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中学生個人戦
 大亀(愛媛成武館)、小学生に続き二冠に輝く
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決勝 大亀健太(愛媛成武館)メメ−[コ] 前川矩英(愛野少年剣道部)
先手を取ったのは前川選手。攻め合いから機を見てスッと間合を詰め、大亀選手の手元が上がるところにコテを決めた。二本目に入り、前川選手はなおも果敢に攻め続けるが、引きドウを打って居着いたところ、ためらわず大亀選手が飛び込むと、これが起死回生の一本となった(写真)。延長となり、またも前川選手が引きドウを打って退いたところへ、大亀選手がメンに跳び込む。対する前川選手も同時に上から乗るようにしてメンを放った。微妙な判定だったが、勢いのあった大亀選手に旗は上がった。大亀選手は、史上2人目の小学生、中学生の二冠を達成した。
 
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優勝・大亀健太(愛媛・愛媛成武館)
 
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2位・前川矩英(長崎・愛野少年剣道部)
 
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3位・多和田雄介(岐阜・志道館学園)
 
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3位・安藤 俊(北海道・砂川錬心館)
 
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取材雑感
 
来たときよりも美しく
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 大会終了後、開会式の賑やかさが嘘のように閑散とした観客席の間を、高校生の係員10数名が動き回っている。手にはゴミ袋を持ち、観客席に放置されたままの空き缶、弁当箱などのゴミを拾い集めていた。やがて、ゴミ袋いっぱいになったものが集められて、分類される。目にしただけでも5つはあった。
 10数年前、記者は兵庫県上郡町で毎年末に開かれている若鷲旗争奪中学校剣道大会を取材した折、「来たときよりも美しく」という標語が掲げられているのを見て、“残心”を表した良い言葉だと思った。
 残心の大切さを稽古中だけでなく、社会生活の場において実践させることが人づくりにとって欠かせないもの。ゴミをきちんと片付けることもその一つである。そうした範を示すのが指導者や父母であり、少年たちと共に行なうことで意義が出てくる。
 剣道大会使用後の会場が、ゴミ一つなく掃除しなくてもいいほどきれいになったら、剣道の素晴らしさが社会に再認識されていくだろうし、ひいては試合内容も良くなっていくと思う。当たり前のことを当たり前にやれるようになれば、将来必ず社会生活に生きてくる。その可能性を剣道は秘めているのである。
 来年はゴミ袋の数が減り、いずれはそういう光景が見られなくなる日を願わずにはいられない。








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