刊行によせて
当財団では、我が国の造船関連事業の振興に資するために、日本財団から競艇公益資金による助成金を受けて「造船関連海外情報収集及び海外業務協力」事業を実施しております。その一環としてジェトロ関係海外事務所を拠点として海外の海事関係の情報収集を実施し、収集した情報の有効活用を図るため各種報告書を作成しています。
本書は、(社)日本中小型造船工業会および日本貿易振興会が共同で運営しているジェトロ・シンガポール・センター船舶部(山崎壽久駐在員)のご協力を得て実施した「東南アジア・オセアニア地域海事事情」に関する調査結果をまとめたものです。
東南アジア・オセアニア地域諸国の多くは島嶼国家であり、海上輸送は物資の輸送、生活の足として今後の社会経済発展の基本的インフラとして重要視されており、今後の経済発展に伴い海上輸送量に増大が見込まれています。しかしながら、域内の輸送は今だ老朽化した中古船や小型木造船などによる場合が大半であり、また、小さな無動力船による場合も多く、域内海上手段の現状は劣悪で、不充分であり、今後わが国と当該諸国の海事産業間での協力が待たれているところです。
このような状況を踏まえ、当該地域の海事事情を概括した本書は、当該地域に関心をお持ちの皆様の参考になるものと思われます。関係各位にご活用いただければ幸いです。
2001年7月
財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団