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札幌市における都市型新産業の振興策について
札幌市企画調整局 企画部企画課長 石川 豊治
1 札幌市の産業・経済の概況 
 本市産業の特徴には、第3次産業への傾斜と製造業の脆弱さが挙げられる。産業別就業者数割合を平成12年国勢調査結果で見ると、第3次産業が78.9%と北海道全体や全国に比べて高く、第2次産業、中でも製造業の割合(6.8%)が北海道や全国に比べて低くなっている。首都圏等大消費地から遠距離にあるという製造業立地上のハンディを負っており、食料品、出版・印刷などの軽工業が中心となっている。製造品出荷額等(7149億円。「平成12年工業統計調査速報」)は北海道内では苫小牧市に次いで2位であるが、政令指定都市間では最小である。一方、建設業就業者の割合は高く全体の11.7%を占めている。
 また、本店が他都府県にある支店事業所数の本市の対全道シェアは 5割を超え、道外企業の北海道への進出拠点となっている。支店経済都市と呼ばれるこのような域外大手企業への強い依存性は、最後に離陸し最初に着地するジェット機の後輪に例えられる本市経済の不安定さと無関係ではない。
 域際収支の面から見ると、市際収支では3194億円の移輸入超過(「平成7年札幌市産業連関表」)となっており、移輸入率(移輸入額/市内需要額)も出版・印刷を除きすべて60%を超え、市内でのモノの需要に関して大部分を外部からの移輸入に頼る典型的な“消費都市”となっている。
札幌市の産業別市際収支(平成7年)
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※札幌市の平成7年産業連関表による。
 本市経済は、国等による北海道開発投資を基盤とした建設業や、金融・流通(卸売)等の中枢管理機能に支えられ、これに対する対個人・対事業所サービス機能により成立してきた。
国からの資金移転システムとしての性格を有する官公需への依存体質が歴史的に形成されてきたわけであるが、徐々に低下している国の公共投資規模はこうした本市機能の存続を揺るがせ、同時に本市経済に深刻な影響を与えていくことが見込まれる。 








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