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道連便り 第40回全国選抜少年剣道合宿錬成会
全国各地区錬成大会の記録
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第40回全国選抜少年剣道合宿錬成会
平成13年4月1日(日)〜4日(水)
全日本少年剣道錬成会館
参加人数 43名
講師 亀井一雄範士八段
川口正人教士八段
千葉 仁教士八段
 
 平成13年度事業がスタートしたこの日、第40回全国選抜少年剣道合宿錬成会を、本部道場である全日本少年剣道錬成会館で開催した。
 全国から選ばれた43名の少年剣士が一堂に参集し、予定通り14時30分開講式を行なった。まず、宮澤美一事務局長が、今回の合宿では基本の大切さを知り、しっかり勉強してもらいたいことと、教わったことは必ずメモを取るようにと話した。続いて、講師の先生方を紹介。講師を代表して、亀井一雄講師が挨拶で正しい剣道を身に付けてもらうと共に、全国から来た友達の良いところを学ぶようにと述べた。休憩後、千葉仁講師が総合稽古を担当。まずはじめに稽古の心構え、注意点を述べ、礼法、着装、構えから、足捌き、空間打突、切り返し、基本打突を充分に指導。各講師は、各少年剣士の技倆を点検し、今後の指導方針を確認し、最後は講師の元立ちで指導稽古を行ない、初日の稽古を終了した。
 開講式前までは、緊張気味であった少年剣士たちも竹刀を交え稽古で汗を流した後は、お互い打ちとけて和気藹々の雰囲気となった。
 入浴、夕食の配膳かたづけなどは当番制で行ない、食事後は各自日記を付けたりして自由時間を過ごし、20時30分より合宿生全員で会館内を清掃。普段はあまり縁のない便所掃除には、少年たちも戸惑いを感じていたが、よい体験であると思う。21時、道場に全員集合し、点呼を取り、諸注意を行ない就寝。今回の合宿では「履き物を揃える」ことが指導方針の一つとなっているが、各部屋はスリッパもきれいに整頓してあった。
 第2日目、6時30分点呼。道場で軽く体操をし、朝食を摂つた。
 午前の錬成は、9時より亀井講師担当で講話が行なわれた。内容は感謝報恩、仁義礼智信などについて、少年剣士にわかり易くかみ砕いて話された。引き続き川口正人講師が担当で、仕掛け技を中心に指導、詳細な説明と模範を示しながらの指導で充分な成果を上げた。午後の部も川口講師が担当。午後の部は応じ技を中心に指導。午前の部同様、手とり足とりの熱心な指導で上達も顕著に現われた。
 第3日目。点呼、体操、朝食と日程は進み、9時より午前の部を千葉講師が指導、これまでの総復習として、基本打突から各種の仕掛け技、応じ技を入念に反復練習し、概ね体得させた。最後にグループ別で試合練習を行なって終了した。
 午後の部は、紅白に分かれて試合を行なったが、さすがに全国より選抜されただけに気力、技、スピードに優れた少年剣士が多く、見応えのある試合が随所に見られた。最後は素振り430本、跳躍素振り200本を敢行。手に大きなマメを作りながらも全員最後までやり抜き、合宿のよき思い出となったであろう。
 最終日は早朝稽古を行なった。全員最後の稽古とあって、力を振りしぼり激しい稽古で汗を流した。稽古後、早速修了式に移り、全員に修了書を授与。最後に亀井講師が4日間の講評を述べて、すべてを終了した。
 今回の合宿で少年剣士たちは、3泊4日と短い日程ながら優秀な講師と寝食を共にして正しい剣道を学び、また遠く離れた各地の剣士たちと団体生活を体験し、友情も深めた。このことは少年たちにとって貴重な経験であり、今後の剣道と人生に有意義な影響を与えたものと思える。
 
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亀井一雄講師の講話は子供たちの心に深く残ったであろう
 
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川口正人講師は模範を示しながら進めた
 
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千葉仁講師は総合稽古を担当。基本を徹底指導された
 
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新たな交流がいくつも生まれた
 
全国選抜合宿に参加して
 新潟県上林館 加藤真琴
 
 私は初めて全国の合宿に参加しました。合宿に行く前、
 「全国の人が選ばれて来ている合宿なんだから私よりもっと強い人が来てるのだろうな。全く見ず知らずの人たちと四日間過ごして友達できるのかなぁ」と、私の思いは深くなるばかりでした。しかし、合宿は私の思いとは違っていました。北は北海道、南は沖縄から全国の強豪が集まっていましたけど、四日間が短く感じられるほど楽しかったです。
 練習は主に基本練習でしたが、礼法、着装から応じ技まで先生たちは細かく、わかりやすく教えて下さいました。特に素振りの時、千葉先生が、
 「初めの一本目と最後の一本は同じようにしなくては手の内はおぼえられない」と、ご自分の経験と一緒に私たちに教えて下さいました。やはり、初めの一本目と最後の一本を同じようにするためには、どんなに本数が多くても一本一本、心を入れてやらなくてはならないと思います。この基本練習で前まで持っていなかった練習の意味を知らされました。
 稽古の他に、練習試合をやりました。男子の試合は、打突やスピードがあり、この合宿のレベルが高いことを思いました。女子の人たちも打突がしっかりしていて、
 「全国にはこんなに強い人がいるんだ」と、剣道に対する視野が広がりました。
 亀井先生の講話も心に残ります。亀井先生は私たちに「感謝報恩」と「仁・義・礼・智・信」という言葉を教えて下さいました。感謝報恩というのは、今、自分がここにいるのは両親のおかげであるので、その両親に恩返しをしなくてはならないという意味です。
 私はこのことを聞いて、
「この合宿に参加できたのも、剣道ができるのも両親のおかげなのだから、私は頑張らなければならない。何かの形で恩返しをしなくては」と、思いました。仁義礼智信は剣道をする上での心構えで、いろいろな心があります。この言葉は剣道だけではなく、人間としての心構えでもあると思います。私はこの二つの言葉を忘れずに、剣の道を歩んでゆこうと思いました。
 私はもう、こんな素晴らしい体験はできないと思います。四日間の団体生活の中で友達との出会い、剣道での学び、これから生きていく上で大切なこと、本当にたくさんのことを知ることができ、先生方には感謝しております。
 私はこのことを心の中に掲げて、これからの練習で思い出しながらやりたいと思っています。








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