前会長河合多三先生の後継者として選任されましたる寺田でございます。何分にも浅学菲才の身でございますが、よろしく御支援賜りたく御願い申し上げます。

　本日は全日本剣道道場連盟主催に依る静岡県少年剣道錬成大会が、静岡市立北部体育館に於いて、静岡県剣道道場連盟が主管となり、静岡県剣道連盟を始めとし道場連盟後援会など夫々関係の皆様方の御支援、御協力に依り盛会に開催できましたことは真に喜びにたえません。

　また、実行委員の皆様や中部地区の道場主の皆様に大変御世話になりまして厚く御礼申し上げます。

　我々道場連盟の道場主は剣道こそ小　中学生の心身を鍛練して、どの様な人間に成長するであろうかと、不安を抱かれている父兄に代わり安心と期待を持たせるものであると確信して居ります。でもそれには剣の道一つである己れを無にせねばなりません。無こそ小　中学生の信頼を得るものと存じます。

　我々はとかく衰退気味の剣道を半世紀以上前の如く隆盛に導きたく夢見て居ります。私は何分にも高齢でありますが、余命は天が与えしもので天より使命されたものと考え、徒らに刻を過ごすことなく、剣道界の長短を改めて探求し老若の意見をよく聴取し、各道場主の期待とそこに学ぶ小　中学生に真の愛を注ぐべく諸施策を実行する覚悟であります。本大会は東中西三地区の会場にて開催致して居りますが、今後一層少年剣道の充実を図る為、でき得れば年二回以上開催して人を知り己れを知る言葉の如く、お互いに切磋琢磨することが必要です。

　また、「棋驥(キキ)も一躍に十歩すること能(アタ)わず」のことわざも有ります。一日に千里を走るといわれる名馬でもひとっとびに十歩も行けるものでもない。一歩一歩確実にしてはじめて一日千里といわれるすぐれた馬になるのだとの意味でありますが、学問も剣道も段階　順序を一歩一歩を確実に修業してこそ、はじめて賢人名人といわれる境地に達するのだと思います。本大会もその一つの段階であり、とかく少年の頃は心が、構えが、基本の切り返しなどが崩れがちであり、本日の基本錬成こそ己れを知る良き機会であり小　中学生にとって欠くことのできない大会であるのです。本日県下各道場より選抜されて参加し優秀なる成績を挙げた少年剣士は全国大会に出場することになりますので逞しい心と技で堂々と闘って下さい。

　終わりに臨み本大会に御支援下された皆様方に重ねて御礼申し上げ御挨拶と致します。