【資料1】ヒアリング結果の概要
1. ゴーリキマリンビレッジ
実施日時:平成14年2月9日(土)午前9時30分〜11時30分
ヒアリング対象者:ゴーリキマリンビレッジ オーナー 強力 修氏
(有)桜自然塾 代表取締役 塾長 大塚 隆氏
(1)会社・事業概要
項目 |
概要 |
名称 |
ゴーリキマリンビレッジ |
経営主体名 |
(株)ゴーリキ |
設立年 |
平成12年4月 |
従業員数 |
5人(全員兼業) |
資本金 |
  |
水域区分 |
河川区域、港湾区域 |
事業内容 |
■舟艇陸上保管、■舟艇・エンジン販売斡旋、
■レンタルボート、■免許教室 |
収容能力 |
■敷地面積が33,000m2あり、数百隻の収容が可能
■収容施設としては、平成14年2月現在30隻 |
収容隻数 |
■平成14年2月現在21隻 |
施設 |
[1]総敷地面積 33,000m2
[2]専有水面 約1,000m2
[3]係留施設 浮き桟橋1本
[4]陸上保管施設 200〜300m2
[5]斜路 幅20m、レール2本、モーター2基(造船用を転用)
[6]救助用艇 4艇 |
有資格者数 |
[1]小型船舶操縦士 4名
[2]危険物取扱者 1名
[3]フォークリフト運転者 1名
[4]クレーン技能者 1名 |
(2)海洋性レクの啓蒙、啓発側面からのマリーナの機能について
ゴーリキマリンビレッジの運営コンセプトとして、単にプレジャーボート等の保管場所として事業展開をはかっていくのではなく「自然の食と遊びの発信」を掲げている。このため、海洋性レクリエーションのみならず、調理体験や水産加工体験など多様なメニューの提案をおこなっている。具体的には、設立から今までに手がけてきた事業として、次のものがあげられる。
■伊勢市のマリンフェスティバル「第3回いせマリンスポーツフェア」の主催
(企画・運営協力等)
■コロボックルクラブの運営
■「海の遊び」の事業メニュー化(ex:小中学生を対象としたカルチュアーメニュー、大学生の体験ゼミ、身障者マリンスポーツ など)
■その他各種教室の開催
ex:貝掘り、フィッシング、魚のさばき方、釣竿作り、香草作り、果物・野菜作り、シャーベット作り、古式漁法、料理教室、カヌー、ヨット、ボーティング、ボート免許
(3)造船業からマリーナ事業への転業における優位性について
造船業からの転業によることの活用可能資源として次のものがあげられる。
[1]施設、設備に関係するもの
基本的には係留および陸上保管場所(敷地)、関連設備、およびボート揚降施設があげられる。具体的には下表で整理したとおりである。施設や設備面でのメリットは敷地を除くとそれほど大きくはない。
表 マリーナ事業において必要となる基本的な施設・設備
施設・設備名 |
転用状況 |
備考 |
スロープ |
○ |
新規購入の場合は、800万円程度の投資となる。 |
ウィンチ |
○ |
トロッコ(船台) |
○ |
ポンツーン |
× |
新規建造 |
桟橋 |
× |
新規建造 |
水洗設備 |
× |
  |
運搬機 |
× |
  |
ボートヤード |
× |
ボートヤードの舗装、係留場所の浚渫、係留岸壁の拡張は新規におこなう必要あり |
給油設備 |
× |
  |
(注)○が造船業からの転用、×が新たに建造又は購入
[2]無形の資産
無形資産として造船業からの転業メリットとして揚げられるものは、次のとおりである。
■公有水面の航路使用における既得権(造船で活用していたことにより、許可を得るのが容易であった)。
■漁業権などの漁協との関係に関しても、もともと私有地であり大きなトラブルはなく有利であった。
■マリーナ事業の展開においては係留水面を確保することが大きな問題となる。この際、私有岸壁での展開と公有岸壁での展開が考えられるが、私有岸壁での展開を指向する場合には、次の2点が大きな問題となる。私有で水面を確保できるかどうか、堀込んで私有水面を作れるかどうかである。この点に関しても、もともと私有地であり、堀込むことにより私有水面を作り出すことが可能であったことから、転業に際して有利であったといえる。
(4)マリーナ事業展開にあたっての開業資金、運営資金、適正事業規模等について
[1]開業からの投資額
開業から2年間の投資額は合計2,300万円
初年度1,300万円
ポンツーンの建造(10隻分:約500〜1,000万円)
レスト設備等の設置(なお、調理機器等に関しては中古品を無償供与)
トイレ設備(約250万円)
2年度1,000万円
ポンツーンの建造(10隻分:約500〜1,000万円)
※造船業からの転業でなければ設備・施設面での投資だけでも5〜6千万円程度の投資は必要と考えられる。
※現状では、マリーナ事業および関連事業では施設の敷地にかかる固定資産税などの固定費をまかなえていない。この支出に関しては親会社である(株)GORIKI(物流機器販売等)からまかなわれている。
[2]目標事業規模と事業展開
■プレジャーボート等保管業務に関して
平成14年4月時点で21隻
平成15年 50隻保管、総売上5,000万円
平成17年 70隻保管、総売上6,700万円 を目標としている。
このための投資額としては、平成17年までに1,500〜2,000万円を予定している(すべて自己資金でまかなうことを運営方針としている)。
■その他
平成18年に宿泊とレストランを備えたクラブハウスの建設を予定している。
■投資、運営の基本方針について
投資資金についてはすべてを自己資金の範囲内でまかなうことにより、返済と金利のリスクを負わない運営を基本方針としている。
また、最大の固定費である人件費については、他の会社ヘマンニングすることにより時期、季節的なロスの回避をはかっている。(ex:河芸マリーナのレストラン、合歓の郷のマリーナ業務の応援など)
(5)事業展開にあたって期待される支援施策、規制等について
[1]ゴーリキマリンビレッジ周囲の護岸工事と海上係留のための浚渫
[2]宇治山田港湾内および周辺河川の浚渫
[3]不法係留船に対する監督官庁の取り締まりの強化
(6)その他(事業運営方針等)
[1]「(ボートの)修理、販売、保管」の3点セットでは、競合マリーナと共倒れを起こす危険性が高い。このため桜自然塾に運営を委託することで多分野の遊びを提供していく海洋レジャーの中核施設を目指す。
[2]「自然の食と遊び」のコンセプトのもと舟艇保管料以外での収益の柱を複数持つことを模索。 このため運営システム、商品メニューは融通無碍。
[3]マリーナという器にこだわることなく、立地条件などの所与の要件を活かし、また、多様な人脈ネットワークおよびスタッフの能力を活用した商品メニューの開発。
[4]少ないスタッフで効率的に施設を運営していくには予約制の団体を多くすることが望ましい。 このため、集客の目標を「6割を県外団体、2割を県内団体、2割を個人客」としている(現状は、県内団体7割、個人客3割)。
〈将来の展望〉
宇治山田港湾内の他の場所を活用して、不法係留船対策とマリンレジャーを目的とした簡易な低価格のボートパークを整備する。
この際の投資の原資はPFIまたは公的資金による初期の設備投資をおこない、維持運営についてはすべてを民間に委託することが望ましいと考えている。NPOや第3セクター方式ではシビアな経営ができず、事業として継続運営していくことが困難であると考えられる。
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