第2章 調査研究の内容
第1節 IMO委員会
I 第75回海上安全委員会(MSC75)
1 審議概要(全般)
1−1 日程
(1)対処方針会議 5月14日(火)(在連合王国日本国大使館会議室)
(2)MSC75 5月15日(水)0930〜5月24日(金)1730
1−2 開催場所
国際海事機関 本部
1−3 日本側参加者:30名
◎:本委員会所属者の出席者 ○:英国からの出席者
○ |
在連合王国日本国大使館参事官 |
塚家 久靖(運輸担当) |
○ |
在連合王国日本国大使館一等書記官 |
石原 彰(運輸担当) |
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国土交通省港湾局管理課長 |
福本 秀爾 |
◎ |
国土交通省海事局安全基準課長 |
松尾 龍介 |
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国土交通省港湾局建設課国際業務室長 |
藤田 佳久 |
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国土交通省海事局船員部船舶職員課海技資格制度対策室長 |
長濱 克史 |
◎ |
海上保安庁警備救難部救難課専門官 |
下野 浩司 |
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国土交通省港湾局管理課港湾管理高度化指導官 |
中道 正人 |
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国土交通省海事局安全基準課安全評価室補佐官 |
植村 忠之 |
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国土交通省海事局外航課係長 |
木川 嘉将 |
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独立行政法人海上技術安全研究所研究統括副主幹 |
吉田 公一 |
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(財)日本海事協会開発部主管 |
馬飼野 淳 |
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(財)日本海事協会研究センター技術研究所 |
有馬 俊朗 |
○ |
(社)日本船主協会欧州地区事務局長 |
赤塚 宏一 |
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(社)日本船主協会 |
佐藤 秀彦 |
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(社)日本船主協会国際企画室 |
中村 憲吾 |
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電気事業連合会 |
岡村 敏 |
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(財)日本海技協会調査部次長 |
大久保 尚 |
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(社)日本パイロット協会技術委員会委員 |
宮森 勝 |
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名古屋港管理組合港営課長 |
丸井 康夫 |
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(財)国際臨海開発研究センター研究員 |
川嶋 聖一 |
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(社)日本造船工業会 |
仁保 治 |
○ |
(社)日本造船研究協会 |
篠村 義夫 |
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(社)日本造船研究協会 |
高尾 陽介 |
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(社)日本造船研究協会 |
松井 裕 |
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(社)日本造船研究協会 |
板倉 輝幸 |
○ |
ジャパン・シップ・センター次長 |
坂下 広朗 |
○ |
ジャパン・シップ・センター調査員 |
北原 京 |
○ |
(社)日本海難防止協会ロンドン連絡事務所長 |
山地 哲也 |
◎ |
(社)日本海難防止協会企画国際部国際室長 |
若林 邦芳 |
1−4 議題
(1)議題の採択
(2)他のIMO機関の決定
(3)強制要件の改正に係る検討及び採択
(4)巨大旅客船の安全性
(5)ばら積み貨物船の安全性
(6)NAV47からの報告
(7)DSC6からの報告
(8)SLF44からの報告
(9)STW33からの報告
(10)FP46からの報告
(11)COMSAR6からの報告
(12)DE44からの報告およびDE45からの緊急発議
(13)FSI10からの緊急発議
(14)海事安全における技術援助プログラム
(15)人的要因
(16)FSA
(17)海上テロ防止
(18)海賊及び武装強盗
(19)他の機関の決定
(20)条約の解釈と関連事項
(21)委員会のガイドラインの決定
(22)作業計画
(23)その他
(24)第75回委員会報告の検討
1−5 審議内容(海上安全に係る部分のみ)
(1)NAV47からの報告(議題6関連)
(1)第47回NAV小委員会の報告
MSC75/6に基づき標記小委員会の16項目に亘る報告内容について審議が行われ、以下に示す特記事項以外については特段の反対なく承認された。
(2)航路指摘方式及び船舶通報制度に関する総会決議A.858(20)関連
標記小委員会の報告のうち、総会決議A.858(20)に係る通行方式の制定・改正に関連して、仏より、MSC75/6/4に基づき同決議改正案のパラグラフ2(h)を改正する提案がなされ、さらに仏よりMSC75/J/3により議場にて同提案の詳細な情報が提供された。本提案に対し、英及びスウェーデンが支持を表明し、特段の反対がないことから、結果、合意された。
(3)航海データ記録装置(VDR)の所有権と回収のガイドライン
標記小委員会で合意され、FSI10により修正された標記ガイドライン案に対し、サイプラスより、VDRの情報は初期段階においては船主に提供されるべき旨発言があり、FSIにより修正された同案を標記小委員会で合意された案に修正し直す提案があり、これをバハマ及びパナマが支持したため、結果、ガイドライン案が修正されることとなった。
(4)避難港関連
避難港に関する法律委員会(LEG)の審議結果(MSC75/2/1/Add.1参照)に関連して、標記小委員会が承認した今後の検討作業項目(TOR)案は特段の反対なく今次会合で承認され、LEGの審議結果とともにNAV48において詳細に検討するよう要請することとなった。
(5)Integrated Bridge Systems(IBS)関連
