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2)動物プランクトン
 表II.6.10-2及び図II.6.10-2には、船上搭載試作機の植物プランクトンに対する基本損傷効果を示した。
 なお、小型装置の基本効果実験と同様に、分類群の中には各実験回での出現個体数及び損傷率に大きな変動が見られ、自然海域における分布量の変動の大きさと種類で損傷程度が異なることを表している。
 多膜類繊毛虫類に対する損傷効果は、全体(全サイズ)で1pass損傷率71.74%であった。この値は、2pass処理を想定すると92%となり小型装置の基本効果と同等である。ただし、今回の試験では多膜類繊毛虫類としては大型の個体(50μm以上)に対する効果が低い傾向にあった。このサイズには、有鐘繊毛虫の Favella が多く出現しており、外的刺激から防護する殻を持つ本種には、現在の設定処理条件(スリット部流速約30m/sec等)では高い効果が得にくいことを意味している。
 多毛類(ゴカイの仲間の浮遊幼生)に対しては、全体(全サイズ)平均で66.67%という損傷率が得られたが、出現数が少なく精度が低い結果であるため、参考値とする。二枚貝類(浮遊幼生)に対しても、多毛類と同様に出現数が少ない結果であるが、全サイズを通して1pass処理で80%以上の損傷率を記録しており、小型装置の実験における低い損傷率は観測されなかった。
 最も主要な分類群で出現数の変動も比較的少ないカイアシ類の1pass損傷率は、小型装置の実験結果と同様に高いレベルで安定しており、全サイズで約95%を記録した。
 これら分類群を総合した全動物プランクトン(全サイズ合計)の1pass損傷率は、約80%で2pass処理を実施したと仮定すると95%に達する効果となる。
 
表II.6.10-2 船上搭載試作機の動物プランクトンに対する基本損傷効果(1)多膜類繊毛虫類
スリット部流速:27.84〜30.32m/sec 圧損:413.7〜460.3kPa
単位:inds/L
    パイプ処理前 1pass処理直後 1pass損傷率(%)
第1回実験 ≧100μm 4.30 4.10 4.65
≧50μm 37.80 31.70 16.14
≧20μm 39.80 32.30 18.84
total 39.80 32.30 18.84
第2回実験 ≧100μm <0.1 <0.1  
≧50μm 0.1 0.00 100.00
≧20μm 0.10 0.00 100.00
total 0.10 0.00 100.00
第3回実験 ≧100μm 32.00 3.00 90.63
≧50μm 108.80 40.30 62.96
≧20μm 109.60 40.30 63.23
total 1109.60 40.30 96.37
平均 ≧100μm 47.64
≧50μm 59.70
≧20μm 60.69
total 71.74
注)損傷率: 分析せずあるいは算出対象外
<0.1:検出限界以下、損傷率算出時は0として計算
 
表II.6.10-2 船上搭載試作機の動物プランクトンに対する基本損傷効果(2)多毛類
スリット部流速:27.84〜30.32m/sec 圧損:413.7〜460.3kPa
単位:inds/L
    パイプ処理前 1pass処理直後 1pass損傷率(%)
第1回実験 ≧100μm <0.1 <0.1  
≧50μm <0.1 <0.1  
≧20μm <0.1 <0.1  
total <0.1 <0.1  
第2回実験 ≧100μm 0.1 0.00 100.00
≧50μm 0.30 0.20 33.33
≧20μm 0.30 0.20 33.33
total 0.30 0.20 33.33
第3回実験 ≧100μm 0.10 0.00 100.00
≧50μm 0.10 0.00 100.00
≧20μm 0.10 0.00 100.00
total 0.10 0.00 100.00
平均 ≧100μm 100.00
≧50μm 66.67
≧20μm 66.67
total 66.67
注)損傷率: 分析せずあるいは算出対象外
<0.1:検出限界以下、損傷率算出時は0として計算
 
表II.6.10-2 船上搭載試作機の動物プランクトンに対する基本損傷効果(3)二枚貝類
スリット部流速:27.84〜30.32m/sec 圧損:413.7〜460.3kPa
単位:inds/L
    パイプ処理前 1pass処理直後 1pass損傷率(%)
第1回実験 ≧100μm 0.50 0.10 80.00
≧50μm 1.00 0.10 90.00
≧20μm 1.00 0.10 90.00
total 1.00 0.10 90.00
第2回実験 ≧100μm <0.1 <0.1  
≧50μm 0.50 0.10 80.00
≧20μm 0.50 0.10 80.00
total 0.50 0.10 80.00
第3回実験 ≧100μm <0.1 <0.1  
≧50μm <0.1 <0.1  
≧20μm <0.1 <0.1  
total <0.1 <0.1  
平均 ≧100μm 80.00
≧50μm 85.00
≧20μm 85.00
total 85.00
注)損傷率: 分析せずあるいは算出対象外
<0.1:検出限界以下、損傷率算出時は0として計算
 
表II.6.10-2 船上搭載試作機の動物プランクトンに対する基本損傷効果(4)カイアシ類
スリット部流速:27.84〜30.32m/sec 圧損:413.7〜460.3kPa
単位:inds/L
    パイプ処理前 1pass処理直後 1pass損傷率(%)
第1回実験 ≧100μm 8.60 0.50 94.19
≧50μm 18.70 1.10 94.12
≧20μm 18.80 1.10 94.15
total 18.80 1.10 94.15
第2回実験 ≧100μm 29.20 0.20 99.32
≧50μm 33.00 0.60 98.18
≧20μm 33.60 0.60 98.21
total 33.60 0.60 98.21
第3回実験 ≧100μm 8.70 0.50 94.25
≧50μm 18.80 1.70 90.96
≧20μm 19.70 1.70 91.37
total 19.70 1.70 91.37
平均 ≧100μm 95.42
≧50μm 94.42
≧20μm 94.58
total 94.58
注)損傷率: 分析せずあるいは算出対象外
<0.1:検出限界以下、損傷率算出時は0として計算
 
表II.6.10-2 船上搭載試作機の動物プランクトンに対する基本損傷効果(5)全動物プランクトン
スリット部流速:27.84〜30.32m/sec 圧損:413.7〜460.3kPa
単位:inds/L
    パイプ処理前 1pass処理直後 1pass損傷率(%)
第1回実験 ≧100μm 13.40 4.70 64.93
≧50μm 57.50 32.90 42.78
≧20μm 59.60 33.50 43.79
total 59.60 33.50 43.79
第2回実験 ≧100μm 29.30 0.20 99.32
≧50μm 33.90 0.90 97.39
≧20μm 34.50 0.90 97.39
total 34.50 0.90 97.39
第3回実験 ≧100μm 40.90 3.50 91.44
≧50μm 127.80 42.00 67.14
≧20μm 129.50 42.00 67.57
total 1129.50 42.00 96.28
平均 ≧100μm 85.23
≧50μm 69.09
≧20μm 69.58
total 79.15
注)損傷率: 分析せずあるいは算出対象外
<0.1:検出限界以下、損傷率算出時は0として計算







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