競技解説
解説:広報委員長 井上 壮太郎
スラローム
●競技方法
スラロームは、水面上に左右3個ずつ、2列計6個のターンブイと、コース両端に設置した2組のゲートブイによるスラロームコースを使用して行います。ゲートより進入したボートはコース中央を直進し、反対側のゲートよりコース外へ出ます。スキーはスラローム用の1本スキーを用います。
●得点方法
選手が6個のブイを全て通過して、ゲートを出ますと、ボートはコース外で折り返し、再び進入します。
そして選手が転倒するか、反則を犯すまで競技は続けられ回ったブイの総数が得点となります。
●ボートスピード及びロープの長さ
スピードは、クラスで決められていますが男子は46〜55km/h・女子は43〜52km/hより始まり、選手が6個のブイを通過すると、3km/hずつ速度を上げます。そして、男子は55又は58km/h・女子は52又は55km/hになりますと、それより先は使用している曳航ロープの長さを,18.25mから16m、14.25mと短くしていきます。最短は9.50mとなっています。
美 スラローム
優れたスラローマーのスキーイングはどこまでも美しい。体が正しく伸びて、筋肉ではなく骨格がボートの強大なパワーを正確にスキーに伝達することができなければ、効率良く加速し、減速し、ターンすることができないからだ。その美しいフォームを保ったまま、スラローマ−は瞬間的にボードの速度の2倍ものスピードを得、そのスピードは、120km/hにも達するという。滑るスラローマー自身の視界の中では、めくるめくような高速度の世界が傾き、飛び去り、また次々とやってくる。
一方、観客の目にはスキーヤーが巻き上げる巨大なスプレイが一瞬写ったかと思うと、次の瞬間には消え去ってしまい、美しい記憶だけが残される。
美しさを競うわけでもないのに、スラロームは結果的にあまりに美しい。
トリック
●競技方法
トリックは、アイススケートのフィギア競技に似た種目で、選手は回転したり、自分のロープを跨いだりする演技を行って得点を競います。スキーは1本または2本のトリック用のものを用います。
●得点方法
選手は、約50のトリック種目の中から演技種目を選び、片道20秒ずつ、往復40秒の間に演技を行います。
各トリック種目は、難易度により点数がきめられており、成功した種目の合計点が得点となります。
●ボートスピード
選手は、目分の好みのボートスピードを指定することができます。そのスピードが演技に微妙な影響を与えますので、選手は慎重にスピード調整をボートに要求します。
●ロープについて
選手は、自分に適した長さのロープを自由に使用できます。また、このトリック用ロープには、足をかけて演技ができる様に、特別の工夫がされています。
●演技種目
演技種目は、大きく分けて、水面上で行うウォーターターンと、ボートの曳波を利用して空中に飛び上がって回転するウェーキターンに分けられます。それぞれの種目を演技に取り入れてプログラムを組みますが、同じ種目を2回以上行っても1回の得点しか与えられません。
衝 トリック
フィンもなく平たく短いスキーの上で、片脚で全体重を支え、ストラップに入れた足でボートに曳かれてトリックスキーヤーはトーホールドトリックを行っていく。バランスが最重要なトーナメント水上スキーの3種目の中でも、ほんとうにバランスがすべてなのがトリック競技だ。より新しいトリックスキーはいままで以上に回転しやすく軽くなっている。それは逆に言えば、それだけ不安定なスキーだというのに等しい。可能なかぎり早くたくさんのトリックを限られた時間内にやるためには、スキーに安定を求めるわけにはいかないのだ。
はじめての人がトリックスキーをはくと、まっすぐに滑っていくことすら困難だろう。その不安定なスキーを乗りこなすことによって、はじめて高得点を獲得することができる。そして、その一方、その同じ不安定なスキーでバックフリップ(後ろ宙返り)などもこなさなくてはならないのが、現代のトリック競技なのだ。
ジャンプ
●競技方法
ジャンプは、直進するモーターボートに曳航された選手が、水面上のジャンプ台を利用してジャンプを行い、その飛距離を競うものです。スキーはジャンプ用の2本のスキーを用います。
●得点方法
着水後、スキーイングポジションを保持しでいる場合、そのジャンプは成功とみなされ、ジャンプ台の先端から着水地点までの距離が得点となります。
●ボートスピード及び航路
ボートスピードは、男子57km/h・女子48km/h以下で、各選手が自由に選択できます。また、ボートはジャンプ台の右側をジャンプ台と平行に直進しますが、その航路は選手が指定することができます。
●ロープの長さ
ジャンプ競技用のロープの長さは23mです。トリック競技のようにロープの長さを変えることはできません。
●ジャンプの回数及び反則
選手は3回のジャンプを行えますが、ジャンプ後、または、ジャンプ台の手前で転倒した場合も、1回のジャンプとみなされます。またジャンプが成功しても、選手が空中でハンドル以外のロープに故意に接触した場合は、反則により失格となります。
躍 ジャンプ
説明のいらない競技、それがジャンプだ。ただただ遠くへ飛ぶ。そのことだけが求められている。飛型点など、主観の入る余地はまったくない。飛距離はビデオ撮影によって、瞬時に正確に測定される。スキーは加速のよさだけを狙って大きく直線的に作られ、さらに空中での空気力学的効果を狙って、奇形なほど長く長く進化している。
水の上にジャンプ台を浮かべ、可能なかぎりの加速を行って台をヒットして、空中へと飛び出す。コースの入り口、はるか遠くから見ると、ジャンプ台は小さな壁のように見える。広い水面の上でその一点を目指し滑り込んでいく。壁に見えたはずのジャンプ台は、近づくと大きな面となって、勇敢なスキーヤーを空中に高く飛ばすのだ。ジャンプ台は最も勇気があり、最も強く、最も巧みな者を誰よりも遠いところへと運ぶ。もうひとつ別の台の最も高いところに立つのも、もちろんその同じジャンパーであるのは、言うまでもない。