デンマーク、独、蘭及びスウェーデンの共同提案であるMSC75/6/2に基づき、IBSの検討を関連する国際機関合同のワーキンググループを設置して進める旨の提案がなされ、また、IHO及びILOより、MSC75/6/5に基づきIBSに関する検討に際しIMOに対して協力の要請がなされた。両提案文書に関し、米、英等より、原則ECDISに関するIMO/IHOワーキンググループ(HGE)においてIBSの運用面及び技術面の課題に対する検討を進めることに支持が表明された。さらに、米国は、IECのワーキンググループにおける当該IBSに関する検討を支持し、これを我が国は支持した。審議の結果、NAV48において、当該両提案文書及びIECにおける検討状況を考慮した上で、IBSの運用面及び技術面の検討課題を明確にすることとなった。
(6)AISバイナリーメッセージの導入
独より、MSC75/6/3に基づきAISバイナリーメッセージの導入及び整備のための手順案の提案がなされ、さらに、同メッセージはテロ等によりハイジャックされた船舶を他船に認知させることにも有効な手段である旨発言がなされた。これに対し、ベルギー、仏、バハマ、サイプラス、スウェーデン、イタリア、シンガポール及びバヌアツが支持を表明し、結果、緊急検討案件としてNAV48において検討し、その結果を次回MSC76に報告するよう要請することとなった。
(7)「船舶の長さ」の定義
ノルウェー及びIACSより、MSC75/6/1に基づきSOLAS第V章にある「航海船橋視界」の要件の見直し及び同章の「船舶の長さ」の定義に関する条約改正の提案がなされ、また、MSC75/22/5に基づき同条約改正の検討議題をNAV小委員会の新規作業項目として含めるよう提案がなされた。これに対し、サイプラス、蘭、シンガポール及びバヌアツが支持を表明し、結果、NAV48において新規議題の下で当該事項を検討し、その結果を次回MSC76に報告するよう要請することとなった。
(8)国際捕鯨委員会(IWC)の決議
スウェーデンより、MSC75/INF.2に基づきIWCが合意した北西大西洋クジラに関するIWC2000−8決議に関する情報提供がなされ、ノートされた。これに対し、サイプラスより、本決議をSTW小委員会に送付することが提案され、結果、合意された。
(9)その他の事項
事務局からの「The Marine Electronic Highway Project」に関するMSC75/INF.4、IALAからのディファレンシャルGPS(GNSS)システムの運用に関するMSC75/INF.7、及び同IALAからのAISの運用に関するMSC75/INF.8については、それぞれノートされた。
(2)COMSAR6からの報告(議題11関連)
(1)COMSAR6の報告
議長からMSC75/11記載事項の説明が行われ、今次会合において各事項について了承された。なお、MSC75/11パラ2.14(COMSAR回章案「誤警報データ収集のための報告様式」)に関連し、我が国から事務局に対し、様式案作成の労に対する謝意を表明した。
MSC75/11パラ2.25(MSC回章案「船舶位置の会社へのデイリーレポートガイダンス」)について、英国は、海難発生時の捜索範囲決定に時間を浪費すべきではなく、COMSAR及び他の関連小委員会においてデイリーレポートの詳細に関し検討すべきことを主張し、豪、仏、独、ニュージーランド等がこれを支持した。また、MSC75/11パラ2.28(MSC/Cir.623/Rev.2「海賊対策」改正案)に関連し、独からMSC75/11/5(インマルサットEシステムへのコードの追加)が紹介された。しかしながら、これらは、今次会合で審議中のテロ対策問題にも関連するものであり、本年12月開催予定のテロ対策関連外交会議の結果を踏まえ、今後、審議されることとされた。
(2)海で救助された人の取り扱いについての安全措置とその手続き
仏国からMSC75/11/1、独からMSC75/11/2、及びノルウェーからMSC75/2/2Add.2が紹介され、本件は法的、政治的、人道的観点等から、複雑な問題を包含するという認識を有しつつ、豪州、米国、英国、マルタ、ギリシャ、スウェーデン、ICFTU、ICS、IFSMA等が基本的に支持を表明した。
今後の審議の進め方について議論が行われ、今次会合においてはCOMSAR7(2003年1月13〜17日)に向けて、以下の付託事項(TOR)を検討し、本年7月にUNHCR本部において開催予定の国際連合関係機関間会議の結果を踏まえ、次回MSC76において、同TORを決定し、引き続きCOMSAR7及び8において検討を行い、委員会に報告を行うこととされた。
イ |
総会決議A.920(22)に基づき、SOLAS条約及びSAR条約の検討を実施する。本件等は重要事項として位置づけ、COMSAR8までに終了すること。委員会への報告はこれら条約の改正も念頭に置くこと。 |
ロ |
船長、RCC、沿岸国及び他の関係機関に対する追加的ガイダンスについて検討すること。 |
ハ |
検討の過程において問題点を整理し、IMOから他の国際機関に転送すべき問題点としてMSC77に報告すること。 |
ニ |
FAL及びSALVAGE条約の改正の必要性について検討すること。なお、本検討はFAL及びLEG各委員会も関係するものとし、SOLAS条約及びSAR条約の検討に対しその優先順位は低いものとする。 |
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(3)RORO旅客船以外の旅客船に対する応急医療キットの搭載ガイドライン
仏、独及びスウェーデンの共同提案(MSC75/11/3)に基づきRORO旅客船以外の旅客船に対する応急医療キットの搭載ガイドラインの作成をCOMSAR小委員会において検討する旨の提案について審議され、シンガポール及びギリシャから支持が表明された以外反対の意見もないことから、COMSAR7においてガイドライン案を検討し、MSC77において当該ガイドライン案を審議することが合意された。
(4)国際移動衛星機関(IMSO)条約の改正
MSC75/11/4に基づきIMSOより情報提供があったGMDSSの移動衛星サービスの新規事業者に対するするIMSO条約改正については、ノートされた。
(3)海上テロ(議題17関連)
(1)AISの早期導入(SOLAS条約改正案・第5章第19規則関連)
イ プレナリーでの審議
提案文書の紹介が行なわれ、2004/7/1における現存の国際航海に従事する旅客船及びタンカー以外の船舶のAISの導入時期について、米国(MSC75/17/28)は2004/7/1を、欧州(MSC75/17/12)は2004/12/31以降の最初の安全設備の検査時期を、ロシア(MSC75/17/3)は2006/7/1を、それぞれ主張した。また、ICS(MSC75/17/4)は、AIS機器の製造体制及び陸上基地局の体制整備に対して疑問を呈した(明確な早期導入時期の意見なし。)。
我が国は、AIS機器の供給、船舶への搭載、検査等を本件実施の際の問題点を指摘し、早期導入時期は検査時期との整合が重要であるとの立場から、欧州提案が最適であることを主張し、サイプラス等がこれに賛同した。
審議の結果、議長より、本件の重要性に鑑み、早期導入時期の最終決定は、本年12月の外交会議において行なうこととが総括され、WGに対し、導入時期のオプションを検討することが指示された。あわせて、本件検討のため、AIS製造機器メーカーに対し、AIS供給の詳細情報の提供が指示され、また、NAVに対し、現在検討中のAIS関連基準(ディスプレイ・ガイドライン等)の作成が付託された。
ロ WGでの審議
プレナリーでの審議結果及び各国提案を踏まえ、次のオプションが用意された。
A 本年2月開催のMSC中間作業部会原案
・300〜50,000トンの以上の船舶は、2004/7/1以降の最初の安全設備の検査時期又は[2004/12/31まで]のいずれか早い時期
B 米国提案
・300〜50,000トンの以上の船舶は、2004/7/1
C 欧州提案
