4 育成方策推進(産業振興施策)に付随する課題・問題点とその対応方針
今までは、本市がいわゆる静脈産業といわれる環境産業を推進するため、教育・基礎研究基盤の整備、事業化に向けた技術開発や、実証研究施設の整備及び環境産業拠点の整備・誘致を図ってきたことを記してきた。
また、環境産業の拠点化を図ると同時に、使用済み物質のリサイクルといった環境産業が持っている負のイメージを払拭し、適正な理解を促進するため、市民等に対して情報や施設の公開を行うなど透明性の向上に努めてきた。
これらの対応により、環境産業として産声を上げた事業はある程度進捗しているが、原材料との競争を余儀なくされているリサイクル物品は常に厳しい経済社会システムにさらされており、事業の継続的発展に対する先行きの不透明性が払拭されていない。
これが環境産業の振興を遅らせている大きな要因の一つであるといえる。
動脈産業と静脈産業が対峙していては、必然的に静脈部分が後退していくことは予想がつくところであり、動脈と静脈産業が適切に連携することが必要となってくる。
加えて、環境産業は循環型社会の形成といった目的の達成も同時に求められていることから、一地方の取り組みだけではなく、今後とも全国的かつ横断的な施策の展開が必要である。 取り組みの視点を次のように例示したい。
【視点】
◆リサイクル製品市場の拡大
[1]生産段階での取り組み
・原材料を含め設計段階からリサイクルしやすい製品づくり
・リサイクル物質を活用した製品づくり
・部品の共有化
・材質表示
・使用原材料種類の少数化
[2]流通段階での取り組み
・消費段階で不要となった製品の回収
・リサイクル品の採用、販売
・中古品市場の充実
[3]消費段階での取り組み
・リサイクル物品の優先的使用
・リサイクル物品に対するイメージの改善
[4]回収、リサイクル段階での取り組み
・リサイクル物質の汎用性を確保するための調査・研究
・効率的なリサイクル技術の確立
・回収コストの低減
◆廃棄物処理の適正処理の推進
[1]リサイクル対象品の拡大とリサイクル率の向上
[2]不法投棄対策の充実・強化
[3]廃棄物処理施設の設置手続きの明確化、維持管理の適正化等の推進
環境産業育成のための社会システム