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被害者は助けがほしい
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菅原 帛(きぬ)
 近頃の新聞、テレビで報じられるニュースには目を覆う事件が多過ぎます。誰しも被害者にも加害者にもなりたくないと願うものですが、事件・事故にはいつ遭遇するかわからないから怖いのです。これは身近に起こった一例です。
 主婦A子さんの運転する車が、前のバスと小型車が止まったのでその後に停車したところ、後から来た車に「ドーン」と追突されたのです。とっさの事で一瞬踏張ったので前の車には当たらず安心して後を見たら、玉子型の帽子を被った男性Bが降りて来て車を横に移せとどなり、自分で警察に連絡したらしい。パトカーが来るのと同時にBの母親も下りてきて「私が運転してました。ゆるして下さい」と身代わりになろうと懇願していた。しかしB本人の運転と分かり、その場で手錠をかけられ連行された。被害を受けたA子さんは幸にむち打ちで済んだが、翌日署に呼ばれ調書を取られた。
 Bは無免許で前歴があり裁判にかけられる身である事が分かった。ついては検察側の証言に立つ様お願いされた。始めての経験で戸惑いながらも法廷では有りのままを述べた。しかし加害者には弁護士が付いてこちらを悪者扱いして問いつめられたために逆に不利になったようで、何ケ月かの刑を言い渡された。謝罪するでもなくBの親から罵声をあびせられた。
 被害者側にとってはまだまだ救われない気持ちが残ったと話してくれた。
 A子さんは裁判を体験したことによって犯罪による被害者支援の必要性を話してくれた。
 誰しも被害者になる事は心身共に計り知れない深い傷を受けるものです。悔やんでも恨んでも相手に通じる筈もなく、支援センターに相談して少しでも早く心の悩みを軽くしてあげられればと思います。又、加害者も事件を起こすことによって家族や社会に及ぼす影響の大きいことを認識すべきと激怒さえ覚える。
 私は民生児童委員として、長い間社会福祉活動に参加して社会情勢の移り変わりをみて三十年になります。振り返って感じる事が多々あります。三十年程前に生まれた子供達が親になり、楽しく子育てする筈が不安な日々を送っている様に見えてなりません。少子高齢社会で先が見えず心配の上に近頃起こる事件、特に幼いいのちを奪われる悲しい親の心情を思うとき、私達の子育ての頃には考えても見なかったことと胸が痛くなります。
 又、親が自分の子供を虐待するケースが身近に起こって報告を受けます。児童委員として児童相談所に指導を仰いで子育ての一助になればと、折にふれ研鑽に参加し「いつもあなたのそばに」をモットーに地域での活動に努めています。
 出来れば犯罪被害者の少ない社会であってほしいと願わずにはいられません。日に日に増加する犯罪の歯止めとなるよう、支援センターでの相談員の活躍に期待申し上げます。
(民生委員児童委員)








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