・10,000〜50,000トンの以上の船舶は、2004/7/1以降の最初の安全設備の検査時期であって、2005/7/1以降まで
・300〜10,000トンの以上の船舶は、2004/12/31以降の最初の安全設備の検査時期
D ロシア提案
・300〜50,000トンの以上の船舶は、2004/12/31以降の最初の安全設備の検査時期
ハ プレナリーでの審議(WG審議後)
WGの審議結果が特段の意見なく了承された。
(2)AISのロングレンジ化(船舶のロングレンジ・トラッキング・システム)
イ プレナリーでの審議
提案文書の紹介が行なわれ、ブラジル(MSC75/17/19)が、技術的にはインマルサットCのみで対応可能であり、船舶のロングレンジ・トラッキング・システムについて、ロングレンジAIS又はインマルサットCのいずれとするかを決定すべきことを主張した。
バハマは、用途によりインマルサットC(長距離用)及びAIS(短距離用)を使い分けることを主張し、サイプラスは、インマルサットCはオプション設備(選択設備)であることから、インマルサットC搭載船はインマルサットCの利用を選択できることとし、非搭載船は別途検討すべきことを主張した。一方、ブラジルは、AISのロングレンンジ化は複雑になることから、インマルサットCのみとすべきことを主張した(換言すれば非インマルサットC搭載船はインマルサットを搭載することを暗に主張。)。我が国は、ロングレンジAIS及びインマルサットCのいずれについても、技術的な問題点が存在等することから、今次会合及び適切な小委員会での更なる詳細検討が必要であることを指摘し、また、ロングレンジAIS利用の場合は既存のAISが引き続き使用できるように、インマルサットC利用の場合はAISをロングレンジ化することなく、さらに、非インマルサット搭載船については、本件を非適用とすべきことを主張した。なお、本件関連として、オランダは、インマルサットC利用の場合、既にインマルサットCを搭載する船舶の適用時期は「最初の検査(first survey)」を考慮する必要はないのではないかとの疑問を呈した。
審議の結果、議長より、船舶のロングレンジ・トラッキング・システムについて、ロングレンジAIS又はインマルサットCのいずれかに決定することも含め、本件検討には、性能基準等を踏まえた関係小委員会での詳細検討が必要であることが総括され、WGに対し、船舶のロングレンジ・トラッキング・システムの基本要件の検討が指示された。あわせて、NAV小委員会に対し、WG検討結果を踏まえた本件の詳細検討及びロングレンジAIS又はインマルサットCのいずれが最適であるかを次回MSC76までに検討することが付託された。
ロ WGでの審議
審議冒頭、WG議長より、WGでの本格審議に先立ち、専門家による非公式グループ(IG)での詳細検討が指示された。
A IGでの検討
NAV小委員会への付託事項及び性能基準の骨子案が検討された。
NAV小委員会への付託事項について、インマルサットCには、船舶特定の情報として、インマルサットの電話番号しかないことから、これと船舶の詳細(IMO番号等)を照会するシステム(インマル社及び各サービスプロバイダーの協力)を検討すべきことが確認された。また、インマルサットC利用の場合は、可能な限り現行設備を利用することが重要であることが確認された。
性能基準について、目的、情報の内容、通信頻度等の概要が検討された。情報の内容として、目的地を含めるべきとの意見がなされたが、技術的困難性から見送られた。また、通信範囲/頻度については、陸上から最大500海里以内にある場合に1日に2〜10回の頻度で行なうことが合意された。当該500海里は、船舶が1日に航行する平均距離から、また、2〜10回の頻度は、最低の2回は1日に最低2回の通信は必要との考え方から、最大の10回はインマルサット情報が必要となくなるAIS情報が利用可能となる範囲(約30海里=2時間程度)から、決定された。また、性能基準の作成の参考として、インマルサットC利用の際の通信料コスト及びAISをロングレンジ仕様にした場合のインターフェイスの検討が示された。
B WGでの審議(IG検討後)
通信範囲/頻度について、オーストラリア、フランス、ブラジル、ドイツ及びサイプラスがSAR地域の範囲内であるべきとの意見をなし、英国及びオランダは、運航形態(高速船)及び地域性から範囲の設定に難色を示した。我が国も実施の観点からSAR地域が望ましいとの意見をなした。結果、一律な通信頻度を定めるのは困難であることから、WG議長判断により、性能基準には通信範囲/頻度を規定しないこととなった。
また、通信料コストに対するIGの検討を踏まえ、WG議長より、沿岸当局(coastal authority)からの要請がなければ船舶は情報を送信することもなく、あくまで送信情報は沿岸当局の利益であるため、通信料コストは沿岸当局が負担すべきとの見解が示され、特段の意見もなく了解された。
上記審議の結果、NAV小委員会に付託する船舶のロングレンジ・トラッキング・システム案の骨子(MSC75/WP.18,annex8)が了承された。
なお、AISを用いてテロ警報を発信する場合のVTSの利用をを言及するIALA提案(MSC75/17/7)については、その実現可能性の検討がNAV及びCOMASAR小委員会に対し要請された。
ハ プレナリーでの審議(WG審議後)
WGの審議結果が特段の意見なく了承された。
(3)AIS関連その他
イ 「最初の検査(first survey)」の解釈(MSC75/17/2/Add.2関連)
AISの早期導入時期の関係事項として「最初の検査(first survey)」の解釈についての本年4月開催のFSI10審議結果(MSC75/17/2/Add.2)が報告された。
我が国は、FSI10の審議結果に賛同するものであり、その考え方に基づきAISの早期導入を実施すべきであり、また、規定振りについては、欧州提案(MSC75/17/12)にある表現が適切であることを主張し、サイプラス等がこれに賛同した。
議論の結果、議長より、本件解釈についてのFSI10審議結果が了承され、あわせて、WGに対し、早期導入時期検討の際は、当該結果を考慮することが指示された。
ロ AISの常時作動要件(MSC75/17/12関連)(SOLAS条約改正案・第5章第19規則関連)
国際約束等ある場合を除き船舶はAISを常時作動するとの要件をSOLAS第5章第19規則(AIS関連)に加えるべきとの欧州提案(MSC75/17/12)ついては、特段の異論なく、本年12月採択予定のSOLAS条約改正案に盛り込まれることが合意された。
WGにおいて、我が国は、安全確保のための船長判断によるAISスイッチon/offを規定する総会決議A.917「AIS運用ガイドライン」が、要件中の国際約束等に含まれるか否かの質問をなした。WG議長より、欧州側に対し、質問に対する回答を行なうよう指示がなされ、今次の欧州提案のとりまとめであるスペインより、総会決議A.917は国際約束等に含まれるとの回答がなされた。
(4)IMO船舶識別番号の標示(SOLAS条約改正案・第11−1章第3規則)
FSI小委員会での審議されたIMO船舶識別番号の標示の強制化について、FSI小委員会の審議結果を踏まえたサイプラス及びマルタ提案(MSC75/17/27)のSOLAS条約改正案の紹介がされた。
バハマは、標示の効果に疑問を呈し、ICS、BIMCO等は、提案文書(MSC75/17/37)に記載しているとおり、本件の目的は理解するが、AIS情報により代替確認であることから、強制化には反対した。また、ロシア及びフランスは、強制化を支持したが、AIS情報の代替及び標示の大きさにスクエアブラケットを付すべきとの意見をなした。一方、我が国を含むフランス、デンマーク、ドイツ、スペイン、イタリア、トルコ等の大勢は、サイプラス及びマルタ提案を支持し、結果、同提案が合意された。
