3.7 河川内での事故発生状況
海難審判庁のデータと国土交通省港湾局(平成2年1月1日〜12月31日の調査データ)のデータのうち荒川、隅田川及び新河岸川に係わるデータ(合計112データ)を用いて、河川内での事故発生状況を整理した。事故リストは本項の最後(表−3.7.6)に示す。
なお、海難審判庁のデータは地方海難審判理事所が認知した平成12〜14年の3年間のデータと、地方海難審判庁が裁決言渡を行った平成2年〜12年の10年間のデータを用いた。
(1)場所別の事故発生状況
事故件数は、荒川が56件、隅田川が55件、新河岸川が1件の計112件であり、荒川、隅田川とも事故件数はほぼ同じである。
場所別に見ると、荒川は河口付近の事故が多く、隅田川は千住大橋付近と尾竹橋付近の事故が多い傾向が見られた。事故発生場所別の事故件数を図−3.7.1に示す。
表-3.7.1 河川別の事故件数
河川名 |
事故件数 |
荒川 |
56件 |
隅田川 |
55件 |
新河岸川 |
1件 |
合計 |
112件 |
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図−3.7.1 事故発生場所別の事故件数
(2) 時期別の事故発生状況
全事故件数を100%とし、季節別の事故件数の割合を集計した。夏が最も多く全体の37%、次いで春が27%である。「春、夏」に対して「秋、冬」の事故件数の割合は少ない。月別に見ると、5〜7月が特に事故件数が多い。なお、いずれの月も事故は発生している。事故件数の季節別割合を図−3.7.2に月別の事故件数を図−3.7.3に示す。
表-3.7.2 季節別の事故件数及び割合
季節 |
件数 |
割合 |
春(3〜5月) |
30 |
27% |
夏(6〜8月) |
42 |
38% |
秋(9〜11月) |
23 |
21% |
冬(12〜2月) |
17 |
15% |
合計 |
112 |
100% |
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図−3.7.2 事故件数の季節別割合
図−3.7.3 月別の事故件数
(3)時間別の事故発生状況
全事故件数を100%とし、事故が発生した時間帯別の割合を集計した。早朝と午前に発生した事故が約8割(37+45=82%)と午前中の事故が非常に多かった。特に事故件数の多い時間帯は早朝では6、7時台、午前では10時台であった。
事故件数の時間帯別割合を図−3.7.4に、各時間帯の事故発生件数を図−3.7.5に示す。
表-3.7.3 時間別の事故件数と割合
項目 |
件数 |
割合 |
早朝(6〜9時) |
42 |
38% |
午前(9〜13時) |
50 |
45% |
午後(13〜17時) |
17 |
15% |
不詳 |
3 |
3% |
合計 |
112 |
100% |
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図−3.7.4 事故件数の時間別割合
図−3.7.5 各時間帯の事故件数
(4)種類別の事故発生状況
全事故件数を100%とし、発生した事故の種類の割合を集計した。遭難(浮遊物接触)の事故が最も多く、57件であり全体の5割を占めている。ついで座礁・乗揚等、他船接触等、橋梁・岸壁等接触が1〜2割である。種類別の事故の割合を図−3.7.6に示す。
表-3.7.4 種類別の事故件数と割合
事故の種類 |
件数 |
割合 |
遭難(浮遊物接触) |
57 |
51% |
座礁・乗揚等 |
19 |
17% |
他船接触等 |
17 |
15% |
橋梁・岸壁等接触 |
15 |
13% |
遭難 |
1 |
1% |
遭難(絡索) |
1 |
1% |
機関損傷 |
1 |
1% |
死傷等 |
1 |
1% |
合計 |
112 |
100% |
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図−3.7.6 事故件数の種類別割合
(5)方向別の事故発生状況
方向別のデータは荒川、隅田川及び新河岸川において集計した112データのうち、50件しかデータがなかったため、この50件を100%として、方向別の事故の割合を集計した。上航中、下航中ともほぼ5割であり、両方向とも事故発生状況は変わらないものといえる。
表-3.7.5 時間別の事故件数と割合
航行方向 |
事故件数 |
割合 |
上航中 |
25 |
50% |
下航中 |
24 |
48% |
回航中 |
1 |
2% |
合計 |
50 |
100% |
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図−3.7.7 方向別の事故発生割合
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