(14)物品の認定に関する事例調査
1)対象物品とその認定基準の決定
[1]エコマーク:(財)日本環境協会の自主的事業
対象となる物品は、事業者の申請に基づきその内容を検討し、決定されている。
また、認定基準の要件として、「商品ライフステージ環境負荷項目選定表」(環境負荷項目×商品のライフサイクル)をもとに、重要な環境負荷項目ごとに、先導的な商品が選定されるようなレベルで定性的または定量的な認定基準を作成している。
[2]安全・品質等に関する制度
安全・品質等が社会に与えるインパクトの観点から、制度の根拠が法に定められており、対象物品及び認定基準にっいて、一定の考え方が示されている。
2)認定基準等の決定機関
「対象物品とその認証基準の決定」及び「個別商品の認定」は、異なった機関が担当するケースが多い。ちなみに、エコマークの場合には、(財)日本環境協会が商品類型および認定基準の策定、個別商品の認定の全てを行っているが、事務量が多く迅速な対応という点で問題があるといわれている。
3)対象物品と認定基準の決定手順等
対象物品とその認定基準は、客観的な基準に基づき公平性・透明性が確保された手続きで決定されることが必要である。このため、今回調査した類似事例においては、法に定める委員会(調査会)、あるいは基準作成のための中立的な委員会等において、それらを検討するのが一般的である。
また、そのような委員会等は、消費者・製造業者(団体)・中立的な専門家・学識経験者等構成されている場合が多い。
表(14)−1 「環境物品の晋及に参考となる事例の整理」(その1)
事業(マーク)名 |
エコマーク |
SGマーク(任意)
PSマーク(義務) |
JISマーク
(日本工業規格) |
実施団体(認定機関) |
(財)日本環境協会 |
(財)製品安全協会 |
国及び指定認定機関 |
根拠(法・自主) |
自主的な制度 |
消費生活用製品安全法 |
工業標準化法 |
対象品目の決定(品質に関する規格) |
・事業者による申請→関係者のヒアリング→エコマーク類型・基準制定委員会の審議、制定*1 |
・SGマーク*1:製品安全協会
・PSマーク*2:国(経済産業省)
以下、SGマークについて整理 |
・日本工業規格(JIS)の制定
「日本工業標準調査会」の審議を経て、主務大臣が制定*1 |
・委員会の構成:商品類型に関する産業界、消費者、中立機関の専門家や有識者 |
認定基準の決定(表示に関する規格) |
・エコマーク類型・基準制定委員会WG設置・検討→意見公募等→委員会への提案・審議→決定→公表*2 |
・(対象品目ごと)原案作成委員会→専門部会審議→安全管理委員会 |
・JIS規格の表示
「日本工業標準調査会」の審議を経て、主務大臣が制定 |
・WGの構成:委員会に同じ |
・原案委員会・専門部会の構成:消費者、製造業者(メーカー・団体)、流通業者、中立者(学識経験者、試験研究機関、行政機関等)*3 |
認定(審査)手順 |
・認定申込み→事務局の審査→エコマーク審査委員会の審査→認定 |
・ロット認定:基準に適合しているかを協会指定の検査機関で検査し認定 |
・審査基準は、省令で明確にされている |
・審査委員会の構成:環境負荷の評価・低減対策等に関する中立的な専門家・有識者 |
・工場等登録・型式認定:継続して認定基準に適合する製品を製造する能力があるとして登録された事業者(工場等登録事業者)の製品ごとの型式認定による社内検査の合格品 |
・国と指定認定機関(民間)の二本建*2 |
・JISに適合する製品を「安定的、かつ、継続的に生産し得る能力を有すること」の認定(認定工場または事業場)を受けたうえで、自己の責任でJISマークの表示を行なう |
・認定申請→審査員による書面及び現地調査→審査員による認定審査判定委員会への認可申請→委員会による最終決定*1 |
試験・検査 |
・必要に応じて第3者機関の検査、証明書の提出 |
・工場等登録事業者についての、事前・事後の工場調査、改善指導 |
・審査員による書面審査及び現地調査 |
・指定検査機関(民間)による品質保持等に関する定期的検査(公示検査)*2 |
備 考 |
*1 商品類型 |
*1 生命又は身体に対して危害を与えるおそれのある製品 |
*1 鉱工業品(医薬品、農薬、化学肥料、蚕糸、食料品その他農林物資を除く)の品質、包装、試験方法、用語等あるいは建築物の設計等 |
*2 認定基準の要件:「商品ライフステージ環境負荷項目選定表」(環境負荷項目×商品のライフステージ)をもとに、重要な環境負荷項目ごとに、先導的な商品が選定されるようなレベルで定性的または定量的な認定基準 |
*2 一般消費者の生命または身体に特に危害を及ぼすおそれが多いと見とめられる製品(政令で指定) |
*2 国により認定を受けた民間機関 |
*3 安全性品質、表示、及び取扱説明書について規定 |
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表(14)−1 「環境物品の認定制度の参考となる事例の整理」(その2)
事業(マーク)名 |
JAS(日本農林規格) |
JET認証マーク(電気製品) |
実施団体(認定機関) |
登録認定機関、登録格付け機関、都道府県又は農林水産省の機関 |
(財)電気安全環境研究所 |
根拠(法・自主) |
農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律 |
電気用品取締法 |
対象品目の決定(品質に関する規格) |
・農林水産大臣が必要と認めた食品*1 |
・認証を希望する全ての電気製品(甲種電気用品*1を除く) |
・品質に関する規格*2
農林物資規格調査会(JAS調査会)で決定
農林物資規格調査会(JAS調査会)の構成:消費・生産・流通関係の代表者、学識経験者 |
・電気用品取締法の技術基準 |
認定基準の決定(表示に関する規格) |
・表示に関する基準(第3者認証) |
・表示に関する基準(第3者認証) |
・農林物資規格調査会(JAS調査会)で決定 |
・電気用品取締法の技術基準 |
認定(審査)手順 |
・登録認定機関の認定を受けた認定製造業者等の自社製品等に関する格付(検査)とJASの表示*3
登録認定機関による認定製造業者等の認定→自社製品のJASの格付け→JASマークの貼付 |
・製品試験及び工場の品質管理体系等の確認 |
・登録格付け機関、都道府県又は農林水産省の機関
登録格付機関の審査:申請→資料の抽出→分析・判定検査→JASマークの貼付 |
・申請→内容確認→工場調査の要否→工場調査(試験品、試験、適合性評価)→登録→JETマークの使用 |
試験・検査 |
・店舗調査、市販品の買い上げ調査 |
・認証時の安全確認試験、定期工場調査 |
・改善指導 |
備 考 |
*1 酒類、医薬品等を除く、飲食料品及び油脂、農産物、林産物、畜産物及び水産物並びにこれらを原料または材料として製造または加工した物資 |
*1 試験研究機関の確認を受け、経済産業大臣の承認を受けることが義務づけられる電気用品 |
*2 規格の品質、成分、性能、生産方式 |
*3 登録認定(格付)機関:(社)日本農林規格協会等農林水産大臣の定める基準を満たした認定機関 |
4)個別商品の認定機関と認定手順
個別商品の認定については、かつては国(主務大臣)が認定を行っていたケースが多かったが、現在は、国の認定する「認定登録機関」に審査・認定を委ねるケースが多い。
認定の審査については、試験機関(あるいは、審査員)による調査・検査により認定を行うケースと、中立的な審査機関の審査を経て決定するケースがある。
検査機関としては、JISの例に見られるように、国により「指定検査機関」を認定するケースがある。