(5)船舶の履歴情報(Continuous Synopsis Record)他(SOLAS条約改正案・第11−1章第5・6規則又は第11−2章第10・11規則)
船舶の履歴情報(CSR:Continuous Synopsis Record)の強制化に関するFSI小委員会(FSI10)の審議結果(MSC75/17/2/Add.2)が報告された。当該情報の更新及び確認に対する主管庁の責任が明確化され、特段の反対意見なく、本件を今次のSOLAS条約改正に含めることが合意された。
また、船長が船上にて船舶の責任者等を知り得ることを会社が保証するための要件がSOLAS条約改正に含めることが合意された。
なお、本件は、その内容から、第11−1章(第5・6規則)又は第11−2章(第10・11規則)のいずれの章に規定するかを今後決定することが合意された。
(6)船舶の保安要件(SOLAS条約改正案・第11−2章第3規則・船舶及び港湾施設の保安コード(SPFSコード)関連)
イ |
保安要件の枠組み(条約改正の方法)
冒頭往電にて報告済み。 |
ロ |
適用時期
冒頭往電にて報告済み。 |
ハ |
船舶の保安設備(SPFSコード第A部パラ7関連) |
|
保安設備については、その選択を船主に任せることを前提にした保安コード改正案が、DE小委員会(DE45)で作成・合意されていたが、今次会合では、米国より照明設備、監視装置等の保安設備の設置の義務規定を船舶及び港湾施設の保安コード(SPFSコード)に設けることが提案された。
これについて審議の結果、船舶の種類、大きさ、航行区域等により必要な設備は変わり得るので、画一的に規定することは困難であるとの理由により、我が国を含めた多数の国(バハマ、リベリア、ドイツ、サイプラス、英国、ノルウェー等)がDE案を支持し、米国案はトルコ、ICFTU等少数にしか支持されなかった。しかしながら、議長の判断で、SWG(スプリンターワークンググループ)でさらなる検討を行なうこととなった。
SWGでの議論は、独の議長の下、米、ノルウェイ、日、ICS等で進められ、「締約国(である旗国又は寄港国)により設定される保安レベル毎に船舶の保安要件を機能要件化し、詳細な設備に係る記述については、SPFSコード第B部(非強制の文書)に記述する」との方針の下で作業が進められた結果、保安レベル1のときに船上で実施すべき保安のための活動が以下のように定められた。
・「船舶保安義務の実効性確保、不許可者の立入制限の確保のための制限区域の監視、船舶への立入りの管理、甲板と船舶の周囲の監視、人の搭乗とその影響の管理、貨物及び船用品の荷役の監督、港向け保安通信が迅速に利用可能であることの確保」
ここでいう監視とは、人又は機械による監視を意味し、必ずしも連続的な監視を意味しないとの理解であった。さらに、保安レベルが2、3と上がるにつれて、「船舶の保安計画」に従って追加措置がとれるとの規定が設けられた。
SWGでの検討結果にエディトリアルな修正が加えられた後、合意された。
ニ 船舶の保安評価(SPFSコード第A部パラ8関連)
米国提案(MSC75/17/30)の船舶の保安検査(ship security survey)の導入について、その主旨を強制要件として、船舶と港湾施設の保安コード(SPFSコード)第A部に加えることが同意されるものの、ノルウェー、ドイツ、オランダ、ギリシャ、シンガポール、サイプラス等は、本件は会社の要件であり、その内容はシンプルで柔軟性のあるものにすべきとの意見をなした。また、欧州各国は、複数船舶を所有する会社等における本件実施の困難性への懸念及び将来のISMコード改正(船舶の保安要件のISMコードへの導入)を踏まえ、ISMコードが要求する会社の管理責任者(designated person)が本件実施の会社の保安職員(company security officer)を兼務できるように、本件の内容を見直すことを要求した。
審議の結果、米国提案に必要な修正が加えられ、本件は合意された(名称がship security surveyから、ship security assessmentに変更。)。
ホ 船舶の保安計画(SPFSコード第A部パラ9関連)
米国提案(MSC75/17/30)の船舶の保安計画を変更した場合の主管庁による承認について、ノルウェー、ドイツ、ギリシャ、サイプラス、ICS等より、連絡先、保安職員の氏名等の微細な変更を除外すべきとの意見がなされた。WG議長より、意見のあった事項は変更承認の対象とならないことが確認され、あわせて、変更承認の対象となるSPFSコードの規定(要件)の範囲の明確化を図ることが提案され、今後検討することが合意された。
ICSより、船社が作成する既存の保安計画・手引きが、どのように条約の保安計画として承認されるかとの質問がなされた。これに対し、サイプラスは、保安計画の具体的な内容を決定するのが第一であるが、その解決策の一つとして、SPFSコード・パートB(非強制ガイダンス。未作成。)に保安計画の様式を規定することを提案した。
バハマより、保安計画の記載する保安要件の内容に関し、「equipment」と「measures」が混在しており、設備搭載を前提とした「equipment」はとりやめ、「measures」のみ統一すべきとの意見がなされ、「equipment」はスクエアブラケットを付すことが合意された。また、ギリシャより、同内容中の「weapons」の意味について質問がなされ、ISWG原案の作成者であるサイプラスから、本語句はMSC/Cir.4443のものを引用したとの説明がなされ、あわせて、米国から、公衆に悪影響のあるものがこのコンセプトであるとの見解が示された。
また、DG議長の指摘により、本件のポートステートコントロールに関する規定の追加が合意された。
ヘ 記録簿(SPFSコード第A部パラ10関連)
米国提案(MSC75/17/30)の記録簿(record)の導入について、DG議長より、本件は、MARPOL73/78条約に規定される記録簿と同様の主旨のものであることから、これら記録簿にあるポート・ステート・コントロール(PSC)に関する要件を追加すべきとの指摘がなされ、結果、上記指摘及び必要な修文を加え、本件は合意された。
ト 会社の保安職員及び船舶の保安職員(SPFSコード第A部パラ11・12関連)
ISWGの審議結果(MSC75/17/1)の要件を基本として、米国(MSC75/17/30)及びトルコ(MSC75/17/43)の追加の要件の扱いについて審議がなされた。我が国、サイプラス、リベリア等が強制要件はシンプルであるべきとの意見をなし、また、欧州各国及び船主団体が、同様の観点から、トルコ案を支持する意見をなした。審議の結果、トルコ案をベースに必要な修正を行ない、本件は合意された。
チ 訓練要件(SPFSコード第A部パラ13関連)
船舶及び港湾施設の保安コード(SPFSコード)中の船舶の保安職員、会社の保安職員及び港湾施設の保安職員の訓練要件について、かかるガイダンスを適切な小委員会(STW小委員会)で検討・作成することが合意された。
なお、本件は、上記のとおり、会社の保安職員及び船舶の保安職員の要件がトルコ提案(MSC75/17/43)をベースに検討がなされたところから、これを踏まえ検討することが合意された。このため、操練の間隔については、米国提案(1月毎・全般は1年毎)とすることなく、ISWG原案どおり(定期的(periodic))となった。審議の結果、トルコ案をベースに必要な修正を行ない、本件は合意された。
リ 検査及び証書(SPFSコード第A部パラ19関連)
