6. 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認実験
6.1 実験目的
船上搭載試作機の各種水生生物に対する機械的損傷効果を確認するとともに、小型装置の実験結果を基に改良し、かつ大量の海水を処理する上で重要な検討課題である閉塞対策及び長時間連続運転による耐久性に対する検証を行うことを目的とした。
6.2 実験時期及び場所
実験は、平成15年3月17日から3月20日の間に、佐賀県伊万里市の臨海実験施設で行った。
6.3 実験項目
(1)船上搭載試作機の水生生物損傷基本効果
(2)閉塞対策の作動確認
(3)長時間連続運転による耐久性の検証
6.4 実験構成
図II.6.4-1には、船上搭載試作機による水生生物処理効果確認実験の構成フローを示した。
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図II.6.4-1 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認実験の構成フロー |
6.5 実験装置
写真II.6.5-1には、「船上搭載試作機による水生生物処理効果確認実験」の実験装置の全景、図II.6.5-1には、装置構成図を示した。
実験装置は、連続運転を行うため海水中に設置したポンプ、処理後及びコントロールサンプルの採取を切り替える切替弁、装置本体(船上搭載試作機)、それにサンプル採取用のタンクで構成した。なお、装置本体には閉塞対策の自動制御装置が組み込まれている。
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写真II.6.5-1 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認実験装置の全景 |
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図II.6.5-1 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認陸上実験装置の構成図 |
6.6 物理条件観測方法
図II.6.6-1には、流量、圧力の物理条件観測システム図を示した。
流量、装置上流側圧力及び下流側圧力の観測は、全連続運転中を通して行った。流量観測は超音波式流量計、圧力はひずみゲージ式圧力計を用いた。なお、閉塞対策の自動制御は、制御盤で上流側圧力をモニターし、550kPaに達すると可動スリット板及び可動衝突板を移動させるモーターを駆動する方式を取り入れた。閉塞解消時間は20秒で、上流側圧力が通常の500kPa以下になったのを感知すると再びモーターが駆動してスリット板と衝突板が元の密着形状に戻るように設定している。
(拡大画面:47KB) |
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図II.6.6-1 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認実験装置の物理条件観測システム
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6.7 実験対象生物
各実験項目における実験対象生物は、表II.6.7-1の自然海水中の生物である。
表II.6.7-1 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認陸上実験の実験対象生物 |
生物区分 |
観測項目 |
対象生物分類群 |
植物プランクトン |
植物プランクトンの種別
細胞数 |
渦鞭毛藻綱、珪藻綱等の各種分類群 |
動物プランクトン |
動物プランクトンの種別
個体数 |
多膜類繊毛虫綱、カイアシ類等の終生動物プランクトンの各種分類群、多毛綱、二枚貝綱等の一時的(幼生時等)の各種分類群 |
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6.8 効果判定方法(分析方法)
表II.6.8-1には、船上搭載試作機による水生生物処理効果確認陸上実験の実験対象生物毎の分析方法を示した。また、表II.6.8-2には、各実験対象生物の効果判定方法を示した。各実験対象生物の効果判定基準は、前記小型装置の実験で用いた写真II.3.7-1と同じである。
表II.6-8-1 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認陸上実験の実験対象生物毎の分析方法 |
生物区分 |
観測項目 |
分析方法 |
植物プランクトン |
植物プランクトンの種別
細胞数 |
生物顕微鏡による直接計数法(無固定、20μm以下、20〜50μm、50〜100μm、100μm以上のサイズ別計数) |
動物プランクトン |
動物プランクトンの種別
個体数 |
生物顕微鏡及び実体顕微鏡による直接計数法(無固定、20μm以下、20〜50μm、50〜100μm、100μm、以上のサイズ別計 |
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表II.6.8-2 船上搭載試作機による水生生物処理効果確認陸上実験における各実験対象生物の効果判定方法 |
生物区分 |
観測項目 |
効果判定方法 |
植物プランクトン |
植物プランクトンの種別
細胞数 |
処理前後の各種正常細胞数(サイズ別)の変化 |
動物プランクトン |
動物プランクトンの種別
個体数 |
処理前後の各種正常個体数(サイズ別)の変化 |
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6.9 実験手順及び物理条件
(1)船上搭載試作機の水生生物損傷基本効果実験の手順
図II.6.9-1には、船上搭載試作機の水生生物損傷基本効果実験の手順を示した。
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図II.6.9-1 船上搭載試作機の水生生物損傷基本効果実験の手順 |
表II.6.9-1には、各実験時の物理条件を示した。
表II.6.9-1 船上搭載試作機の水生生物損傷基本効果実験時の物理条件 |
実験日 |
上段:実験開始時刻 |
天候 |
装置運転経過時間(積算時間) |
流量(m3/時)(積算流量(m3)) |
スリット部流速(*)(m/s) |
装置上流側圧力(kPa) |
装置下流側圧力(kPa) |
装置前後圧力差(kPa) |
下段:同終了時刻 |
3月18日 |
9時40分 |
曇一時雨後晴 |
運転開始直後 |
113.0 |
29.61 |
472 |
58.26 |
413.7 |
17時40分 |
3月19日 |
9時30分 |
晴後曇 |
9時間経過後 |
106.3
(1017) |
27.84 |
485.7 |
48.68 |
437.0 |
18時0分 |
3月20日 |
9時0分 |
晴後一時薄曇 |
17時間経過後 |
115.7
(1921) |
30.32 |
520.8 |
60.51 |
460.3 |
9時30分 |
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(*) |
スリット部流速:閉塞でスリット部の面積が狭くなっていると考えられるが、面積縮小程度が不明であるため面積を特定することができない。よって、スリット部流速は、閉塞のない通常のスリット部面積を用いて算出した参考値である。 |
(2)閉塞対策の作動確認
次の手順で、自動制御閉塞対策の作動確認を行った。
1) |
非運転状態(ポンプ停止)で、閉塞対策の作動確認を行った。 |
2) |
装置上流側圧力300kPaで閉塞対策が作動するように自動制御を設定し、低流量の連続運転を行い、作動確認を行った。 |
3) |
連続17時間の通常運転(装置上流側圧力約500kPa)で、装置上流側圧力550kPaで閉塞対策が作動するように自動制御を設定し、作動確認を行った。 |
4) |
通常の連続運転(装置上流側圧力約500kPa)で、装置上流側圧力550kPaで閉塞対策が作動するように自動制御を設定し、ポンプ口から砂を注入する強制閉塞試験を実施して閉塞対策作動確認を行った。 |
(3)長時間連続運転による耐久性の検証
17時間の連続運転中に、振動、圧力、音、管内流量の異常及び水漏れの有無を観察した。また、実験終了後に装置を分解して、改良したスリット部及び衝突板付近を中心に機械的損傷の有無を観察した。
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