな時間ではありましたが自分の内面の問題に対峙することの大切さを思い出させてくださった、バルア先生の講義に深く感謝しています。本当にありがとうございました。
(担当:千田 礼子)
 
8月18日 今日のひとこと
伊藤:思い返せば平均睡眠時間2時間半。よく体がもったね。お疲れさん。
安藤:続けてみんなでどこかの国に行きたいと思った。
大森:けっこういいチームになったよね。ありがとう。
千田:口に含むだけで精一杯だった11日間。これからゆっくり噛みしめていきたい。まだまだ混乱しているけれど、今確実に言えることは「あなたたちに会えてよかった!」
瀧村:バルア先生、もっと早くからお話聞きたかったです。残念。涙もろい方は空港に着く前に涙を搾っておきましょう。
長崎:深いものを持っているメンバーと接するには11日間は短すぎた。
江崎:私はずっと「社会を変えたい」などと大それたことを考えていた。バルア先生の話を聞いて、社会を変えようとするのではなく、出会った人の一人一人と「互いに変わっていく」プロセスを大切に積み上げていこうと思った。
河合:バルア先生は短い時間を惜しんで私たちに話して下さった。更に様々なことについてご意見を聞いてみたいと思った。
馬場:いい経験させてもらいました。すべてに感謝。
井上:バルア先生のお話はもっと聞きたかった。それが残念なこと。フェローのみんなすごく尊敬してます。会えてよかった。語れてよかった。一緒に過ごせてよかった。ありがとう。
斎藤:バルア先生、アツイ、いい話やー感動。フィリピン最高、マタ帰ってくるぞー。みんなありがとうー。
須貝:最後の点呼を終えると涙がでてきた。みんな、ありがとう。
高田:バルア先生に人生相談できなかったのが、残念。みんなとの別れは、さびしかった。
鳥羽:バルア先生の心温まる話に感動!そして、仲間とのお別れの日。みんなと出会えたことに感謝。この研修を支えてくれた人に感謝、感謝!の1日でした。







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