ISMコードと整合を図り、第11−2章の改正を行なうとのプレナリーでの決定を受け、WGにおいて審議が行なわれた。
WGでは、米国等が作成した他の検査の時期・証書の整合を目的とした検査と証書の調和システム(HSSC)を考慮した、検査及び証書の要件を規定したSPFSコード修正案に対し、ノルウェー、デンマーク、シンガポール、バハマ、船主団体等が、プレナリーでの決定及び将来のISMコード改正を念頭において、ISMコードが中間検査のみを要求していることから、検査は、修正案の年次検査(annual survey:毎年の検査基準日の前後3月以内に実施。原則1年に1回実施。)ではなく、中間検査(intermediate survey:2又は3回目の検査基準日の前後3月以内に実施。原則5年の証書の有効期間内に1回実施。)とすべきことを主張した。
審議の結果、SPFSコードの検査種類については、(a)年次検査及び(b)中間検査がオプションとして用意し、次回会合で決定することとし、その他については、修正案が合意された。
(7)船舶の保安警報(SOLAS条約改正案・第11−2章第5規則関連)
DE小委員会提案(MSC75/17/2/Add.1)及び米国提案(MSC75/17/36)をベースに審議がなされた。また、本件は、冒頭のプレナリーで審議なしに、直接WGで審議されることとなった。
イ WGでの審議
WG審議冒頭、WG議長より、実施時期(DE小委員会の原案は、新造船については2004/7/1まで、現存船については20004/7/1以降の最初の無線設備の検査時期から段階的に実施。)は、最終的に外交会議で決定すべきであるとの意見がなされ、特段の反対意見もなく、了承された。また、議長より、専門家による非公式グループ(IG)での本件の詳細検討が指示された。
英国は、コンテナ保安の検討状況も踏まえ、2004/7/1現存のコンテナ船の適用時期を見直すべきとの意見をなし、また、我が国は、米国提案の2.2項中の規則案中のGMDSSによる警報の通信についてその内容(設備)を明確化すべきとの意見がなし、それぞれ非公式グループで検討されることになった。また、ICS等から、警報を受ける陸上側の体制の検討もすべきとの意見がなされ、これが確認された。
ロ IGでの検討
非公式グループでは、SOLAS条約改正案の作成及びCOMASAR小委員会に詳細検討を付託する性能基準の骨子案が検討された。
条約改正案について、DE小委員会作成のパラ2.2及び2.4項は、米国提案のパラ2.2項にその主旨から集約可能等との所要の修正がなされた。WGでの我が国意見については、保安警報の性能要件に具体的な機器を規定することとし、英国意見については、DE小委員会の審議結果及び今次会合でのコンテナ保安の検討結果を踏まえ、2004/7/1現存のコンテナ船の適用時期はDE小委員会の原案のままとすることとなった。また、保安警報は警報を発しないものとする米国提案2.2.3項について、乗員周知のため、音声による警報を発しない、非音声又は可視警報は否定されないことが確認された。なお、誤警報を考慮し、我が国は、誤警報の場合の報告義務を条約に規定すべきことを意見したが、大勢は条約は設備の基準のみを規定すべきとの判断から見送られた。しかしながら、我が国意見の主旨は理解され、誤警報を検討するIMO/ICAO合同WGで検討することが合意された。
性能基準の骨子案については、目的、送信機器、警報データ等の構成のみが検討された。また、インマルサットC、インマルサットE+、DSAS(MSC75/17/21参照)、保安EPIRB、MF/HFDSC及びVHF DSCを警報の送信機器とすることが合意された。なお、VHF DSCは長距離通信に対応していないから除外すべきとの意見がなされたが、警報送信は必ずしも長距離通信である必要はないとの判断から、VHF DSCを含めることとした。
ハ WGでの審議(IG検討後)
COMSAR小委員会に付託する船舶の保安警報の性能基準の骨子案(MSC75/WP.18,annex6)が了承された。
また、条約上の保安警報の定義作成、上述のIMO/ICAO合同WGへの要請等の本件に係る必要検討事項(MSC75/WP.18,パラ44)が了承された。
ニ プレナリーでの審議(WG審議後)
WGの審議結果が特段の意見なく了承された。
(8)港湾の保安要件(SOLAS条約改正案・第11−2章第6−8規則・船舶及び港湾施設の保安コード(SPFSコード)関連)
イ 港湾施設の保安全般
A プレナリーでの審議
MSC75/WP.8に列記された主要議題を、WGで検討することが決定された。それぞれの主要議題に対し、プレナリーが決定した内容は次のとおりである。
○ SOLAS条約における港湾施設の保安要件
原則として、以下を決定した。
(i) |
港湾施設の保安要件(港湾施設保安評価、港湾施設保安計画、港湾施設保安職員等)は、SOLAS条約第11章(船舶及び港湾施設の保安コード:SPFSコード(強制要件)に含める。 |
(ii) |
これに関連して、「ship/port interface」は、港湾に停泊及び航行中の船舶を含め、互いの直接的な相互作用(interface)、即ち船舶と港湾が直接接触する場において発生する脅威のみを扱うこととする。IMOはILO及び他の関係機関(WCO、IAPA、ICHCA、IHMAなど)と協力してこれに対応する。WGは、更にガイダンスに利用できる他の関連提案を考慮しながら、米国提案(MSC
75/17/29)に示される方針を扱い、SOLAS条約第11−2章(SPFSコード)に適切な要件を取り込むよう指示した。 |
|
B WGでの審議
審議冒頭、2月開催のMSC中間作業部会(ISWG)で作成した案に各国の意見を盛り込んだ資料(MSC75/WP.7:以下「当初案」)が配布され、これに沿って審議が進められた。
本条約の対象となる「港湾施設」の定義について、港湾施設は船舶と港湾間の活動する場所とされ、その範囲(例えば航路、泊地を含むかなど)は各国で各々定義することが強制要件(SOLAS条約第11−2章及びSPFSコードのパートAにおける規定;以下同じ)とされた。なお、「港湾」の定義については、当該条約での定義の必要性も含めペンディングとされた。
本条約を適用する対象港湾施設については、「国際航海に従事する船舶が寄港する港湾施設」として強制要件にされているが、我が国として外航船寄港頻度が多い港湾施設に限るべきとの主張したところ(ノルウェー、デンマークからも同様の発言があり)、低頻度の施設の扱いについては、引き続き9月開催のISWGで審議することになった。
港湾施設の保安措置については、当初案では保安照明の設置やその具体的基準、保安レベルに応じた具体的措置(最危険レベルでの水中検査の実施等)等が強制要件にされていたが、具体的措置は強制要件から削除され、保安レベルに応じた措置をとること、行為(制限区域の設置や港湾施設の監視、港湾施設へのアクセスコントロール等)が規定された。
港湾施設に関するIMOへの報告については、当初案では保安評価及び保安計画の概要についての報告も強制要件であったが、我が国として機密漏洩防止等の観点からIMO提供の必要性はなく、削除するよう主張したところ、強制要件から外され、対象港湾施設の中で保安計画が作成された施設のリストについてのみ、条約締結国は条約発効後1年以内にIMO本部に提供することとなった。
条約に規定される港湾施設保安措置(保安評価、保安計画作成、保安職員指名)の実施時期については、今次会合においては特段の議論はされず。なお、欧州諸国を中心に他国の考え方をヒアリングしたところ、数多くの港湾を抱える国においては2004年7月までに対象港湾施設すべてについて保安計画作成等を行うことは困難が予想されるとの意見を有する国もあったが、当該政府として反対表明をするつもりはないとのことであった。
