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提言4 水産資源の合理的な管理、漁業と他の海洋利用との調整
 海洋資源の合理的かつ持続可能な開発の枠組みの中で、わが国周辺海域における水産資源の保存と管理、漁業の振興を一層図る必要がある。そのためには、漁業制度の近代化・合理化のための漁業協同組合や漁業権制度の見直しを含めた抜本的制度改革を今後とも継続的に進めるべきである。
 また、漁業と他の海洋利用との競合問題の調整や共存のための合理的な法制度の確立を図るとともに、漁業補償について、国民全般の支持を得ることのできる透明性と公正性を確保するための手続、手法の見直しを実施すべきである。
4-1. 水産資源の合理的な利用のため、一層の資源管理および資源回復・培養に努めるべきである。
 国連海洋法条約の批准と排他的経済水域(EEZ)の設定に伴い、合理的な資源管理のためにわが国においてもTAC(Total Allowable Catch)制度が導入されたが、その対象魚種を漸次増やして一層の資源管理の推進を図るとともに、最近制定した「水産基本法」にもとづき、漁業の振興、水産資源の回復・培養、作り育てる漁業の振興などに一層努めるべきである。
4-2. 漁業の産業的発展のために、漁業関係法制の改革に取り組むべきである。
 わが国の漁業は遠洋漁業の縮小に伴い、200海里EEZを中心とした周辺海域における沖合漁業ならびに沿岸漁業に重点が移行してきているが、上記の資源管理、資源培養のための施策と並行して、これら漁業の国際競争力のある産業としての振興、発展のために必要な法制整備を行うべきである。
 戦後民主化の強い要請の中で確立した漁業協同組合制度や漁業権制度は、その後50年を経た今日のわが国の経済状況の下では、逆に産業としての漁業の合理化、競争力の強化を妨げている面もあり、漁業への参入の容易化を含む関係法制の継続的な見直しをすべきである。
4-3. 漁業補償に第三者機関による裁定方式の導入を検討すべきである。
 漁業補償に関しては、補償基準と実態の乖離、消滅した漁業権の復活に伴う重複的な漁業補償等、その不透明性、公正性の欠如に対する非漁業者からの批判も強い。海の管理者として機能してきた漁業者の権利および漁業の振興という社会的価値と、国民共通の資源である海の合理的で持続的な利用の一層の促進という社会的価値を両立させ得るような、合理的で透明性の高い補償方式を導入すべきである。
 その場合、補償基準と補償実態の著しい乖離を無くするような合理的な補償が可能になり、補償によって漁業の振興、水産資源の回復・培養、資源管理が一層充実するような新たな制度を構築すべきである。漁業補償の透明性を高めるために、第三者機関による勧告・裁定方式の導入も検討すべきである。








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