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6 樋口正郎家住宅 
台帳番号118
加美町1004
 
概要 島原街道は白土町と加美町の町境で一度東に折れ、中掘町で再び北に折れ南北方向に通る。当家敷地は、白土町から東に折れずそのまま北へ延長し、島原街道から一本西側を平行する通りの東側に位置する。
 主屋は通りに西面して建ち北側を上手とする。
 主屋主体部分は桁行8間(15.7m)、梁間2間(5.1m)、切妻造桟瓦葺き平入で、つし二階建である。主屋正面の下手側半分に2間の下屋がつき、上手妻面は落棟で街道面に張り出した座敷が接続する。この座敷と下手下屋の間は坪庭をつくり、塀で囲み門を開く。主屋背面は2間の下屋がつく。外壁は大壁造漆喰塗りで、軒裏は波型に塗込める。
主屋主体部分の間取りは床上部分と通り土間部分に分かれ、床上は四間取りを基本とし、さらに表裏に下屋をおろし居室部を広げる。
 建築年代は明らかではないが、和釘を使用しており、明治10年代以前の建物であることがわかる。
 なお、主屋より街道面に突出させた座敷が当初からのものか否か、またかつてどのように使われていたのかを明らかにすることで、当家は島原街道筋の町家の変遷に大きく関わる重要な遺構といえる。
 
特徴 昭和15年、現当主樋口氏の祖父の代にこの町家に移り住んだ。樋口氏が入居する以前は酒造業をおこなう家柄で土間には大きな酒樽が並んでいたという。
 当家は建築当初の姿をよく残しており、間取り、屋敷構えともに島原町家の古い形式を伝える。島原街道から一本西側に反れた通りの町家であるが、規模が大きく建物の仕上げも丁寧で、格式の高さがうかがえ、街道筋の同等規模の町家と比較することができる。
 
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樋口正郎家
 
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一階平面図1/200
 
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二階平面図1/200
 
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樋口正郎家梁間断面図1/100








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