ロ 港湾施設の保安評価
A プレナリーでの審議
原則として、SOLAS条約第11−2章並びにSPFSコードのパートA及びパートBにPSFAに関する規定を含めること、またWGに対し、SOLAS条約第11−2章及びSPFSコードに盛り込む適切な案文の詳細な検討を委ねることを決定した。
小規模港湾(small port)に対するPFSAの適用に関しては、柔軟に対応することを決定し、WGに対し、保安問題が発生した時には、船舶の保安職員(Ship Security Officer)及び会社の保安職員(Company Security Officer)が諸官庁と連絡できることを目的としたガイダンスを加盟各国向けに作成することを指示した。
B WGでの審議
当初案では評価の目的(保安計画の作成、更新の際に必要)、評価の組織、評価の種類(重要度評価、脅威度評価、脆弱性評価)及び評価の種類毎の具体的事項等が強制要件にされていたが、評価の種類毎の具体的事項はガイドラインに規定されることとなった。
ハ 港湾施設の保安計画
A プレナリーでの審議
保安計画については特に審議されなかった。
B WGでの審議
当初案では保安計画は施設毎に作成、更新すること、保安計画の具体的盛込み事項(兵器等の船舶搬入防止措置、港湾施設関係者の義務等〉が強制要件にされており、我が国から、各国各港の事情が異なるため、当該事項を強制要件から外すよう主張したが、船舶の保安計画の規定との整合性から、また、他国から外すべきとの主張はなく(ドイツが当該事項の一部削除を主張)強制要件となった。
ニ 港湾施設の保安職員
A プレナリーでの審議
港湾施設の保安職員に関する要件を提案された第11−2章及び(あるいは)SPFSコードの関連部分に含める必要性があることに合意した。
(a) |
SPFSコードにおける訓練要件
原則として、訓練要件をSPFSコードに含めること、WGにおいて、この決定に則り、詳細に検討し、SPFSコードに適切な案文を取り込むことをを決定した。 |
(b) |
STW小委員会は、港湾施設の保安職員の訓練に関するガイドラインを作成する
WGにおいて、新しい強制要件が発効するまでに使えるように、STW小委員会が訓練要件全般を草案したコードを補完しながら、モデルコースなどの適切なガイダンスを最優先事項として作成するための必要な指示を用意することを指示した。 |
|
B WGでの審議
当初案では港湾施設の保安職員を施設毎に指名すること、当該職員の義務規定及び訓練項目が強制要件にされていた。義務規定は、我が国として削除するよう主張したが、船舶保安責任者等の義務規定との整合の観点から、また他国の反対もなく強制要件となった。訓練の具体的な項目は強制要件から削除された。
(9)監督(SOLAS条約改正案・第11−2章第9規則)
米国、英国及び独より提案された監督(control)要件の修正案(MSC75/WP.18/Add.1の第11−2章第9規則)について、審議が行なわれた。
サイプラスより、従来の監督要件と異なる新規概念が含まれていることから更なる検討が必要との意見がなされ、ギリシャ、カナダ、インド、ベルギー、シンガポール等の各国も同様の意見をなした。ICS等の船主団体は、船舶運航への影響から、修正提案に対する懸念を表明した。我が国も、修正案は、その内容から実施に際し様々な問題を有することから、各国における慎重な検討及び次回会合での十分な審議を要請した。なお、修正案については、各国からその内容に対して様々な懸念や疑問が提示されたが、提案国である米国等からは十分な説明が得られなかった(コンセプトが先行し、規定振りや問題点の検討が不十分なため)。
上記のような議論を踏まえ、議長総括により、修正案に対する結論を今次会合では出さないこととし、全体にスクエアブラケットを付し、次回会合において更なる検討を行なうこととなった。
(10)保安要件その他(SOLAS条約改正案・第11−2章第1−11規則・船舶及び港湾施設の保安コード(SPFSコード)関連)
イ その他安要件(SOLAS条約改正案・第11−2章第4・7・8規則関連)
ISWGの審議結果(MSC75/17/1)、関係委員会及び小委員会の審議結果(MSC75/17/2,Add.1−3)及び米国提案(MSC75/28−36)について、その主旨を踏まえ、必要な修正を行なった上、本件は合意された。
ロ 保安レベル(SOLAS条約改正案・第11−2章第1規則・SPFSコード第A部パラ1関連)
米国提案(MSC75/17/29)の保安レベルの導入が審議された。導入自体は原則合意されるも、ベルギー等は保安レベルの基準は各保安要件と関連することを意見(米提案の1〜3段階以外に、1A、1Bのような更なる詳細なレベルの設定も言及)し、サイプラス等が次回MSC76での最終決定を要請した。WGにおいて、各保安要件の検討も踏まえ、1〜3段階の保安レベルを設定することが合意された。なお、我が国より、保安レベルの設定主体及び適用が不明確であると指摘したところ、WG議長より、船舶及び港湾施設の保安レベルは、各締約国政府が設定するものであり、船舶、港湾施設等の間にレベルの相違がある場合は、高次のレベルが双方に適用されるとの回答があった(換言すれば、保安レベル1のA国籍船舶が、保安レベル2のB国港湾施設に入港した場合、A国籍船舶には保安レベル2が適用される。)。
ハ 指定当局(Designated Authority)の定義(SOLAS条約改正案・第11−2章第1規則・SPFSコード第A部パラ1関連)
我が国より、第11−2章及び船舶及び港湾施設の保安コード(SPFSコード)は、指定当局(Designated Authority)、締約国政府(Contracting Government)等が混在しており、場所(規定)によっては両者を入れ換えても意味が通じてしまう等の問題があり、実施主体の整理が必要であると指摘したととろ、DG議長及び各国は、規定振りの問題であり、従来のSOLAS条約の実施主体を変更するものではないとの認識であったが、その問題が存在することがノートされた。
ニ 認定保安機関(Recognized security authority)の定義(SOLAS条約改正案・第11−2章第1規則関連)
WGにおいて、ドイツはSOLAS条約他章の認定機関等と一致すべきことを意見し、英国は従来どおりの認定機関が検査を行なうことを意見した。また、ノルウェーは認定保安機関の表記自体が不明確であり、SOLAS条約の従来どおりのものとすべきことを主張し、デンマーク、サイプラス、ドイツ、シンガポール等が賛同した。これら意見等は、上記に係る船舶の保安要件に係る検査及び証書に関する審議同様、将来のISMコード改正を意識して行なわれたものであった。我が国は、米国提案(MSC75/17/29)のRecognized Security Authorityの表記は、特定の専門機関を必要とするようにも読みとれることから、「security」の除外、少なくとも従来の認定団体が含まれる「Recognized security authority」との表記に変更することを意見し、あわせて、本項全体にスクエアブラケットを付すことを提案した。
DG作成のSOLAS条約改正案において、表記は「Recognized security authority」に変更されていたが、スクエアブラケットが付されていなかったため、ノルウェーが意見をなし、我が国もこれに賛同した。結果、本項全体にスクエアブラケットを付すことが合意された。
ホ MODU及びプラットフォームへの適用(SOLAS条約改正案・第11−2章第2規則関連)
