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海賊行為
 アジア太平洋地域における航路のセキュリティ環境の海賊行為が増大する脅威についての我々のレビューは、3つの部分において続行されることになる。第一に、我々は、どのように海賊行為が定義されるかの問題を調査する。なぜなら、この問題の理解には、海賊行為における現在のデータ及び最近の傾向を解釈する必要があるからである。第二に、この問題は過去10年の間に成長し、発展してきたので、我々は、海賊行為の傾向及び地域における海賊行為問題の現状を再検討する。最後に、我々は、最近の経験から得た知識及び地域における将来の行動と協力にかかわる可能性を含め、海賊行為と戦うための可能な対策を考慮する。
海賊行為の定義
 海賊行為は、「どのような国の司法権も及ばない公海上又はその他の水域にあって」1、船舶(又は航空機)に対する暴力又は不法占拠等の不法行為として、1982年の海上法の国連協定(UNCLOS III、これは1994年11月に発効した)の条文101において定義されている。国際法のもとには、すべての国家は、公海の海賊を逮捕し、その海賊行為について彼らを罰する権利を有する。UNCLOS IIIの条文58(2)のもとでは、これらの規則は、領海(例えば、排他的経済水域)外のその他の水域に適応するが、一国家の領土主権内で、海賊行為が発生するときには適応しない。(これは、もちろん、「公海」及び国の司法権外のほかの水域に起因する海賊行為について極めて制限的なUNCLOS IIIによって提言されている。) UNCLOS IIIは、島嶼(とうしょ)水域の存在も認識している。(島嶼の最も外側の島を結んで引かれた直線のベースライン内の水域) 島嶼水域が、島嶼国の領土主権内では合法的であること、及びそれゆえ、公海の海賊行為に関する法的規則が必要ではない。UNCLOS IIIは、国際的な海峡と接している国家間の責任も認識している−しかし、それらの海峡が一国家又は国家間の領海範囲内にあるところでは、主権を有する国家だけがその個々の水域について司法権を施行できる。
 
 アジア太平洋地域における海賊行為の問題について現実的な取り組みのためには、我々は、UNCLOS IIIの(「公海」)についての狭い法律定義を越えて、2001年1月の国際海上局の船舶に対する海賊行為と武装強奪についての年次報告書に定義のようなものに向かう必要がある:つまり、「[海賊行為は]、窃盗及びどれほどのものであってもその他の犯罪を行う意志を持って、かつ、行為遂行に武力を用いる能力及び意図を持ってどんな船舶にでも乗り込もうと試みたり、又は、乗り込むような行為のことである。2このより広い定義は、明らかに領海内、又は投錨中ないしは港内にある船舶さえ含めている。
 合法的かつ現実的に−これらの定義を理解することが、重要なことである。なぜなら、海賊行為そのものが起こる場所の現実性がどのようなものであっても、国家間で海賊行為に取り組むための可能な協調性が海上法律定義により制約されなければならない。アジア太平洋地域には、これらの法律定義には、いくつかの意味合いがある:
 
・マラッカ及びシンガポールの国際海峡内又は海峡近くのほとんどすべての海賊行為は、マレーシア、インドネシア、及びシンガポールの沿岸国のうちいずれかの領海主権(すなわち、領海又は島嶼水域)内ので発生している。
・インドネシアの広大な島嶼水域内の海賊行為は、インドネシアの領土主権内にある。
・主権が議論される海上地域-特に、南シナ海の広大な水域−の海賊行為にかかる法的権限についての定義を一層複雑にしている。
 
 これらの法定義及び地理的な事実は、次のことを意味している。すなわち、一般的に容認された国際法のもとでは、"法律施行責任者は、別の国家の領海主権内水域においては彼らの法律を施行するための行動をとらないかもしれない。それゆえに、一国からの海軍艦艇又は海上警察は、海賊行為が起こったところを問わず、海賊行為監視のため、又は海賊行為にかかわった人を逮捕するために、別の国家の内部水域、領海、又は島嶼水域に入ることは許されない。3 (領海内の無害航行の権利も、警察権の行使権利もない) これらの法的強制力を考慮して、海賊行為を効果的に扱うためには、二国間及び多国間の協力が必要なことは明白である。
 
