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5 廃車・廃棄物の排出抑制、適正処理およびリサイクルの推進
(1)取組のポイント
 廃車する場合、廃車自体が適切に行われていることはもとよりですが、廃車に伴なう二次的な公害の発生防止や、再生可能な部品が捨てられたりすることがないようにするためには、廃車に際しては、廃棄物の処理やリサイクルを適切に実施している業者に委託することが必要です。
 また、輸送に当たって不可欠な梱包材の排出抑制についても、ドライバーへの指導や目標管理などの仕組みを設定することが必要です。
 
(2)チェックリスト
 
【廃車・廃棄物の適正な管理】
□ 廃車・廃棄物の処理に際して、適正処理やリサイクルを適切に実施している業者に委託している〔レベル1〕。
 
→□ 廃車の処理に際して、適正処理やリサイクルを適切に実施している業者に委託している。
 □ 廃油の処理に際して、適正処理やリサイクルを適切に実施している業者に委託している。
 □ 廃タイヤの処理に際して、適正処理やリサイクルを適切に実施している業者に委託している。
 □ 廃バッテリーの処理に際して、適正処理やリサイクルを適切に実施している業者に委託している。
 
【廃梱包材の排出抑制】
□ 廃梱包材の排出抑制について、ドライバーに対して日常的に指導を行っている〔レベル1〕。
□ 廃梱包材の排出抑制(例:再利用可能な梱包材の利用など)について、目標を設定している〔レベル2〕。
□ 廃梱包材の排出抑制についての取組状況を目標に照らして評価し、取組状況が改善するよう、取組の見直しを行う仕組みを整備している〔レベル3〕。
 
(3)チェック項目の解説と関連情報
【廃車・廃棄物の適正な管理】
 一般に、廃車や点検・整備に伴って生じる廃油、廃タイヤ等の処理については、トラック運送事業者が直接の排出事業者とはなりませんが、二次的な公害の防止やリサイクルの推進という観点から、廃棄物の処理やリサイクルを適切に実施している業者へ委託することが最低限の義務と言えます。
 また、運送に伴う廃棄物である梱包材の量を削減するため、再利用可能な梱包材の使用やリサイクル等の取組も進められています。
 
 廃梱包材の量を削減のための、リサイクル率等の目標の設定や繰り返し利用可能な梱包材の選択など具体的な取組が期待されます。
 
梱包資材の繰り返し利用の例
 日本通運(株)では、引越し用梱包資材としてレンタル資材を開発、利用しています。タンスや机などの大きな家具にはネット付き毛布や伸縮自在なキルティング材「ハイパッド」を、食器には「食器用BOX」を利用します。また、衣類はハンガーにかけたまま収納できるハンガーボックスを用います。これらの資材は引越ししてから後日返却されます。
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ネット付き毛布
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レンタル食器用BOX
 同社はこうした梱包資材の繰り返し利用により、1999年度実績として下表に示す廃棄物削減を達成しています。
巻段ボール 約 30万本
エアーキャップ 約 10万本
段ボールハンガーボックス 約 30万本
スーパー縄 約 20万本
クラフトテープ 約 15万本
出典:日本通運株式会社環境報告書、2000年
出典:(社)全日本トラック協会発行「環境基本行動計画策定調査報告書」(平成13年2月)
6 任意項目に関連する情報
 事業者の環境保全の取組は、企業の規模、事業所数、業態等により様々な取組が考えられます。これまでの5項目は、全ての事業者が積極的に取り組んでいただきたい項目として示しました。その他の取組については、当面、事業者の皆さんが、企業の実態に応じて任意に項目を選定し、取組を進めていただきたいと考えています。
 以下に示すチェックリストの項目は、任意に取り組む項目の例示として示したものです。
 
A.管理部門における環境保全
 
(1)取組のポイント
 管理部門における環境保全への主要な取組としては、グリーン購入や電気・紙等の節約、分別によるごみの発生抑制等があります。こうした取組は、事業者が明確な方針を示すことによって容易に取組が可能であり、既に、多くの企業が取り組んでいます。このため、マニュアルでは各事業者が様々な工夫を行い、独自の取組として進められることを期待して任意項目としています。
 