今般の保安要件のプラットフォームへの適用について、沿岸国の管轄との関係から、SOLAS条約による保安要件の強制化に各国が反対し、結果、適用されないこととなった。
なお、MODUについては、米国提案(MSC75/17/29)考慮した上、適用されることとなった。
(11)SOLAS条約締約国会議決議案
次のSOLAS条約締約国会議決議案が作成された。
イ |
決議1:SOLAS条約改正の採択(表紙) |
ロ |
決議2:船舶及び港湾施設の保安コード(SPFSコード)の採択(表紙) |
ハ |
決議3:海事保安に関する更なる検討に関する決議(作成中) |
ニ |
決議4:SOLAS条約第11−2章海事保安の改正の検討に関する決議 |
ホ |
決議5:技術協力に関する決議 |
ヘ |
決議6:海事保安の早期実施に関する決議 |
ト |
決議7:SOLAS条約第11−2章非適用船舶、港湾施設等の保安確立を要請する決議(作成中) |
チ |
決議8:ILOとの協力に関する決議 |
リ |
決議9:WCOとの協力に関する決議 |
|
(12)船員の本人確認
ILO(MSC75/17/11。現在検討中と述べる。)、スペイン等(MSC75/17/12。ILOの動きを評価。)、NZ等(MSC75/17/16。パスポートはIDとして重要。)及び米国(MSC75/17/34。バイオメトリックスが内容として必要。)との各国提案文書の照会の後、我が国が、バイオメトリックスの導入には慎重であるとともに、ILOの動きを評価し、ILOの動きが失敗した時の備えとしてのいわゆるプランBについて不要と述べたところ、サイプラス及びパナマはプランBを必要とし、ノルウェー、ILO、バハマ、ICS及びICFTUは不要と述べた。ロシアは、パスポートでもよいが、米国指摘の内容が必要であるとし、ISOは、米国提案文書に沿い、ICAOマスターカード等も入り検討して、スマートカードのようなものがよいと思っていると述べた。議長は、モニターのため、SOLAS条約外交会議決議のドラフトをWGで作成することとして裁定した。
WGにて、SOLAS条約外交会議決議案が提示され、了解が得られた。その内容としては、(1)労働場所文書、識別可能情報文書、免許情報文書を含んだ船員本人確認文書を緊急に作成する作業を続けるようにILOに働きかけること、(2)2003年6月までに遅くとも船員本人確認文書を作り上げるように、ILOに働きかけること等を含んでいる。
(13)コンテナ検査
イ WCOとの協力
ギリシャは、WCOとIMOの担当分野の明確化を指摘した。我が国は、コンテナ検査に係るWCOの活動を原則賛同するものであり、IMOとWCOが協力し、本件作業を行なうことを支持し、各国からも本件を賛同する意見がなされた。
審議の結果、議長より、前回中間会合が要請した本件に係るIMOとWCOの覚書(MOU)の作成及びIMO理事会でのその承認が事務局に対し、指示された。
また、WCOに対し、コンテナ保安の早期検討を要請する、IMO事務局長からのレターの発出が了承された。
ロ コンテナ保安に係るSOLAS条約の改正
A プレナリーでの審議
各国の提案文書の紹介がなされ、米国(MSC75/17/32及び33)は、荷主(shipper)によるコンテナシールの確認義務等に係るSOLAS条約第11章の改正を主張し、また、欧州各国(MSC75/17/12)は提案文書に記載する事項の審議を要請した。
議長より、本件の論点として(a)WCOとの協力、(b)米国が提案するコンテナシール強制化に係るSOLAS条約改正提案及び(c)非シール・コンテナの会社の保安職員による拒否(SOLAS条約第11章改正/保安コード関係)が確認された。
サイプラス、ギリシャ、ロシア等が、本件に係るSOLAS条約改正に理解を示すも、他機関での検討も含めた全体的な検討が必要であることを主張した。バハマ、パナマ等は、米国が提案するコンテナシールの強制化、会社の保安職員による確認・非シール・コンテナの拒否等の米国提案の実施困難性を意見した。我が国は、コンテナシールの強制化を原則賛同するものの、本件はコンテナの安全・保安全体の議論の中で検討されるべきであり、特にコンテナの内容物とシール情報の同一性確認は重要であることから、主管庁によるサンプルチェック等の適切な措置を検討すべきことを主張した。ISOより、電子シールの規格化は改正条約採択の期限までに準備可能であることが報告され、米国が電子シールの規格化が困難な場合のオプションとして提案した機械シールよりも電子シールによるコンテナシールを検討すべきことを主張した。本件に関し、米国より、コンテナシールの強制化がコンテナ保安のすべてではないこと及び非シール・コンテナの拒否は一つのコンセプトであることが説明され、最も重要なことはIMO及び他機関においてコンテナの保安が確立されることであるとの意見がなされた。欧州等の各国も、SOLAS条約において何らかのコンテナの保安措置を扱うことに賛同する意見をなしたが、ICS及びギリシャは、現時点では他機関の動向を見極めてから、SOLAS条約を改正すべきとの意見をなした。
議論の結果、議長より、WGに対し、米国が提案するコンテナシールの強制化等のコンテナ保安に係るSOLAS条約改正の詳細検討が指示された。
B WGでの審議
審議冒頭、WG議長より、コンテナ保安全般について、今何をすべきか、IMOが何をできるのか(特にSOLAS条約において)を検討すべきことが確認され、IMO及びWCOの間で議論すぺきであるとの見解が示された。
ICSが、従前から実施する会社によるコンテナ検査体制及び関税機関の存在から、SOLAS条約改正し、コンテナ保安要件の強制化に反対した。米国は、今次提案のSOLAS条約改正提案は、スクエアブラケットを付し、外交会議で結論を得るべきと主張した。一方、英国等の欧州各国及びサイプラスは、WCOでの議論を待つこととし、SOLAS条約の改正提案は当面見送るべきとの意見であった。
WG議長より、今次のSOLAS条約改正ではコンテナ保安を見送ることとし、WCOと協力のもと、コンテナ保安に係るIMO関連分野の条約の改正を要請する外交会議決議を発出することが提示され、これが了承された。
C プレナリーでの審議(WG審議後)
WGの審議結果が特段の意見なく了承された。
(14)その他
イ 船舶所有者及び船舶の管理(MSC75/17/2/Add.3関連)
プレナリーにおいて事務局が法律委員会(LEG84)の審議結果である[最も根本的な問題は、誰が実質的なオペレーションを行っているかであり、ISMコードにおいて求める情報が、オペレーションに責任を有する者に関する情報を含んでおり、適切である。」とする報告を紹介したところ、伊、ICS等がLEGの検討に対する謝意と当該報告を支持する旨表明した。一方、米、サイプラス、ICFTU等は、テロ資金の根絶のため、更なる検討を加えるべきことを主張した。
本件は、WGで検討されることとなったが、WGでは時間の関係上、実質的審議が行われなかった。
ロ デモ対策(MSC75/17/45関連)
サイプラス及びマルタ提案(MSC75/17/45)の船舶、港湾施設等に脅威を与えるデモ行動への対応措置について、我が国、フィリピン、マーシャル諸島、パナマ、バハマ、バングラディッシュ、ブラジル、ICS、ICFTU等が賛成の意見をなした。結果、本件に係るSOLAS条約締約国会議決議の作成がWGに指示されたが、WGで、は時間の関係上、実質的審議が行われなわれず、次回会合にて検討することとなった。
(15)長期目標
2月開催のISWGで米国が言及した海事保安事項を審議するための専門の組織(委員会・小委員会)の設立に関し、プレナリーにおいてシンガポールから、「現在進行中の小委員会の再構築の動きを踏まえ、今後、海事保安案件専門の小委員会を設立するのではなく、MSCが直接扱い続けることが妥当」との提案(MSC75/17/18)がなされ、バハマ、ウルグアイ、ギリシャ、スロベニア、フィリピン、イタリア等が同提案を支持しノートされた。
