3-5 造船施設のマリーナヘの転業に関する優位性の検討
造船業からマリーナヘの転業では、一部施設・設備の転用や関連する技術・技能の活用、また、造船業からの航路使用などの既得権など、多様な経営資源の活用が可能であり、優位性がみられる。
この優位性を施設・設備面およびノウハウなどの無形資産の2つの側面から整理すると下表のとおりである。
表 造船業からの転用により転用が可能な経営資源
施 設 ・ 設 備 |
[総論] 造船業からマリーナへの転業で最も有用な経営資源としては、臨海に面している敷地を有している点があげられる。また、敷地以外の施設・設備で「転用可能施設」および「転用が期待されるが活用が難しい施設」を整理すると以下のとおりである。 |
転用可能施設 |
転用が期待されるが活用が難しい施設 |
■スロープ ■ウィンチ ■トロッコ (船台) |
■上架線路等の揚降設備 ■クレーン設備 (※ともに造船業とマリーナ業では大きさがあわない) |
無 形 資 産 |
[総論] 具体的な施設や設備に比較して、造船業時に既に取得していた権利や技術・技能などの経営資源の転用メリットは大きい。 |
(1)各種技術・技能 ■FRP造船技術 (舟艇の修理等で転用) ■船体へのエンジンのセッティング技術 ■船舶検査の申請施工業務と検査の立合 ■鋼船建造技術・設備を活用しマリーナ整備時における各種設備の自社製作を可能とする。 ■クレーン操作、危険物取扱等の資格・免許
 廃材のモーターを再生、スロープの揚降に利用している。
 独自に設計した、手作りの揚降設備。船台も生産する。
 経費削減のため、自ら組み立てたテントサイト。
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(2)航路などの造船業時に取得している各種権利等 ■造船業時からの継続が可能である水面利用許可 ■公有水面の航路使用における既得権 ■漁業権などの漁協との友好関係の確立 |
(資料)造船業からの転業経験のあるマリーナ事業者へのヒアリングより