 我々の議論は、現代の海運に対する海賊行為という、アジア太平洋地域の海賊行為の現在の最も共通な形態に焦点をあわせるものである。海賊行為以外のカテゴリーのものも存在する。例えば、「政治的動機による海賊行為」(言い換えれば、海上のテロ活動)、例えば、地中海におけるクルーズ船、Achille Lauro号のハイジャック、そして「難民に対する暴力による海賊行為」--1970年代と1980年代の、特にGulf of Thailand内でボートに乗ってベトナムを避難する数百、数千の難民に対するものがよく知られる。そして、最近の「ヨット海賊」、香港では知られていなくもない。4
東アジアの海賊行為の傾向
 現代の海運に対する海賊行為-アジア太平洋地域におけるその海賊行為の最も一般的な現在の形態は、「ヒット-強奪-ラン」という船舶の短時間奪取及び強奪行動により特徴付けられている。(国際海上局(IMB)によると、事件の平均的な時間は30分、及び平均窃盗額は5,000米ドルと15,000米ドルの間である)。
 
 東南アジア地域(マラッカとシンガポールの海峡)においては、ほとんどの攻撃が、夜半にすべての船種の商船(コンテナとバラ積船、タンカー)に対して、行われている。高速艇に乗り込んだ海賊は、船尾から接近し、そして舷側からフック又はロープをかけて乗船し、船橋又は船室にいる乗組員を脅かしている。彼らは通常、船の金庫から金銭を強奪し、電器製品を奪う。対照的に、IMBリポートは、他の海賊行為水域においては、公然とした接近、停船を求める発砲などがより一般的であることを示している。
 
 ともかく、海賊行為は現実の危険を引き起こしている。乗組員の生命だけでなく、非常に混雑する水域におけるほかの船舶にとってもである。(200隻以上の船舶、その半分が油送船で、毎日マラッカとシンガポール海峡に入ってくる)
 
 1992年及び1993年にさかのぼったIMBの統計が示すとおり、世界の海賊行為事件の3分の2以上がアジア太平洋地域で起こった。全体として、1994年に世界中で起きた87事件のうち71件がアジア太平洋地域で起こった。
 
 1990-1994年の期間中に起きた海賊攻撃の場所的傾向と地域の地理的区分を比較することは重要である。1990-1992年の急増後には、マラッカとシンガポール海峡水域における(下記に検討される)新しい協力のイニシアチブ(開始)はその地域における海賊行為事件をかなり減少させた。しかし、1992年から1994年初頭には、香港-ルソン-海南島(HLH)地域そして南シナ、東シナ海へと海賊行為の焦点のシフトが顕著であった。
 
 これの地域における海賊行為は、多くの場合、より大胆で、準軍隊の規模、しばしば中国人の攻撃者を連れ、ユニフォームを着て、ボートに乗り込み、発砲した。北京は結局のところ中国関税及び公安局(軍隊の部隊ではない)の悪漢分子に責任があると主張している。5 (これは、中国の「反密輸」イニシアチブのプレッシャー、及び地方公務員が「密輸」の半分を押収したままにしておくことができたという事実の両方を反映しているかもしれない) これらの「海賊行為」事件は、中国の領海主権外の意図的な実施及び(特に南シナ海及び東シナ海、尖閣島水域における)中国の拡張的な海上主張の非公式な努力であるかもしれないということを、アジアのほかの国々は心配していたのである。もしそうなら、中国がこの戦術を考え直したのか、又は地方の「悪漢」役人のよい抑制方を得たのかのいずれかである。国際的なプレッシャーはこの役割をはっきりと果たしたのである。1992年末と1993年初頭において東シナ海における20の海賊行為事件のうち17がロシア船舶に向けられたのを知って、ロシアは、1993年央に海運に対するどのような脅威にも攻撃すべしの命令を与えて海軍艦艇を配備した。--とたんに、そのような攻撃は即座に止まった。1991年から1993年の78件の別の注目すべき点は外国船が中国人によって乗り込まれ発砲されているが、日本は、中国外務大臣に1993年2月の同大臣の東京訪問時に両国の沿岸警備当局者が東シナ海海運問題を議論するために会合することを提案した。中国は「非公式な」1993年6月の会合に同意し、そこで日本の海上保安庁にホットライン設立をアレンジするようにした。事件は、次の年にはたったの一件に減ったのである。6他では、香港の領海水域内で船を捕らえるための1994年の中国の厄介な試みは、中国の謝罪を引き出しさえし、将来においてそのような事件をを避けると約束させている。しかし、数は1993年の半分であるけれども、香港-ルソン-島海南(HLH)地域においては1994年にまだ多くの事件がおきている。そして、1994年にはインドネシア水域の海賊行為事件の著しい増加(1993年の2倍)がある。
 