(4)海賊及び武装強盗(議題18関連)
(1)海賊及び船舶に対する武装強盗事案に関する報告
事務局からMSC75/18及びMSC75/18/Add.1に基づき、海賊及び船舶に対する武装強盗事案に関する報告が行われた。また、MSC75/18のパラ7について、1984年から2002年4月末現在の被害件数は2650件となっている旨追加情報が提供された。
(2)我が国及びインドネシアによる海賊対策の取り組み
事務局海上安全部長から2000年4月に開催された東京会議、本年3月ジャカルタにおいて開催された専門家会合の概要が説明され、我が国及びインドネシアの海賊対策に対する取り組みが紹介された。
なお、本委員会の全体報告において、我が国の海賊の根絶に向けての継続的な取り組みの決意を表明した。
(3)総会決議A.922(22)「海賊及び武装強盗捜査コード」の改正提案
ブラジルからMSC75/18/4に基づき、船舶に対する海賊及び武装強盗犯罪調査ための実施コードである総会決議A.922(22)の改正提案が行われた。同文書中パラ4a)「海上及び港湾における海賊、武装強盗の区分」に関しては各国から支持を得たものの、パラ4b)「旗国の報告のみにより被害をとらえること」及びパラ4c)「地域の当局に連絡された、港湾における船舶に対する船舶に対する武装強盗だけで被害をとらえること」に関しては支持を得るに至らなかった。議長は、時間的制約も考慮し、本件はMSC77において再度検討する旨総括した。
(5)作業計画(議題22関連)
(1)MSC76及びMSC77の議題
MSC委員会の次回会合(MSC76)及び次々回会合(MSC77)の議題につき、MSC75/WP.5に基づき審議され、原則合意された。
なお、次回会合に設置するWGは以下のとおり。
次回会合は、本年12月2日から13日の10日間に延長して開催する旨議長より提案がなされ、また、SOLAS条約締約政府会議は2週目の12月9日より開催することが提案され、合意された。
また、暫定ではあるが、次々回会合は、2003年5月28日から6月6日まで開催する予定である旨情報提供された。
(2)複数の小委員会の作業計画に関連した事項
イ 海上保安の強化手段
議題17の審議結果に基づき、NAV、COMSAR、STW小委員会に新たに「海上保安の強化手段」が2004年を目標に高優先事項として追加されることとなり、各小委員会ともに次回会合より審議されることとなった。
ロ 洋上供給船の設計及び構造のガイドライン(A.469(XII))を見直し(MSC75/22/2)
豪より、MSC75/22/2に基づき標記ガイドラインを見直した上で、SOLAS条約上強制化する旨の提案がなされた。本提案に対し、サイプラスは標記ガイドラインを見直すことに対しては支持したものの、SOLAS条約上強制化することに対しては時期尚早であるとして反対を表明し、これを米、バヌアツ、ギリシャが支持した。その他特に意見がないことから、結果、非強制のガイドラインのまま見直すことが合意され、DE小委員会をコーディネーターとして関係するFP、COMSAR、NAV、SLFの作業計画に高優先事項で3会合を目標に追加されることが決定した。また、英国は、標記ガイドラインは海洋環境保護にも関連する事項であることから、MEPCに当該決定事項を通知するよう要請があり、合意された。
ハ SOLAS条約の原子力船安全証書の見直し(MSC75/22/7)
露より、MSC75/22/7に基づきSOLAS条約の原子力船安全証書の問題点(条約要件と証書様式の齟齬)が指摘され、様式を見直す旨の提案がなされた。本提案に対し、スペイン、バヌアツより支持が表明された以外特段の反対がないことから、結果、DE小委員会をコーディネーターとして関係するCOMSAR、NAVの作業計画に低優先事項で2会合を目標に追加されることが決定した。
上記露提案に関連して、我が国より、一般旅客船及び貨物船の証書の設備の記録の様式中においても1998年発効の改正SOLAS条約第III章の規則番号とそれ以前の規則番号の間に問題が生じている旨指摘し、事務局に対して早急に問題を解消するよう強く要請した。さらに、次回MSC76に当該問題を解消するためのMSCサーキュラー案を提出する旨発言し、結果、我が国の指摘事項はノートされ、最終レポートに記載されることとなった。
ニ 1994HSCコード及びDSCコードの見直し(MSC75/12/2)
豪より、MSC75/12/2に基づき1994HSCコード及びDSCコードを現SOLAS条約及び2000HSCコードに整合化させる旨の提案がなされた。本提案に対し、スペイン、バヌアツより支持が表明された以外特段の反対がないことから、結果、DE小委員会をコーディネーターとして関係するCOMSAR、NAVの作業計画に低優先事項で2会合を目標に追加されることが決定した。
(3)COMSAR小委員会
MSC75/22/Add.1よりCOMSAR小委員会の作業計画及び次回会合の議題案が審議され、特段の議論なく承認された。
イ 海で救助された人の取り扱いについての安全措置とその手続き
海で救助される人の取り扱いについての安全措置とその手続きに関する関係条約と関連文書の見直しについては、議題2及び11における審議結果に基づき、COMSAR小委員会の作業計画に含めることが合意され、高優先事項で2004年を目標にCOMSAR7より審議することが合意された。
ロ 持ち運び式双方向無線電話装置の性能基準A.809(19)の改正(MSC75/22/6)
MSC75/22/6によりノルウェーから提案のあった持ち運び式双方向無線電話装置(生存艇搭載用)の性能基準A.809(19)の改正を作業計画に含める旨の提案については、スウェーデン、我が国より支持が表明され、その他に反対の意見もないことから、高優先事項で次回COMSAR7での終了を目標に審議することが合意された。
(4)NAV小委員会
MSC75/22よりNAV小委員会の作業計画及び次回会合の議題案が審議され、独より、削除されることとなっていた全世界的無線通信システムに関連した2議題に関して、EUで推進しているガリレオ計画に関連してIMOにおいて今後検討することが予想されることから、議題を残すよう要請があった。これに対し、EC、スウェーデンが支持し、一方、バハマは2議題をそのまま残すことに反対し、議題名を変更して1議題のみ残すことを提案したことから、結果これが合意された。その他の事項については、特段の議論なく承認された。
イ 「航海船橋視界」の要件及び「船舶の長さ」の定義の見直し(MSC75/22/5)
議題6の審議結果に基づき、MSC75/22/5によりノルウェーから提案のあったSOLAS第V章にある「航海船橋視界」の要件の見直し及び同章の「船舶の長さ」の定義に関する条約改正の提案については、NAV48のその他の議題の下審議し、その結果を次回MSC76に報告することが合意された。
ロ 航海ディスプレイ上でのAIS情報の表示及び使用のための要件の作成(MSC75/22/4)
MSC75/22/4により英から提案のあった航海ディスプレイ上でのAIS情報の表示及び使用のための要件作成の提案については、独、仏、バハマ、ギリシャ、トルコ、シンガポール、スペイン、我が国より支持が表明され、その他に反対の意見もないことから、高優先事項で2004年を目標にNAV48より審議することが合意された。
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