我が国は、海外からの密輸入により流入した銃器による凶悪犯罪や、麻薬・覚せい剤の若年層のファッション化による乱用急増や集団密航事犯などによる社会不安が増大している。

　平成12年度においては、富山港におけるロシア船籍貨物船乗組員2名による大麻樹脂約12.5kg及びアヘン約2kgや、伊万里港におけるフィリピン船籍貨物船乗組員によるコカイン約4kgの不法所持事犯、石垣島御神埼沖におけるプレジャーヨット乗組員2名によるけん銃86丁、実包1,107発等の密輸入事犯、また、福岡県沖ノ島近くの領海内において中国船による中国人密航者63名を逮捕した事犯が特筆される。

　平成11年前半まで多発していた集団密航事犯は、我が国の経済状況の変化や、日中両国の取締りの連携強化に伴い一時減少したものの再び増加の傾向にある。

　平成12年度は、7月、九州・沖縄サミットの安全開催のため、沖縄県の海事・漁業関係者で構成する「沖縄サミット海上安全会」の啓蒙活動の推進について協力した。

　本事業は、海上犯罪を水際において未然に防止する観点から、海上防犯指導員・海上防犯連絡員の協力の下、関係者や一般市民に対し広く防犯意識の高揚を図るとともに、万一犯罪が発生した場合には迅速に海上保安部署へ通報し、適切に対応できるような体制の確立を図り、安全で快適な環境づくりを目指して、昭和63年度から実施されているものである。

　なお、本事業は、競艇公益資金による日本財団の助成事業として実施したもので、本報告書は、平成12年度における事業実績を取りまとめたものである。