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今月の私の一冊
「戦う勇気、退く勇気」
 フランチェスコ・アルベローニ著
 泉典子訳
 草思社(本体定価1500円)
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推せん・寺田 静枝さん(東京都)
 とうとう50代を迎えた。家族は元気。何とか年相応に現職で働ける。子育てもほぼ終わり本当に忙しい時期が去って時間ができた。端からは、何の悩みもないでしょうと言われる。改めて自分を振り返ってみると、まるで深い闇の中に一人で佇んでいるような感覚に陥る。何となく不安な世の中、親の介護、自分の老後、満たされてもなお湧き上がる不満やねたみ。それらの新たな課題にどう立ち向かったらよいのか見当もつかず途方に暮れる。そんなとき、出合ったこの1冊。より良く生きるためには勇気が必要だ。勇気とはどんなものか。答えは平凡な日常生活の中にあった。私にとって闇の中での一条の光ともいえる。立ちすくんだとき、繰り返しこの本を開くだろう。
 人生の朱夏期から白秋期に向かう私のバイブルである。
 
「勇気というのは、悪意ある社会に立ち向かわなければならないことを知りながら毎朝ベッドを出て、見返りなどを期待せずにだれかにちょっと手を貸すために、精神を晴朗に保っておくことなのだ。」
(第4章「モラルを保つために」より抜粋)








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