(2)チェックリストの例
 
【グリーン購入の推進】
□ エコマーク製品等を優先的に購入している。
【エネルギー・資源の節約】
□ 不必要な照明の消灯を徹底して行っている。
□ 空調機器を適正温度に設定している。
□ 裏紙の再利用により、紙使用量の削減に努めている。
【ごみの発生抑制】
□ 分別回収ボックスを設置し、分別回収に努めている。
□ 使い捨て製品の購入を控える。
 
(3)チェック項目の解説
 管理部門での環境保全活動を進めるには、従業員一人ひとりの取組が重要ですが、そのためには会社として、目標を立てたり、責任者を決めたりすることも重要になります。
 
B.輸送効率化の推進
 
(1)取組のポイント
 積載率の向上や走行距離の削減等の輸送の効率化は、燃料の節約などに役立ち、環境経営を進めるうえで重要な取組ですが、実際に取り組む場合には荷主や他業者との協力が必要になるなど難しい問題があります。また、事業規模、業種・業態により、できる取組とできない取組があります。このため企業の実態に応じて取組を進めることを期待して任意の取組としました。
 
(2)チェックリストの例

□ ITを活用した配送・配車計画を策定し、積載率の向上を図っている。
□ 荷主や輸送業者と協力し、共同輸配送に努めている。
□ ITの活用や納入拠点基地の新設や物流拠点の共同利用等によって、効率的な運行ルートを利用している。
□ 地域間物流に関して、輸送の効率化の観点から、車両の大型化、トレーラー化を進めている。
 
(3)チェック項目の解説
 輸送効率向上のための取組には様々な取組があります。代表的な例をチェックリストで示しましたが、具体的には以下のような取組が考えられます。
 
○積載率向上
 ダンボールケースのサイズ変更等により個別車両での積載量の向上を図ったり、求車・求貨情報交換システム(KIT)等を利用して配送計画や路線別の配車計画を策定し、車格組替え、運行ルート組替え、車両数の適正化、混載納入を行うことによって、全体として積載率の向上を図ることが可能です。これにより走行距離の削減等の効果が期待できます。
 
○共同輸配送
 共同輸配送としては、顧客の協力による多頻度小口輸送の削減、他メーカーとの複便共同輸送、同一方面混載共同輸送等が挙げられます、これにより、配送頻度の削減やそれによる走行距離の削減を図ることが出来ます。また、複数メーカーの製品を配送センターへ一時集約することによって配送頻度の削減、走行距離の削減を図ることが可能になります。
 
○運行ルートの適正化
 ITの活用や納入拠点基地の新設・物流拠点の利用等により運行ルートの適正・管理を進めることにより、配達時間、距離の削減など輸送効率の改善を図ることが可能になります。
 
C.社会とのコミュニケーション
 
(1)取組のポイント
 事業活動を進めるうえで、地域社会と良好な関係を保つことが重要です。そのためには、排ガスや騒音などの苦情に対し素早く対応する体制を作ることが重要です。また、事業者の環境保全活動の状況を情報として示したり、地域と協働して様々な取組を行うことも必要です。こうした取組はトラック運輸業だけでなく全ての企業に要求される事項であり、何らかの形で既に取り組んでいる事項だと考えられます。このため、このマニュアルでは各事業者が様々な工夫を行い、独自の取組として進められることを期待して任意項目としています。
 
(2)チェックリストの例
 
□ 消費者や地域住民からの苦情・相談を受け付ける窓ロを設定している。
□ 受け付けた苦情や相談について社内で検討し、必要な項目については対応を行っている。
□ 事業活動における環境保全に係わる情報をパンフレットや環境報告書などを用いて社会に公表している。
□ 環境保全を目的とした団体や地域活動に参加、協力している(例:事業所周辺のごみ拾いの実施など)。
 
(3)チェック項目の解説
 社会とのコミュニケーションの第一歩は、地域住民等からの苦情に対し素早く対応することです。そのためには、対応の窓口を明確にしておくことが重要です。また、環境に関する取組についての情報を、日頃から地域へ公表しておくことも地域社会と良好な関係を保つうえで必要です。地域への情報提供や地域活動への参加の具体的な事例としては、次のような活動があります。
 
・垂れ幕、横断幕、車ステッカーによる取組の周知
・市、警察、地域団体への取組結果の報告
・環境に関する催しへの参加
・事業所周辺の清掃








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