 1996年の海賊行為に関するIMB海賊行為報告センター年次報告書は、世界的にもまたアジア太平洋地域においても、悪化の傾向を示していた。海賊行為事件の世界の合計は、1994年の90件に比べ1995年には175件である。7 インドネシア水域で報告のあった攻撃には著しい増加があった(1994年の25件から1995年の34件、1996年の53件に)。また、中国/香港/マカオ/台湾水域の攻撃件数も増えている(1995年の5件から1994年の28件に)。インドネシアの攻撃のほとんどは港の中で起こっており、アジアの主要な船主協会等が、これらの攻撃が海賊行為として海賊行為報告センターにより分類されるべきではないと主張する気にさせている-しかし、海賊行為報告センターは、港の中にあっても、又は海上であっても、犠牲者に暴力によるインパクトは、同じであると主張している。
 
 IMB海賊行為報告センターの1999リポートは、1999年に報告された世界の全海賊行為のうち2/3のケースが、アジア太平洋に存在することが判(わか)り、東南アジア(特に、インドネシア近くの水域)は、海賊行為攻撃の大多数を占めている。1999年の世界の海賊攻撃は300件と報告されており、1991年の数字の3倍になっている。1999年のインドネシアでの攻撃の数は、1998年の件数のほとんど2倍である。同国の最近の経済危機及び国内の不安を反映しているにちがいない。8 これらの「海賊行為」のほとんどは、港内又は停泊地に発生している。(したがって、用語は「海上強奪」。上に記されているように、国際法で定義されている海賊行為は、領海のほかにあるとしているので、けれども、IMBの海賊行為報告センターとその他が、「海上強奪」をこれらの数値、及び海賊行為についての彼ら自身の実用的な定義に含めている)
 
 最新の2000年版IMB海賊行為報告センター年次報告書は、アジア太平洋地域の海賊行為について引き続き悪化傾向を強調している。9 世界的に報告されている海賊行為事件は常に469の件数の高さに達しており、1999年から56%増加し、そして1991年以来450%の増加にある。ほとんどの攻撃は停泊している船舶に発生しているが、多数の暴力を伴った攻撃に増加が見られ、40人が殺され(すべてフィリピン水域)、21人が行方不明(東シナ海水域)になっている。図1に示されるように、インドネシアは、海賊行為攻撃において世界をリードしており、119回の攻撃を数え、世界合計の4分の1強となっている。マラッカ海峡で航行中の船舶攻撃のドラマチックな復活が特に懸念されるものであり、1993年以来比較的安全とされていた地域で、そしてそこではたった2回の攻撃を経験したのみである。2000年に、この地域における75件の海賊行為事件があった−インドネシアにとってはほんの2番目の件数、だがシンガポール海峡の海賊行為はわずかに下がっている。要約すれば、2000年に増大した海賊行為は、インドネシア及びマラッカ海峡で最も著しく、インドネシアの陸の経済及び政治的な不安定と暴力増大傾向を反映している。
海賊行為対抗手段
 地域における海賊行為のこれらの傾向は、ある地域とケースにみられるそのような行為が、地域のセキュリティに関してより一般的な意味があり得ることを示している。しかし、地域的なアジア太平洋の国家間の議論と協調が海賊行為の効果的な取締りを確実にすることになるということははっきりしている。マラッカとシンガポール海峡地域においては、隣接国家間の国際協力及び具体的な協力対策は、海賊行為事件数を1991から1999までにかなり縮小している。1992は、過去10年間の海賊行為に対抗するこの最初うねりの鍵となる年であった。1992年10月に、国際商業会議所の国際海上局(IMB)は、--海運及び関連産業、UNの国際海事機構(IMO)、及び法律施行当局からのサポートを得て−マレーシアのクアラルンプールに地域海賊行為センター(スリランカの東から東南アジア及び極東までのすべての国々をカバー)を設立し、情報と報告センターとして仕え、地域の法律施行当局(センターはそれ自身の強制の能力を持たない10)と連携することになった。名前は後に海賊行為報告センターに変更された。1992の夏に、シンガポールとインドネシアは、両国の海軍間を直通でリンクする通信回線を設立することで合意し、海賊行為からシンガポール海峡航路を保護するために両国の海軍の調整をはかったパトロールを提供することにも合意した。これは領海の国境線にまたがる追跡を調整する用意をも含んでいる。1992年においては、海上協力にかかわる長期の共同国境委員会機構(そしてそれはマラッカ海峡における海軍及び警察間の共同実施・運用、更に海上での情報交換のための規則的な会合(ランデブー)のための手順を既に含んでいる)を利用して、インドネシアとマレーシアは、1992年12月に、マラッカ海峡の共通の国境に沿って、統合パトロールを実施するために共同の「海上行動計画チーム」を編成することに合意している。(1993年央の初期に、両国はマラッカの海峡の共同パトロールを実施した) (シンガポール、マレーシア、及びインドネシアの個別の反海賊行為対策も合わせ)これらの協同対策の結果として、マラッカとシンガポール海峡の海賊行為問題は1993から1999までにかなり減少させている。
 
