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「歴史の英知」
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岐阜県剣道道場連盟
会 長  平 野 恭 弘
 
 風薫る今日の良き日に、暖かい多くの親御さんの眼差しと、ここまで手ほどき鍛えられた先生方の優しい微笑みに包まれた500有余名の少年 少女剣士が県下より相集いての、この光景は、誠に尊く、逞しく、美しく、日本の明日に、あかるい光りを強く感じる次第であります。
 これも日頃各家庭での親御さんの薫りと先生方の薫りの結晶であります。御存じのように、剣道の精神的な源は武士道です。その中には日本文化の基本である「神道 仏教 儒教」が多く影響しており、歴史的な心の遺産といっても過言ではないと思います。
 そして、剣道の上達に欠かせない大きな要素の一つに「間合」(対戦者と自分との距離)のとりかたがあり、これはそもそも日本人が「思いやり」や「察する」ことによって人間関係を形作ってきたことに合い通じます。
 お互いの自由や権利を仰制し、調整する技術は各御家庭でもともと持っていたはずですが現時代では「謙譲」と「美徳」を思ふ先に、権利と権利が衝突する社会に、我が国をしてはならないと警鐘します。
また、知育は気力さえあれば独りでもできますが、体育、徳育は多くの友達、先輩、後輩、等の様々な人間関係からしか得られないものです。
そこには、人と人との不思議な「出会い」があり、それをもって思わず見えないものに対して感謝の念が生じるのです。
 このように剣道の中には子供達に、伝え、つなげていかなくてはならない「歴史の英知」がたくさん埋まっております。
 更に、個人と家族、地域社会、国家とのつながりを意識させる教育の再興が、21世紀の国づくりの基礎となるはずと確認します。
 どうか御父兄の皆さん、この先人の汗と涙で築いた、「美しい日本」を安心して託せるお子さんたちに熱きエールを御願い致すと同時に、この輪を広げて、努力と考える明日の世界に育つよう御協力下さいますよう御願い申し上げます。








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