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II 研究の内容
1. 研究の進め方
1.1 基本方針
 本調査研究の基本方針は、水生生物の移動防止効果に加え、環境影響がなく、運用性、経済性等においても優れた実用性の高いバラスト水処理技術を開発するとともに、IMO(MEPC)で議論されている国際的な規制内容及び各種論議の参考資料を提供することにある。また、実用化の方向性を明らかにする上で、赤潮対策や各種水質改善への活用も視野に入れ、幅広く実用化に向けて調査研究を進める。
 
1.2 研究の対象範囲
 研究の対象範囲は、バラスト水処理技術の一方法である機械的殺滅法の実船への搭載を想定した各種陸上実験及び検討を行い、実用化に向けての水生生物移動防止効果の確認と課題及びその解決策を明らかにして、実船への搭載を準備するとともに、本処理法の有用性を検討して国内外に周知することにある。
 
1.3 研究方法
 処理能力100トン/時間レベルの小型装置の設計・製作は、平成13年度調査研究事業である「船舶運航に伴うバラスト水による海洋生態系への影響低減に関する調査」の研究成果を用いて行った。小型装置による水生生物処理効果確認等の各種実験は、佐賀県伊万里市の臨海施設で、自然海水中の各種水生生物を用いて行った。
 実船への船上搭載適応条件は、小型装置での実験成果及び搭載候補船舶の要件を基に整理・検討した。船上搭載試作機の設計・製作は、船上搭載適応条件を基に行った。船上搭載試作機による水生生物処理効果確認実験は、小型装置と同様に佐賀県伊万里市の臨海施設で、自然海水中の各種水生生物を用いて行った。
 以上の各種実験及び検討を基に、実船搭載、今後必要な実船実験、国際的承認取得への活動等の課題を整理した。また、周知・情報交換活動用の資料を作成し、国際的容認活動として、マスメディア(NHK)を通じた広報活動、国際シンポジウム(テクノオーシャン2002)でのプレゼンテーションに加え、第48回MEPC及び2回行われた第2回中間期MEPCバラスト水作業部会に参加した。
 なお、学識経験者及び専門技術者の方々より、実験及び調査方法並びに結果の検討に対し検証・評価を頂きながら調査研究を進めた。
 
図II.1.3-1には、本事業の調査研究構成フローを示した。
 
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図II.1.3-1 調査研究構成フロー







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