 アジア太平洋地域の海賊行為との戦いでの一層の協力にはかなりの機会がある。マラッカとシンガポール海峡地域では、一つの提案が、シンガポール、マレーシア、及びインドネシアが「共同パトロール地域」を設立することに合意することであった。そこでは、領海の国家が、海賊行為を監視し、逮捕し、罰する権利を有する以上のものであった。
 
 南シナ海地域では、インドネシアがスポンサーの「第5回南シナ海における管理能力の対立にかかわるワークショップ」(Fifth Workshop on Managing Potential Conflicts in the South China Sea)に用意された文書は、海賊行為と戦い及び不法な麻薬取引における「地域の海軍及び当局間の統合と協力」についての提案が含まれている。11 3回目の南シナ海ワークショップは、1992年に次のように報告している。参加者のあるものは、「海賊行為は国家的レベルで最も効果的に扱いうるものであるとし、一方で、他のものは、問題へのアプローチは地域的であるほうが望ましいと考えている」12 1999年6月に、マレーシアのSabahで、航海、海運、及び通信の安全性に関する技術ワーキンググループの会合が開かれた。その会合で、ワークショップの参加者から「海賊行為を報告するため彼らの国の法律施行当局をはっきりと区別することが提案されている。13 東シナ海地域については、交差海峡問題(一度は、彼らが再開する)に関する中-台の話し合いの議題にこの問題を包括するのと同様、中国と日本の沿岸警備当局間で対話の継続が有益である。地域における海賊行為の最近の高まりは、また、東京の2つの最近の国際会議開催となっている。2000年3月28〜30日の「船舶に対する戦闘的海賊行為と武装強奪に関する全海上関係者、政府及び民間の国際会議」、これは行動を求める「東京アピール」を出した。2000年4月の27日〜29日の「アジア反海賊行為への挑戦2000:船舶に対する戦闘的海賊行為及び武装強奪に関する地域会議」でインドから日本まで14カ国からの沿岸警備当局の指導者が参加。14 4月の政府間協定は、情報交換、報告書、法律施行活動の強化、調査、及び技術とトレーニングのサポートなどによって海賊行為/海上強奪に対する相互協力を促進した。民間の海上法律施行当局(沿岸警備隊、海上警察、港湾警察など)は、港/領海内での海上強奪に反撃するのに指導的な役割を持ち続けるであろうとはいえ、外洋で海軍及び(それらが存在する国においては)沿岸警備の力の一層大きな協力の明確なスコープとなるものである。地域海軍の力は、海賊行為報告センター及び隣国と疑わしい船舶に関する情報や訓練について一層の協力ができるようにする。別の重要なミーティングが2000年11月13〜15日にマレーシアのクアラルンプールで開催され、そして13の国家から40人のアジア海事関係の代表者がIMB海賊行為報告センターで会合している。参加国は、多国間及び二国間の反海賊行為対策の必要性について合意しており、定期的会合で情報及び知識を交換することになっている。日本は、日本の海上保安学校と職業訓練所で必要とされる沿岸警備隊人員養成を援助することを提案している。15
 
 非公式なアジア太平洋のセキュリティ協力のための「トラック2」協議会(CSCAP)には、海上協力ワーキンググループがあり、1995年以来年に一回ないしは二回会合を持っている。1998年には、CSCAP海上協力ワーキンググループは、CSCAP共同議長を通じてARF議長に「地域海上協力のためのガイドライン」のCSCAP覚書No.4を提供した。16 この文書の2つの条文が、いくつかの地域の軍隊の役割について我々の考慮に特に関連している:
 
 1.条項16. パーティーは、法と秩序のメンテナンスと施行において、協力の重要性を認めている。それは、海上で海賊行為、麻薬密輸、及び他の犯罪の防止を含め、国際法により許され範囲で、それらの国内の法律を海上で施行する国家の権利を認めている。
 
