講義 「子どもの遊びと発達」
鹿児島大学 教育学部 教授 山本 清洋 先生
略歴のご紹介
(フリガナ)
お名前 |
やまもと きよひろ |
山本 清洋 |
ご出身地 |
熊本県 |
お生れの年 |
1942年 |
最終学校と年次 |
昭和40年 熊本大学教育学部卒業(保健体育専攻) |
昭和48年 東京教育大学大学院修士課程修了(体育学専攻体育社会学専修) |
昭和52年 ウォータール大学レジャー学部博士課程外地留学(カナダ) |
主なる職歴 |
昭和40年〜45年 熊本YMCA青少年教育主事 |
昭和48年〜59年 岡山県立大学助教授 |
昭和60年〜平成4年 東京都立大学助教授 |
現職名 |
平成4年〜現在 |
鹿児島大学教育学部教授 生涯教育総合課程(余暇文化論、子ども社会学) |
主なる著書 |
主な子ども関連の最近の著書 |
子どもとスポーツ 三考堂 1988 |
大都市と子どもたち 日本評論社 1990 |
今、子ども社会に何がおこっている 北大路書房 1999 |
子どもの成長と環境 昭和堂 2000 |
学校週5日制が生みだす余暇空間に関する子どもと大人の意味づけに関する比較調査
文部科学省科学研究報告書 鹿児島大学 1999 |
現住所
お電話 |
〒890−0065
鹿児島市郡元1丁目20−6 鹿児島大学教育学部 |
099−285−7751 |
20011030(TUE)
子どもの感性を育てる表現研修会 資料 於龍郷町
子どもの遊びと発達:なにをどうするのか
鹿児島大学教育学部
山本 清洋
はじめに
教科書にある原理原則はすでに承知のことであると思いますので、本日は遊びは文化であること、遊びとはどういうことか、子どもの遊びの現状はどうなっているのかということを把握し、今後われわれ大人が子どもに保証することは何かについて考えてみたいとおもいます。
2 遊びが文化であるということはどういうことを意味するのか?
1 人間は遊ぶ能力は本能レベルではもっていない。
2 遊ぶ能力は、人間の身体、精神、心を形成する資質と環境によって形成される。
3 豊かな遊びは子どもの世界観と近い特性をもつ。
4 遊びの豊かさを作り出す環境を大人が保証するべきである。
3 遊びとは?
1 人間の探索衝動を源泉とした自発的、内発的な自由な行動をいう。
1)探索衝動は何かを探し出そうとする基礎的欲求のことで、特に哺乳動物に多くあり、その後の創造的な文化や文明を作り出すことの源となる。
2)遊びの構造は混沌のなかに合理性や秩序を内包するという特性をもつ。
(自由な行動ではあるが自由を維持するには規則が必要となる。しかし、その規則は喜びを求めて柔軟に変更することが出来る)。
3)日本には豊かな遊び文化や文明が不足している。その原因は遊びを正当に評価し伝承する社会的・教育的仕組を捨てたことにある。
4 豊かな遊び文化を育てるにはそれに見合う環境が必要となる。
1)<人>という環境:
2)<自然>という環境:
3)<こと>という環境:
5 遊びと創造性、身体、社会性そして情動性
1)身体を動かす遊びから「快適さ」を感じるシナプスが形成される。
2)ファジーな遊びには子どもの創造性を生みだす機会が多く含まれ、異なる価値観と遭遇する機会も多く含まれる。
3)想像は創造の源泉であり、それらの多くは遊びのなかで形成される。
4)身体の発育発達には一定の原則があり、それを逃すとその後の豊かな発達が損なわれる。
6 良き発達にはバランスのとれた生活が必要である。
1)活動は昼、睡眠は夜の習慣を完成させる。
2)特に乳児期には正確な歩きが出来る。
3)他の人と接触する機会を遊びの世界でつくる。
4)バランスのとれた食生活の保証。
5)見立てを多く含んだ遊びの保証。
6)良き環境としての家族の存在。
図7−4<子ども−大人>関係から見た社会の文化
図1 子どもスポーツのコスモロジー
図2−2 規定要因の全体像
表2−5 発達と社会性(2)
(%)
発達群/
構成要素 |
(1)一人で遊ぶか母といっしょ |
(2)仲間と話をしないで遊ぶ |
(3)二、三人で時々話をして遊ぶ |
(4)三人以上での約束のある遊び |
D・K
|
低発達 |
49.5 |
35.8 |
24.3 |
7.7 |
30.4 |
中発達 |
37.1 |
45.3 |
46 |
46.7 |
40.6 |
高発達 |
8.1 |
13.2 |
27.9 |
42.3 |
25.4 |
D・K |
5.7 |
5.7 |
1.8 |
3.3 |
3.6 |
N=807 SIG・0.000
表2−6発達と自己表出性(1)
(%)
発達群/構成要素 |
(1)全く特定の子が中心 |
(2)特定の子はいるが、時々話し合う |
(3)大体、話し合いの雰囲気がある |
(4)みんなが話して活気にみちている |
D・K
|
低発達 |
62.4 |
24.5 |
23.5 |
15.9 |
33.8 |
中発達 |
25 |
50 |
43 |
46.8 |
40.9 |
高発達 |
6.3 |
20.9 |
30.9 |
34.9 |
20.8 |
D・K |
6.3 |
4.6 |
2.6 |
2.4 |
4.5 |
N=807 SIG・0.007