榊原 康博 看護士・ミュージシャン
さかきばら・やすひろ 看護士として精神科単科の協和病院に病棟看護長として勤務。そのかたわら、ギタリスト、そして医療と福祉をテーマにしたカウンターショックというポップバンドで活動を行っている。現在、病棟内の23名の看護職(スタッフ)のケア、そして病院や看護学校、大学などで音楽などによる「ケアする人のケア」を行っている。
<1>看護士(長)としてのスタッフのケア
i)病棟内の環境を整える 〜五感にやさしい環境〜
患者さんにとっての生活の場でもあるが、そこで働くスタッフもその中で気持ち良くケアができるような環境づくり。
1)建物(室内の色、装飾など)の検討
2)音響(音楽、騒音など)の検討
3)その他(空調、匂いなど)の検討
→その利点
・業務に集中できる
・ストレス、医療事故を少なくできる
ii)スタッフのパーソナリティーを考慮した業務分担
若いナースから定年を終えたナースまで、年齢の広いスタッフであるが、そのナースにあった業務を与えている。
→その利点
・業務に集中、より質の高いサービスが期待される。
iii)患者さんの受け持ち制と機能別看護の実施
→その利点
・患者さんとの信頼関係を築き、スタッフの「セルフケア」に目覚めさせることができる。
・充実感や達成感を得ることができる
<2>ミュージシャンとしての「ケアする人」へのケア
・私個人としてのソロやバンド「カウンターショック」の音楽による癒し
・私個人としてのソロやバンド「カウンターショック」の笑いによるリラクゼーション
・メッセージソングに込められた「セルフケア」の紹介
ホスピタウン より
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ホスピタウン つづき
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お薬ちょうだい
俺は今も薬漬け 朝から晩まで多量に飲まされ
ときたまドクターやナース
俺のところにやって来るが
ものの数秒で帰って行く
俺は欲しい 話し相手が
でも誰も無駄な事はしない
薬は金になる 話は金にならない
強心剤に利尿剤に降圧剤に消炎剤に解熱剤に止血剤に
去痰剤にゲロ止め 消化剤に止痢剤に便秘に下剤
ビタミンABCDおまけにEK ホルモン剤
だから
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
もっともっと ちょうだい
来るあてのない家族を待ち
無意味な検査で一日が過ぎる
鳥になる夢を見ながら
今日も両手に抗生物質に抗癌剤に
睡眠薬に鎮痛剤に抗アレルギー剤にメジャートランキライザー
だから
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
もっともっと ちょうだい
だから
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
お薬 お薬 お薬 ちょうだい
もっともっと ちょうだい
(CD「忘れられた人びと」収録)
ようこそダウン症の赤ちゃん
まぶしいほどの笑顔で
僕らに愛を届けに来た君は天使
この世に生まれて来なかったら
こんなに幸せではなかっただろう
どんなことにも喜びと感謝を忘れず楽しんでいる
明日よりも今日の幸せと
君のマイペースの人生
だけど成長は人よりもとっても遅い
でもゆっくりと歩いてゆけばいい
生まれてきてくれてありがとう
君が生まれてすぐにダウン症だと知った時
そのショックでママは5日間で一生分の涙を流した
あれから何度も手術を重ね
そのたび幾度も超えたハードル
決してあきらめず
頑張ってきた 小さな生命の喜び
あの頃絶望にうちしがれていたママは
「今とても幸せ」と笑う
妻よ 生んでくれてありがとう
どんなに障害があっても
生まれて来ない方がよい生命なんてない
みんなで迎えることが社会には大切なこと
ありのままの君を大切にしたい
人としての尊厳はみな同じ
ママも僕もそして兄弟もその事を教えられた
みんなと違うことが君の個性の素晴らしさ
さぁ安心して生まれておいで
ようこそダウン症の赤ちゃん
ようこそダウン症の赤ちゃん
(CD「脳ミソの重さ」収録)
<演奏:カウンターショック作詩・作曲/へんり未来>
須田木綿子 東洋大学社会学部助教授
すだ・ゆうこ 保健学博士、東洋大学社会学部社会福祉学科助教授、米国ミズーリ州セントルイス大学非常勤講師。東京大学医学系研究科保健学専門後期博士課程2年次中退。東京都老人総合研究所勤務を経て、1993年に渡米。米国におけるボランタリーな活動について研究する傍ら、NPOの現場活動に従事。2001年4月より現職。