2.1.3 サブシー関連機器
海底下をドリルパイプで掘り進むためには、地層破壊防止、ビット潤滑、ビット冷却等が必要となる。このため船上からの泥水循環が行われており、この泥水循環を実現するツールがライザーである。海洋石油掘削においては、通常ライザーパイプを用いて泥水循環を行うライザー掘削を採用している。この手法を採用することにより、掘削孔壁の崩壊を防ぐとともに、孔内の圧力制御が可能になり、油/ガスを含む地層を掘削することができる。近年、石油掘削をより深い大水深の地層に求める傾向があり、これに呼応する様に、ライザーもより深い水深で使える高強度のものが市場に出てきていた。実際に適用可能かは適用海域の海象条件等の条件で検討が必要だが、今回の展示では数社がライザーコネクタの展示及びパネルの展示等を行っていた。
図9はライザーパイプの接続部分のカットモデルで、中心部の太い管がライザーの本管であり、本管の外側には付属管としてチョーク・キルライン、ブースターライン、ハイドローリックラインが装備されている。ライザーパイプの標準的なサイズは、長さが90フィート(27.43m)、外径が21.5インチ(546.1mm)である。
図9 ライザーコネクタ
図10はドリルパイプなどのための非破壊検査機器である。ドリルパイプなどの孔内ツールは、使用によって摩耗や傷の発生などが避けられない。このため定期的に表面のカラーテストや磁粉探傷試験などの非被壊検査を行い、品質を管理している。船上に搭載されるこれらツール類の数量は膨大であり、近年大水深海域での稼働が増加しているため今後もさらに増加することが予想される。このため手作業で検査を進めることは時間的、経済的にも大きな負担となる。この検査機器はパイプ類を機器中央を通過させる間に検査を行い、従来の手法に比べ非常に効率的に検査を行うことができる。
図10 ドリルパイプの検査機器
2.1.4 水中作業関連機器
水中作業機器関連では数社がROVの展示、紹介を行っていた。ROVの用途は海洋調査研究、産業(特にエネルギー)、軍事と多岐にわたっており、安全性の確保、コストの削減、作業深度の増大などのニーズに応え、さらなる作業能力の高度化が進められている。ROV登場当初のダイバー支援から海中の構造物(リグ、パイプライン、海底ケーブル等)の保守点検及び設置敷設、海底機器の設置や操作などダイバーに代わって作業を行うようになってきている。