 2.条項17. パーティーは、それらの海上の施行活動において協力と統合を強化するために、定期的会合を設立するように勧められる。
 
 1999年11月の国境を越える犯罪のCSCAPワーキンググループとの共同会合の後、CSCAP海上協力ワーキンググループは、2000年7月のマニラ会合と2000年11月の北京会合において海上の法と秩序のための協力に関するより詳細なCSCAP覚書を起草し、海上協力ガイドラインについての条文16と17を具体化する計画がある。このCSCAP覚書は「一つの特定反海賊行為協定は地域のために考慮しうるものである」と結論している。そのような会議への最初のステップは、海賊行為に関する国家の立法上の規定についての一つの編集物であるかもしれず、それらの範囲と内容....の互換性を決定するためのこれらの法律についての監査でもあり得る。17 別の非公式な「トラック2」組織、西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)は、太平洋の海軍リーダのその周期的な会合での海上の法律施行と反海賊行為役割をも考慮している。2000年11月、ニュージーランドの最近のWPNS会合で、韓国海軍作戦部長は海賊行為及び地域海軍協力に注目していた。インドの大統領と海軍スタッフのチーフは、2001年2月、ムンバイでの「国際艦隊レビュー」に出席した30の海軍に、海上における海賊行為並びにその他の犯罪と戦いで協力するよう訴えている。18
 
 最近の反海賊行為の4つのイニシアチブは、特に、海賊行為との戦いに期待しているかもしれない。これらのイニシアチブの1番目は、海への依存が大きい主要海運国の日本における公式及び非公式な様々なソースに由来する。それらのイニシアチブは、防衛研究のために国立研究所の1987年10月の会議で「海洋平和維持」の一般的な概念と、より最近では、共同の沿岸警備隊反海賊行為パトロールについての前総理大臣小渕の1999提案でもって始まっている。それらは、そのとき、条文及び会合19、--例えば、東京の岡崎研究所での2000年11月の最近の海賊行為会合−で、主導的な保険及び海運のエグゼクティブにより念入りに作られた。このイニシアチブの推進には、マラッカ海峡などの海賊行為の高い脅威がある地域の共同パトロールに日本沿岸警備隊(正式には「海上保安庁」)船を使う必要がある。地域の国々は、日本との船の共同パトロール関する限り政治的にはともに行う用意ができていなかったとはいえ、このイニシアチブは、既に、2000年11月、日本沿岸警備隊の船とインドとマレーシア船舶間の演習とトレーニングの結果となっている。地域の反海賊行為協力のための2番目の期待されるフォーラムが、24カ国のASEAN地域フォーラム(ARF)のなかにある。1998の秋のはじめ、海事専門家のいくつかの会合が、信頼構築対策に関するARFのインターセッションのワーキンググループの年2回の会合と連携して開催されている。反海賊行為対策での協力は、最近では、2000年10月のムバイでの会合の焦点であった。20 反海賊行為について3番目に期待されている分野は、地球レベルであり、国連の国際海事機構(IMO)を通じている。IMOの海上安全委員会は、海賊行為に関する一連の地域のセッションを開催してきており、船主と船舶のオペレータ、及び政府に勧告のガイドラインを提供する2つの文書を展開している。21 この後者は、優秀な枠組みを地域の反海賊行為協力に提供し、ハワイにある米国沿岸警備隊第14地区司令官によって開発された地域非防衛海上保安に関する統合行動マニュアル草案に組み込まれ、2000年3月、シンガポールの海上安全政府機関フォーラムのアジア太平洋指導者に提出されている。戦闘海賊行為の4番目に期待される分野が技術に関係している。Shiploc機器の改良型が手にはいるようになり、利用が増えている。これは比較的安価な衛星追跡ビーコンで、船主に彼らの船の位置を規則的に知らせることのできるものである。22
 
 主要な新しい米国政府当局間(interagancy)作業グループリポートは、海上の海賊行為は、世界の最も重要ないくつかの航路セキュリティだけでなく、国際的な海上商業の安全かつ整然とした流れを海上の海賊行為がどれほど脅かしているかを簡潔に同定している。海賊行為が保険料を上昇させ、自由貿易を制限し、影響を受ける沿岸国、その隣国間の緊張を増し、そしてそれらの国の旗を掲げる船舶が攻撃され、そしてハイジャックされる。環境に危険な貨物を運んでいる船がターゲットとされるときには、この犯罪の活動は、莫大な損害を海と海岸線に起こす可能性も持っている。海賊は、貨物満載のタンカーを含む船舶をそのままに、指揮もなく、置き去りにし、衝突又は座礁のリスクを増大させ、航海を危険にさらしている。米国沿岸警備隊によって入手可能なデータによると、直接的な財務上の損失は、外洋での海賊行為結果として、1年当たりおよそ4億5000万ドルと推定されている」23 地域の海賊行為脅威の深刻さは、軍隊(そして、民間)海上力が、現在の攻撃的高まりが存在する限り、地域での反海賊行為の役割一層の注意を予期すべきであることを意味している。








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